2015年8月の記事一覧
私は11歳8カ月になる雌犬のラブラドールレトリーバーを飼っている。名前はココア。この子が一年少し前から後ろ脚を引きずり出した。獣医さんの診断では加齢による関節炎で完治は難しいとの事。ドックフードを関節によいものに変え、サプリメントを与えて、あまりに痛そうな時には鎮痛剤で過ごしてきたが、症状は少しずつ悪いほうに向かっている。
話は飛ぶ。私自身のことである。4月の終わりごろだったと思う。庭で草抜きをしていて腰が痛くなった。そんなことはいつもの事なので少し休めば治ると高を括っていたが今回はそうはいかなかった。1ヶ月以上経っても治ることはなく、整形外科、外科、内科、接骨院と渡り歩いたが特別な原因は見当たらず治療も効果がなかった。「腰痛難民」という言葉が頭に浮かんでいたそんな時鍼治療を勧められた。自宅からは通院に2時間近くかかるが、腰痛では間違いなく名医だという鍼灸師を紹介され、施術を受けることになった。すると1回目の施術で痛みが三分の一になった。3日後の2回目でほぼ完治した。鍼は生まれて初めての経験だったが東洋医学の神秘に感動した。
それで話は戻る。犬の鍼治療と云うのを何かで聞いたことがあった。もしかしたらココアの関節炎にも鍼治療が効果的かもしれない。私はネットで検索してみた。すると、意外にも鍼治療を行っている動物病院はたくさんあった。いちばん近い動物病院に電話すると、先ずは診察して鍼治療が可能か判断すると言う。すぐにココアを車に乗せて診察に向かった。問診、触診の後、獣医さんが言った。
「効果があるかどうかはわかりませんがやってみましょう。全然効果が出ない場合もあるし、激的によくなることもあります。先ずはこの子が鍼を打たせてくれるかどうかが一番の問題なのですけど・・・」
思いの外後ろ向きのコメントに若干の不安が芽吹いたが、ココアの足が少しでも楽になる可能性があるということであればと施術の予約を入れた。
予約当日、ココアを連れてその動物病院に出掛けた。予想通りではあったが診察室に入るとココアはいつもと違う状況に興奮し、落ち着きをなくしてゴソゴソ動き回った。診察台の上は途中で暴れ出しでもしたら危ないので床に伏せさせて施術してもらうことにした。もともと大人しい子ではあるが体重32キロの大型犬であるココアを動かないように支える私は結構キツかった。
下半身、背骨の指一本両外側に6本、しっぽの付け根付近両側に2本、ひざ関節に4本全部で12本の鍼が打たれ電極がつながれて微電流を流す。そして、その状態で約20分待つ。これが一通りの手順だった。
治療が終わり解放されると、ココアは痛みのせいでいつも浮かせ気味だった左後ろ脚をしっかり床に着つけて立った。鍼治療の効果だと思って嬉しくなった。帰宅してからも1時間ほどは痛みを感じさせない動きをしていた。しかし、その状態はそれ以上長く続かなかった。
後で思えば、慣れないことに興奮状態で痛みを忘れていたのかもしれない。素人考えではあるが、微電流が流れたことによる鎮痛効果だったのかも、いずれにしろ1~2時間の効果なら残念な結果という事だろうと思う。結局ココアの鍼治療は私の腰痛の場合のような効果はなかった。
辰己(有本)
一つ前の記事「マイナス成長が明確に示す経済政策の根本的誤り」でアベノミクスへの懸念を書いた。タイミングを合わせるかのように、次の日から日本の株式市場で暴落が始まった。
株を持っている訳ではないので、株の暴落は日々の生活には関係ないと考えている人も多いと思う。ところが、いまでは政府は、国民の年金資金の多くの部分を株式で運用し始めている。アベノミクスを厚化粧して失敗を誤魔化してきたとも言える。また、日銀は多額の株式(日経平均(ETF)という株式)を買い入れている。いまや、これらでの運用損失は税金や年金額に跳ね返ってくる仕掛けになっている。関係ないとは言ってられない。
今日(2015年08月25日)の東洋経済ONLINEの記事が今後の見通しの参考になると思うので、転載して紹介する。(要するに、そうは簡単には回復しない。むしろダラダラと下げることになるだろう)
日本株の本格的な戻りはいつになるのか
日経平均733円安、ついに1万8000円割れ
http://toyokeizai.net/articles/-/81714
上値の重さが鮮明になったマーケット
乱高下のあと、結局は上値の重さが鮮明になった――。25日の日経平均株価は結局大幅に続落、前日比733円安の1万7806円で引けた。
24日の海外市場では、米国株が大幅安となり、ダウ平均株価は寄り付き後に一時1000ドルを超える下げ幅となるなど、2014年2月以来の水準に落ち込んだ。25日の国内株式市場も大きく下げ、午前の日経平均は1万7747円まで続落。その後は買戻しや押し目買いなどが入り、一時は1万8835円まで急速に値を戻した。だが、中国株が軟調に推移したことから、引けに掛けては再び大きく売られた。
結論から言えば、このあとはしばらくレンジ相場での上値の重い展開が続くことになりそうだ。基本は「戻り売り」であり、場合によっては再度大きく下げる「深押し」の可能性もまだ残っている。
25日の値動きを見る限り、株式市場の需給悪化は筆者の予想以上である。依然として上海株の影響を受けていることや、戻り高値から大幅に下げて取引を終えたことも、市場センチメントが弱気に傾いていることの証拠だ。
「移動平均線からのかい離率の大きさ」や「空売り比率の高さ」から、いったんは上昇すると見て短期筋が買い戻しに走ったことなどで、前場は急速に値を戻した。だが、こうした短期的な取引だけでは戻り基調に転じるのは困難である。
もちろん、今後の相場は一時的には戻りを試す局面もあるかもしれない。だがこれほどまでの大幅下落となった以上、本格的な反転は先になりそうだ。市場の想定を上回る大がかりな政策出動があれば別だが、今後数カ月間、調整基調が続くことも覚悟する必要がある。
株価が反発しても、「下落途中の一時的な戻り」
24日のコラム「895円安の日経平均、今後のポイントは何か」でも解説したように、今月末、12カ月移動平均線の位置する1万8500円前後を割り込んで引けると、調整が長期化する可能性が高い。そうなれば、当面はレンジ内で上下に振れる値動きの荒い展開ながら、上値の重い展開が続くことになろう。
もし読者が個人投資家であれば、以下のことに気をつけていただきたい。26日以降の相場は、時として、買戻しを伴って急激に値を戻す局面もありそうだ。個人投資家がそのような場面に出くわすと、「株価調整は終了した」との見方から、戻り高値の局面で株を買いたくなるものだ。
だが、下落基調の局面では、いったん値が戻っても、相場は急落しやすく、買った価格よりも安値で売ることになりかねない。こうした取引を繰り返すと、あっという間に損失が積み上がる。
すでに、米国株や上海株などの価格は、日本株に先行する形ですでに12カ月移動平均を大幅に下回っており、中期的な下落基調入りがほぼ確定している。日本株だけが上値を試すことはほぼ不可能である。長期トレンドが崩れた際には、回復に時間が掛かるということであり、取引はきわめて慎重に行うべきだ。
当面の大きな焦点の一つは、米国FRB(連邦準備制度理事会)の利上げがあるかどうかである。当初は9月17-18日のFOMC(公開市場委員会)で行われるとの見方が有力だったが、中国を中心とする新興国経済の予想以上の減速に、利上げの先送り観測が高まっている。
米国の利上げ見送りが一段の日本株安を招く懸念
今後、先送り観測が高まれば、一段のドル安につながる可能性がある。このドル安は円高への巻き戻しを引き起こし、日本の輸出企業の業績下方修正を連想させ、日本株の重石となりかねない。また株安の一因となってきた原油相場で安値更新の動きが止まらない点にも、注意が必要だ。
すでに本欄でも、ブレント原油が夏場に年初からの安値を更新すると、年末に掛けてさらに安値を切り下げる傾向が強いことを指摘した。WTI原油先物は40ドルの節目を明確に割り込んでいたが、ついにブレント原油も年初来安値を更新した。OPEC(石油輸出国機構)による減産の可能性が低いなか、原油価格の一段の下落がさらに株価を押し下げるリスクがある点にも注意したい。
また金相場が下落し始めた場合には、さらに注意を要する。つまり、投資家が株式投資で大きな損失を出した場合、その損失の穴埋めに利益の出ている資産の売却を進めることがある。投資家にとって、金は利益が出ている数少ない資産となっている可能性がある。その金までも売られるようだと、投資家の資産の痛みは深刻であると判断せざるを得ない。
市場では、株価急落で「政策当局への催促相場に移行した」との声も聞かれる。株価の押し上げと円安が基本戦略だった安倍政権にとって、支持率が低下する中、今回の株安は相当の痛手となっていることは想像に難くない。
だが、今回の株安が中国などの外部要因に端を発していることもあり、国内の追加的な政策だけで株価を大きく押し上げ、円安に誘導するのは困難である。安倍首相と黒田日銀総裁の「アベクロ会談」の緊急開催もささやかれるが、株価への影響は限定的なものになろう。
今後、中国政府が景気対策などを講じる一方、海外での政策対応により一時的に株価は戻すかもしれない。しかし、それが底打ちにつながるほど現在の株式市場の需給は改善していないだろう。公的年金による買い余力も大幅に低下する中で、安倍政権や日銀はどう動くのか。
追記 2015.8.25
週刊ポスト最新号では「SMBC日興証券が強気予想!日経平均が3万円を越えるこれだけの根拠」しかたないけど間抜けな記事だ。こんな珍事も暴落時にはよくある話だ。
金森
わたしは、アベノミクスでは日本経済は再生しないと考えている。むしろアベノミクスによって日本は破綻への道を進むことになるのではないかと危惧している。現在まさにその兆候が現れている。
本日(2015.8.20)に DAIAMOND online に掲載された野口悠紀雄 氏(早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問)の記事を転載して紹介する。
マイナス成長が明確に示す経済政策の根本的誤り
野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第25回】 2015年8月20日
http://diamond.jp/articles/-/77030
GDP成長率はマイナスになった。これは、「デフレ脱却を目標として金融緩和をする」というこれまでの経済政策の行き詰まりを明確に示している。「一時的」として無視するのでなく、経済政策の基本を転換させる必要がある。
要因は消費停滞と輸出落ち込み
日本経済は成長路線に乗っていない
8月17日に発表されたGDP統計によると、2015年4から6月期の実質GDP成長率は、対前期比マイナス0.4%(年率マイナス1.6%)となった(図表1参照)。
これまでも、14年4から6月期、7から9月期に対前期比マイナス成長になっていた。また、14年度は13年度に対してマイナス成長だった。
ところが、14年10から12月期と15年1から3月期が連続してプラス成長となり、しかも15年1から3月期の実質GDP成長率が、対前期比1.1%(年率4.5%)というかなり高い値だったことから、日本経済は成長路線に乗ったという見方が強くなっていた。しかし、そうではなかったわけだ。
日本経済は、依然として停滞の罠から脱出できていないことを、今回のGDP速報値は明確に示している。
15年4から6月期における実質GDPの値は、ほぼ13年4から6月期の水準と同じである。後者は、異次元金融緩和発動の直後だ。つまり、異次元金融緩和は、経済成長促進という観点からすれば、効果はほぼゼロだったことになる。
14年4から6月期、7から9月期のマイナス成長の原因として、一般に指摘されているのは消費税増税である。それは、否定できない。ただし、消費税増税だけが原因であれば、停滞がここまで長く続くことはない。日本経済を長期的に停滞させている原因は、消費税の増税ではない。
今回のマイナス成長をもたらした原因は、消費停滞と輸出の落ち込みである。これらについて、以下に見よう。
消費税の影響がなくなっても
なお停滞する家計消費
まず消費の落ち込みを今回のGDP速報で見ると、つぎのとおりだ(図表2参照)。
民間消費支出は、2014年4から6月期に消費税増税の影響で大きく落ち込んだ後、15年1から3月期までは緩やかに回復していた。
しかし、4から6月期で再び落ち込んだのである。これは、消費税増税以外の要因が消費を圧迫していることを示している。
原油価格低下という強力な効果があるにもかかわらず、消費が落ち込んだのは、驚きである。
消費の落ち込みをもたらしたのは、実質雇用者報酬が4から6月期に落ち込んだことだ(図表3参照)。これは、消費税増税とは異なる要因によるものだ。
この状況を見るために、図表4に雇用者報酬の名目伸び率と実質伸び率を示す。
それまでは名目伸び率と実質伸び率の間に大きな差はなかったのだが、13年10から12月期から、「名目成長率はプラスだが、実質成長率がマイナス」という状態が生じている。これは、円安によって消費者物価が上昇したからだ。なお、14年4から6月期には、消費税増税の影響がこれに加わっている。
14年7から9月期と10から12月期は、名目伸び率と実質伸び率の差がほとんどなくなった。これは、為替レートが安定したことで、消費者物価上昇率が低下したためだ。15年1から3月期には、名目伸び率が0%であるにもかかわらず、実質伸び率が0.6%になっている。これは原油価格低下の影響と考えられる。
ところが、4から6月期にはこの傾向が再び逆転し、名目で0.2%増加したにもかからず、実質ではマイナス0.2%の伸びとなったのである。
今年の春闘では、政府が民間企業の賃金決定過程に介入して賃金引き上げを求めた。そして、賃上げ率が顕著に引き上げられたと喧伝された。それにもかかわらず実質雇用者報酬の実質伸び率がマイナスになったことに注意しなければならない。健全な経済成長のために必要なのは、政府が民間経済活動に介入して企業の決定を歪めることではなく、物価を安定させることなのである。
実質賃金の減少が消費低迷の原因
インフレ目標が誤りであることを示す
家計調査報告によっても、消費の低迷が裏付けられる。
図表5に示すように、実質季節調整済み1人当たり消費支出は、消費税増税後10万円を下回る状態が続いている。この水準は、2000年頃と同じである。
15年4から6月期は、対前期比でも対前年比でもマイナスの伸びだ。こうなる原因も、勤労者世帯実収入が減少していることだ。
以上の状況を見ると、実質賃金が増加しないことが、消費低迷の原因であることが分かる。消費停滞は、「インフレ目標」という経済政策の目的が誤りであることを示しているのである。
政府は、今回のマイナスは一時的なものだとして無視する方針だ。追加緩和や消費税増税延期の声が出てくることに対するけん制であろう。しかし、重要なことは、「インフレ率を高める」というこれまでの経済政策が誤りであったことを認め、政策の大転換を図ることである。
円安の進行にもかかわらず
輸出数量が伸びない
輸出数量指数の推移を見ると、図表6のとおりである。輸出の落ち込みは、世界経済の停滞の反映だ。ただし、日本の対中輸出は、対世界より落ち込みが大きい。より詳しく見ると、つぎのとおりだ。
対世界では、2010年の100から2014年の90.7に落ち込んでいる。すなわち、円安が進行したにもかかわらず、輸出数量は伸びていない。これは、世界経済が停滞していることとともに、円安は輸出数量を増やす効果がないことを示している。
対中国の輸出数量は、2012年頃から急激に落ち込んだ。この原因としてしばしば言われるのは、尖閣列島問題に起因する日中関係の悪化だ。しかし、それより大きいのは、10年頃の対中輸出の増加が中国の景気刺激策による一時的なものであり、それが平常レベルに戻ったことだと考えることができる。また、それまで日本から中国に輸出されていた部品などが東南アジアなどにシフトしたことの影響もあるだろう。
最近の状況を見ると、とくに15年5月に落ち込みが大きかった。これが今回のGDP統計に影響している。
最近の状況を見ると、15年6月には若干回復した。しかし、最近時点での中国経済の混乱や人民元レートの見直しなどを考えると、今後順調に回復していく可能性は薄い。
こうした状況を考えると、今後とも日本の輸出数量が伸びることは期待薄だ。円安が進んでも、企業利益を増やすだけの結果に終わるだろう。
企業利益は増えたが生産は増えない
設備投資の国内回帰は生じてはいるが...
鉱工業生産指数の動きも、図表7に示すとおり、はかばかしくない。
安倍晋三内閣成立以降の推移を見ると、2013年12月までは上昇が続いた。しかし、消費税増税の直前である98.1をピークとして下落に転じ、14年8月の96.7まで低下した。その後は、15年1月に100を超えたことを除くと、停滞が続いている。
もう少し長い期間について大まかに言えば、消費税増税前の駆け込み需要の影響で一時的に上昇したものの、13年9月頃からの状態が続いていると見ることができるのである。
そして、この状態は、10年頃の水準に比べると低い。つまり、日本経済は長期的な停滞に落ち込んでいると見ることができる。
設備投資の国内回帰が生じているのは事実だ。しかし、鉱工業生産指数における上記のような状況を考えても、これが将来の需要増を見込んだ積極的な投資であるとは考えられない。一つは、更新投資であろうし、いま一つは、円安によって国内生産の優位性が回復したために、これまで海外に向かっていた設備投資の一部が国内回帰しているのであろう(なお、GDP速報では、1から3月期には対前期比年率11.7%の増加となったものの、4から6月には、マイナス0.3%とマイナス成長になっている)。
円安を原因とした製造業の国内回帰現象は、リーマンショック前の円安期にも見られた。しかし、とくにエレクトロニクス産業では、「水平分業化」という世界的な潮流を無視して建設された国内の巨大工場が、その後の赤字の原因になった。
今回の設備投資国内回帰についても、同じことが言えるだろう。これは、長期的に見れば、日本経済の構造転換を遅らせることになる。
なお、労働需給の引き締まりが経済の好調の反映だとする意見が強い。しかし有効求人倍率の上昇などの雇用指数は、労働供給の減少による面が強いことに注意が必要である。
金融緩和と円安に依存する
経済政策を根本から見直すべきだ
8月14日の閣議に提出された2015年度の経済財政白書は、副題を「四半世紀ぶりの成果と再生する日本経済」とした。
第1章のタイトルは「景気動向と好循環の進展」だ。ここで、「企業の収益改善が雇用の増加や賃金上昇につながり、それが消費や投資の増加に結び付く『経済の好循環』が着実に回り始めている」と述べている。
その論拠として、(1)名目総雇用者所得が2013年3月以降、前年比でプラスが続いていること、(2)15年4月以降、実質総雇用者所得が前年比プラスとなっていることを挙げている。
しかし、(1)について見ると、GDP統計における名目雇用者報酬の対前年比がプラスなのは、10年4から6月期から12年7から9月期においても見られることである。13年1から3月期だけがマイナスになったのだ。
また、(2)について見ると、GDP統計における実質雇用者報酬の対前年同期比は、10年1から3月期から13年4から6月期まで、プラスである(13年1から12月期にもプラスだ)。これがマイナスになったのは、13年7から9月期と14年1から3月期以降のことである。この中には消費税増税前の期間も含まれていることに注意が必要だ。つまり、実質賃金の対前年比マイナスという現象は、安倍内閣になってから生じている現象なのである。そして、先に見たように、対前期比では、実質雇用者報酬伸び率は15年4から6月期においてマイナスになっている。
これらを考えれば、「企業の収益改善が......賃金上昇につながり、それが消費の増加に結び付く『経済の好循環』が着実に回り始めている」という白書の主張は、「詭弁だ」としか言いようがない。ましてや、マイナス成長に陥っている現在の日本経済の状態をなぜ「四半世紀ぶりの成果」と言えるのか、理解に苦しむ。
本来、経済財政白書には、内閣の方針に左右されない客観的で冷静な分析が求められる。近年の白書は、そうした本来の責務を放擲し、内閣の方針の正当化を最優先の目的にしている印象を与える。
金森
中新
金沢では7月にお盆のお墓参りをする人が多い。野田山にある前田家墓地の周りには多くの墓がある。富山の八ヶ山にある長岡御廟のような墓地だ。野田山墓地は金沢市街地から山側で市街地を見渡せる静かなところにあったのだが、金沢の道路整備で山側環状線が野田山墓地の入り口の横を通るようななった。
このため、7月14,15日のお盆の頃は野田山墓地辺りの道路は交通規制されるが、8月のお盆の頃には規制がない。
野田山墓地の入り口の曹洞宗の寺、大乗寺の横を通るようになっている。この大乗寺の門の隣に花屋があって、墓参りする多く人が花を求めていく。
我が家の墓は高岡戸出にあり、妻の実家の墓も長岡御廟にある。お盆には二箇所のお墓を参ることにしている。
今年のお墓参りは、山側環状線に乗って、大乗寺の前の花屋に寄って、お墓に供える花を買った。山側環状線から右手に折れて金沢大学角間キャンパスを福光に出て富山に向う。まずは高岡戸出の墓参りをと思い、昼は庄川で鮎を食べてからにしようと思ってのコースだった。
庄川には鮎を食べさせてくれる料理屋が何件もある。これまで、有名処を三軒巡ったが、「鮎や」の塩焼きが私の口に一番あっている。鮎の大きさが小さめなのが良い。焼き具合も実によく香ばしく、頭から骨も全てサクサクと食べれる。実に美味い。
墓参りに殺生は良くないという宗派もあるようだけど、うちの宗派は気にしないようだ。そんなわけで、まずは高岡戸出の墓から長岡御廟へ、帰りは北陸道でと、美味しく楽しく墓参りを続けた。
金森
国会前抗議でのSEALDs山本雅昭さんのスピーチを紹介する。
【スピーチ全文掲載】「戦争に行きたくないと言うのは間違っていない。おかしいことにおかしいと言うのは間違っていない。ここにいるあなたは間違っていない」――SEALDs山本雅昭さん 国会前抗議で
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/257164
IWJ Independent Web Journal
「わけあってアメリカから来ました。ここの抗議のことが気になっていて、足を運びたいと思っていた。そうしたらこういう機会をいただいたのでいろいろ喋らせてもらいます。
日本に住んでいるみんなに言いたいことがあって来ました。このSEALDsという団体はいま参議院の国会で通そうとしている安全保障関連法案に反対しています。僕もこのSEALDsのメンバーのひとりです。
アメリカからインターネット上でSEALDsに対する日本人のまわりの反応をよく見ます。戦争って大げさでしょう、さわぎすぎ、冷静になれ、アメリカを友だちを見捨てるのか、こいつら選挙に行ったことあんのか、国民が選んだんだろ、お前が政治家になって日本を変えろよ...、ちょっと言わせてください。なぜみんなが戦争戦争と叫んでいるのか。
日本に帰国して国会中継を見てました。そこで民主党の議員さんがこう説明していました。この法律が通れば、例えばアメリカのイージス艦が日本の目の前で他国から攻撃をされているとします。これを日本の存立や国民の生命が危うくなると判断された場合、日本はその他国に攻撃してもいいということになる。こちらが攻撃すれば相手国からすると先制攻撃とみなされます。なぜなら彼らは日本に攻撃していないからです。そして当然相手国はそれに対して報復攻撃を日本にしていきます。この状態をなんていいますか。戦争ですよね。そんな可能性を持っている法律を私たちが、ああそうですかと通させるわけがないんですよ。
一方で、じゃあそれに対して友だちを見捨てるのかと言うが、その友だちに僕らは沖縄を筆頭に、多くの都市と住民を犠牲にして基地を提供しているんですよ。それにアメリカは世界で一番の軍事国家、僕らの助けなんか必要ないんです。必要のない助けをして自衛隊が私たちが犠牲になる、こんな馬鹿なこと僕は許さない。
『日本の安全保障のために多少の犠牲やリスクはやむを得ない』っていう日本語のおかしさがわかりますか?
(本来)国がすることは、誰一人も死なせないし誰一人も人を殺させないことでしょう。それが国のさせることでしょう。誰一人として犠牲になっちゃいけないんですよ。国を守るんじゃなくて国民を守るんですよ。
安倍さんは去年の選挙で自身の政権を勝ち取りました。だから彼らがすることは許されると、そういうふうに言う人たちがいます。その考え方は、独裁者を多数決で決めるのが国家のあり方、という考え方です。私たちはそんな国じゃありません。私たちには独裁者はいらない。なぜなら私たち一人ひとりが自分で思考して判断し、行動する能力と権利を持っているからです。だから今みんなここにいるんでしょう。
それとこういうことを言われる。『お前が政治家になって日本を変えろよ』。『デモをしているから、政治的な発言』という日本語は僕はおかしいと思っています。考えてみてください。僕は料理ができます、でもだからといってシェフにはなりません。料理ができないからって毎日外食するのは僕には無理です。だから僕はご飯炊くし、味噌汁くらいは作りますよ。僕はそれを楽しみます、生活をする上で必要なことだから。政治だってそうだと思うんです。僕らの生活に必要なことなんですよ。
何でかって、家族や友人の、恋人の、自分の将来の子どもたちの命や生活が心配だから、より良いものにしていきたいから、今の当たり前の日常を大事にしたいから、だから私たちはおかしいことはおかしいと言うんです。これがわがままでしょうか。利己的個人主義でしょうか。馬鹿でしょうか。
はっきりいって僕は日本語が下手だしみなさんみたいにかっこいいスピーチはできません。このあとツイッター、フェイスブックで批判・中傷されるかもしれない、揚げ足を取られるかもしれない。彼らは本当にいつも容赦ないです。正直言うとそれにいつもへこたれます。辛いです。でもね、それに負けてたまるかってことなんですよ。
(タレント・クリエイターの)いとうせいこうさんが言ってました。国民が国家の未来に関わる機会は選挙のみだけではありません。平和的なデモや座り込みもまた、我々の基本的人権によって守られているのであります。
ここで僕は声を上げるのをやめるわけにはいかない。次の世代に僕みたいな辛い経験をさせるわけにはいかない。国を思うこと、心配することは間違っていない。ここに立ってスピーチすることは間違っていない。戦争に行きたくないと言うのは間違っていない。民主主義を追い求めることは間違っていない。理想を掲げることは間違っていない。おかしいことにおかしいということは間違っていない。ここにいるあなたは間違っていない。
私たちは誰の奴隷でもない。思考し続けていきましょう、行動していきましょう。フェイスブックの記事をシェアしていきましょう。自分の言葉にしましょう。
最後に安倍さんに一言。私たちはこういう思いでここに立っています。あなたには真摯に向き合う義務と責任がある。いいですか安倍さん、逃げずにここに来い。2015年8月7日、私、山本雅昭は戦争法案に反対します」
金森
安保法制は国民からの反対の声が日に日に強まっている。しかし、安倍晋三首相はこれら国民からの声に耳を傾けようとはせず、頑なに安保法制成立に邁進している。なにがそうさせているのだろうか。その背景を冷静に分析している記事があった。転載して紹介する。
分かれば分かるほど、安保法制は廃案にすべきだ。加えて、安倍晋三首相は退陣すべきとの思いを強くする。
集団的自衛権、安倍政権はなぜそこまで急ぐのか?
http://www.mag2.com/p/news/24783
MAG2NEWS
支持率が低下しても、何かにとり憑かれたように集団的自衛権にこだわる安倍政権。その理由はなんなのでしょうか。『未来を見る! 「ヤスの備忘録」連動メルマガ』が様々な角度から分析しています。
アメリカの圧力
実は安倍政権が「集団的自衛権」の成立を急ぐ背景には、アメリカの強い圧力があったからだとの見方が次第に広まりつつある。
たとえば、米国在住のノンフィクション作家で、「ニューズウィーク日本版」のニューヨーク支局長も務めた青木冨美子氏は、8月4日、日本記者クラブで講演し、次のように述べている。
「戦後の米占領時代はGHQが日本のグランドデザインを決めていたが、今でもそのようなことが続いているかもしれない。現在論議されている新安保法制も、現在の事態に至るまでには誰かがグランドデザインしてこんな感じになっていると思う。たとえば集団的自衛権で言うと、(早期の実現へ)「憲法を変えなくてもいい」と、かつてアーミテージ(元米国務副長官)が言っていたことだ。積極的平和主義などという言葉も、(英語の)翻訳のような気がする。駐日米国大使館やCIA(米中央情報局)の中に、誰かキレ者がいてやっているのかなと思う。今になって思うともっと早めに気が付いていればよかったと忸怩たる思いはある」
このように述べ、「集団的自衛権」の成立には「ジャパン・ハンドラー」のリチャード・アーミテージやCIAがかかわっている可能性を示唆している。
「第3次ナイ・アーミテージレポート」
一方、これは青木氏の憶測ではなく、ジョセフ・ナイとリチャード・アーミテージなどのアメリカの「ジャパン・ハンドラー」の実質的な関与があったことが示す文書がすでに公開されている。それは、2012年夏に発表された「米日同盟:アジアに安定を定着させる」というレポートで、通称「第3次ナイ・アーミテージレポート」と呼ばれているものだ。これは、軍産複合体のシンクタンクで、「ジャパン・ハンドラー」の拠点の「戦略国際問題研究所(CSIS)」が、日米同盟の提言としてまとめたものである。
2012年夏といえば、民主党の野田政権の失速が始まっており、政権交代への期待が高まっていた時期だ。現在の安倍政権は、この年の12月の総選挙で自民党が圧勝し成立した。
「集団的自衛権」に関して、このレポートには明確に次のように書かれている。
「日本の集団的防衛の禁止に関する改変は、その矛盾をはっきりと示すことになるだろう。政策の変更は、統一した指揮ではなく、軍事的により積極的な日本を、もしくは平和憲法の改正を求めるべきである。集団的自衛の禁止は同盟の障害である。3.11は、我々2つの軍が必要な時にいかに軍事力を最大限に活用できるかを証明した。平和時、緊張、危機、及び戦争時の防衛範囲を通して完全な協力で対応することを我々の軍に許可することは責任ある権限行動であろう」
このようにこのレポートでは、「集団的自衛の禁止は同盟の障害である」と明確に述べ、憲法改正、ないしは「集団的自衛権」を早急に成立させるように求めている。
自衛隊の活動
では、「集団的自衛権」で海外派遣が可能になった自衛隊はどのような活動を展開することが要請されているのだろうか? これも明確に示されている。以下である。
「ホルムズ海峡を閉鎖するというイランの言葉巧みな意思表示に対して、すぐさま日本はその地域に掃海艇を一方的に派遣すべきである。日本は、航行の自由を保証するために、米国と協力して南シナ海の監視も増やすべきである」
ホルムズ海峡の掃海艇の派遣、そして南シナ海における中国の監視活動を米軍とともに実施せよという要求である。
さらに自衛隊には広い活動範囲が求められ、以下のようにある。
「東京はイランの核開発などによってもたらされた、海賊行為に対する戦闘、ペルシャ湾の海運業の保護、シーレーンの確保や地域の平和の脅威への対処といった、多国籍の取り組みに積極的に参加すべきである」
ここでは、「海賊行為にたいする戦闘」とあり、自衛隊の任務がもはや後方支援には限定されない「戦闘行為」も含むことが示唆されている。
政府答弁と基本的に同じ
このようにこのレポートでは、「集団的自衛権」の適用地域として、特に「ホルムズ海峡の掃海艇派遣」と「南シナ海における中国の監視活動」の2つをあげている。これは、「集団的自衛権」の必要性を説明する政府の国会答弁と基本的に同一である。
これは、「集団的自衛権」成立の要請の圧力がアメリカからあり、いま日本政府はこれに基づいてい動いていることを如実に示してはいないだろうか? 「集団的自衛権」への方針変更は日本政府の単独の判断ではない。
それにしてもなぜここまで急ぐのか?
だが、このように「集団的自衛権」がアメリカの圧力の産物だとしても、なぜ安倍政権がこの成立をここまで急ぐのか説明にはならない。たっぷりと時間をかけ、憲法に違反しないように行う方法はいくらでもあったはずである。
たとえば、2004年に成立した「イラク特措法」がある。この法律は期限が決まった時限立法で、戦闘が行われていない地域に、「人道支援活動」を実施する目的で自衛隊を派遣するものであった。
もちろんこのときも議論はあったが、これが違憲であるとする議論はほとんどなく、国民的な反対運動は起こらなかった。「人道支援活動」の一環として戦闘が行われていない地域に自衛隊が派遣されたので、少なくとも建前は、憲法に禁止されている軍隊の海外派兵ではなかったからだ。これも「ジャパン・ハンドラー」などのアメリカからの要請であったことは間違いない。
もし「ホルムズ海峡の掃海艇派遣」と「南シナ海における中国の監視活動」の2つを要請されているのであれば、2003年の「イラク特措法」と同じく、期限が決まった時限立法とし、戦闘行為には一切かかわらないことを条件にした純粋な後方支援活動として、これらの地域に限定して実施する法律を成立すればよかったはずだ。そのような方法であれば、違憲となる「集団的自衛権」を持ち出す必要性はなかったはずだ。
ところが今回は、時限立法ではなく恒久法として「集団的自衛権」を成立し、世界のあらゆる地域に米軍と一緒になって自衛隊を派兵することを可能にしている。これは明白に憲法に違反している。このため多くの国民の怒りを買うことになったのである。
安倍政権はなぜあえてこのようなことを急いで行っているのだろうか? その本当の目的はなんだろうか?
「日本会議」の明確なアジェンダ
時限立法としてではなく、恒久法として憲法にからめて「集団的自衛権」を持ち出した理由は、安倍首相が現行の憲法で「集団的自衛権」を規定の事実にしてしまい、これによって、自衛隊を将来いつでも海外派兵できる「国防軍」にするきっかけにしたいという野心からではないかと見られている。
たしかに、安倍首相の個人的な野心が背景にあることは間違いないだろう。しかしながら、急ぐべき理由はこれだけではないことは、安倍政権の最大の支持母体である「日本会議」の明確なアジェンダを見ればだいたいはっきりする。
「日本会議」がどのような存在なのかは、第338回の記事に詳しく配信したので詳述はしないが、「日本会議」とは戦前をモデルにした憲法に改正し、「天皇制国家」の復権を目指す右翼的な組織が結集した一大プラットフォームのことである。
「日本会議」のサイトやその他の文書から、この組織は安倍政権こそ憲法改正を実現できる最後の機会ととらえていることが分かる。そのため、憲法改正は安倍首相の任期中になんとしてでも達成しなければならない最重要課題である。それには、2016年7月に行われる参議院選挙で自民党が3,000万票を越える得票で圧勝し、すでに自公が絶対安定多数の衆議院と合わせて憲法改正に必要な3分の2の議席を確保する。そして一気に憲法改正を実現するという計画だ。
安倍政権は、「日本会議」のこのアジェンダを念頭において動いていることは間違いない。とするなら、「集団的自衛権」の成立をことのほか急ぐ理由もこの辺にありそうだ。
憲法96条の改正
もちろん、参議院選挙で自民がたとえ圧勝したとしても、憲法改正のハードルは高い。憲法96条では、衆参両院の3分の2の賛成と、国民投票における過半数の賛成を必要とする。現在自民党は衆議院で291議席を獲得しているが、3分の2の317議席には届いていない。公明党の35議席を合わせると326議席となり3分の2に達するが、公明党が反対した場合、憲法改正の発議はできない。
そのため、憲法96条を先に改正して衆参3分の2の賛成が必要とする改革条件を緩和し、過半数の賛成があれば憲法改正を発議できるように変更することを狙っている。
いま参議院では、自民は242議席のうち115議席しか獲得していない。過半数にも届いていない。もし2016年7月の参議院選挙で自民党が圧勝して3分の2の議席数になれば、憲法96条の改正は容易に実行できる。それを実現した後、一気に憲法改正に乗り出すという意図だ。これが「日本会議」のアジェンダに沿った自民党のプランだ。
「集団的自衛権」の既成事実化と「国防軍」
そして、憲法改正をスムーズに進めるための方策として見られているのが「集団的自衛権」の早期の成立である。
もし2016年7月の参議院選挙までに「集団的自衛権」を恒久法として成立できていれば、自衛隊の海外派兵はいつでも可能となる。これは、もっぱら「専主防衛」を基本とする「自衛隊」を、先制攻撃もできる他の国と同じような「国防軍」に実質的にしてしまうことを意味する。つまり「集団的自衛権」の成立は、「国防軍」の既成事実化だと見てよい。
もちろん「集団的自衛権」には、国民の予想以上の反対があり、自民党の支持率は大きく下がっている。このままの情勢では、たとえ安倍政権が来年まで続いたとしても、来年の参議院選挙で過半数の議席を獲得できる可能性はかなり低い。ということは、「日本会議」のアジェンダにある憲法改正は困難だということになる。
他方、自民党の掲げる憲法改正の重要なポイントのひとつになっているのは、「自衛隊」の「国防軍化」である。もし自民党が来年の参議院選挙で負けたとしても、いまの時点で「集団的自衛権」を成立させておけば、これは実質的に達成したことになる。
米軍産複合体の支持と従属国家化の進展
おそらくこれが、安倍政権が「集団的自衛権」の成立を急いでいる理由であろう。
また、もともと「集団的自衛権」は米軍産複合体の日本に対する要求項目の1つである。ということは、これが成立すると、「日本会議」と安倍政権が目指す憲法改正に米軍産複合体の間接的な支持が得られる可能性が高くなる。
来年の参議院選挙までには憲法改正に乗り出す準備ができていなければならない。いま安倍政権が「集団的自衛権」の成立を急ぐのには、米軍産複合体の横槍が入らないように彼らの支持を固めておくという理由もあることだろう。
いずれにせよ、米軍産複合体の要求と支持におもねることでアメリカの従属国家化の方向は強化される。
このように見ると、「日本会議」と安倍政権が目指す「日本の独立」とは、もはや実質的に独立国とさえ言えない状況にまで対米従属を徹底的に強化しながら、米軍産複合体の保護のもと、「天皇主権」による偉大な日本という幻想に酔いしれる自由を享受したいということではないのだろうか? 少なくとも筆者にはそのように見えてしかたがない。
著者/ヤス
早稲田大学卒。企業の語学研修、IT関連研修、企業関連セミナー、コンサルティング等を担当。世界の未来を、政治経済のみならず予言やスピリチュアル系など利用可能なあらゆる枠組みを使い見通しを立てる。ブログ『ヤスの備忘録』で紹介しきれない重要な情報や分析をメルマガで配信。
金森
「現行の偏差値教育の中で表面的なことだけを鵜呑みにすることを強要される今の時代、特に勉学途上にある若い人々には危険な傾向となるだろう。」
近代科学の基礎になっているアインシュタインの相対性理論が崩壊しているというのが、今や世界の常識になりつつある。この事実を受け入れようとしない権威重視の日本科学への、暗記重視の偏差値教育への警鐘となる記事を転載して紹介する。
祝 ホーキング「ビッグバン理論」崩壊!
http://8729-13.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-e578.html
zeraniumのブログ
現代宇宙論の最先端であったはずの「ビッグバン」理論は、すでに確証されたかのごとく日本の教科書にも載せられている。しかし実はビッグバン理論は今やその基本から大きく揺らいでおり、それだけではなく、近代物理学のバイブルとされてきた「アインシュタイン相対性理論」も同じく、崩壊の危機に立っている。
周知のように「アインシュタインの特殊相対論」とは、光の速さを超える存在は絶対に許さないというのがその基本である。つまり光よりも速いものはあり得ないとする理論である。しかし最新の実験結果では、超光速は自然界の普遍的な現象と確認されており、すでに光速の1・7倍という数値まで出されているのである。
いまや欧米の科学界では、「GO TO HELL BIG BANG―打倒ビッグバン」の声が挙がっているが、なぜか日本ではそうした議論はまったくない。本書はこうした日本の閉塞的ともいえる現状に危機感を覚え、今や世界の宇宙物理学の趨勢(すうせい)はどうなっているのかを、1人でも多くの人に知ってもらうために書いたものである。日本人は保守的性向が強いと言われているが、中でも日本の学術的な分野における閉鎖的で保守の姿勢は、世界においても比類ないものである。つまり外国ではすでに周知のことであるのに、日本では一般の人々に正しく伝えられていないケースがさまざまに存在するのである。
これから述べる世界的な概念変化の「うねり」は、いくら無視して拒否しようがそれができないまでに、極限にまで大きくなってから日本にも押し寄せてくることになる。その結果、その勢いは一挙に考え方の転換を求められることになるだろう。こうしたことは、現行の偏差値教育の中で表面的なことだけを鵜呑みにすることを強要される今の時代、特に勉学途上にある若い人々には危険な傾向となるだろう。
それでも欧米のビッグバンクラッシュ(大恐慌)の一端は、徐々にではあるが日本にも紹介されるようになってきた。それらの一つがアメリカの新鋭科学ジャーナリストのエリック・J・ラーナー著『THE BIG BANG NEVER HAPPENED』(邦訳『ビッグバンはなかった』河出書房)や、「ホーキングの宇宙」をベストセラーにしたアメリカの著名な科学評論家ジョン・ボスロウ著『ビッグバン危うし』(邦訳は講談社)などである。
イギリスの科学誌『ネイチャー』はすでに1989年8月号に、「くたばれビッグバン」(Down with the Big Bang)というタイトルで論説を掲載している。(略) また1991年1月のワシントン・ポスト紙の見出しには「ビッグバン論理は破産」とあり、宇宙が爆発して誕生したという概念にもとづくビッグバンは「死んだ」とはっきり述べている。etc・・・。
すでにかなり以前から、こうしたビッグバンや相対性理論への疑問が起きているが、しかし欧米と日本とではそうした実情にかなり差のあることがわかると思う。その一つの証拠として、いまだに日本の科学雑誌の見出しは、ホーキング、アインシュタイン、ビッグバン宇宙論のオンパレードなのである。こうした状態がなぜ未だに続いているのだろうか? マスコミが現状に無知なのか、それとも意識的にこうした情報を遮断して操作しているのか私は知らない。
要因として言えることは2つあるが、1つは日本のマスコミには、前述したラーナーやボスロウのような真の科学を知る評論家やジャーナリストが存在しないことである。しかもそこにあるのは、ただ与えられたものを「学ぶ」という姿勢だけのようである。日本人は「権威」と「科学的」という言葉に非常に弱く、それはたとえると「水戸黄門の印籠」のようである。それは主流から逸れているものを異端論として排斥する態度として表れ、そのゆえに少々偏向していても「科学者の言うこと」なら無批判に信じ込んでしまうという歪みとなって表れる。現在ほど真の科学ジャーナリストの出現が、マスコミに求められる時代はないだろう。
もう1つは、教科書をはじめNHK科学番組などの主要なマスコミのすべてが、学界の主流と言われる大学教授や科学者たちに牛耳られていることから、彼らが指導してきたことに反するような情報は遮断されてしまうことにある。当初、宇宙探査衛星COBE(コービー))によって発見された「ゆらぎ」は、ビッグバンを証明するものとCNNなどによって報道されたことがあった。しかしその直後、「それはとんでもない誇張であり、むしろCOBEの観測結果はビッグバン否定の証拠になりうる」と大きく報道された。しかし日本では完全に無視であった。
しかも驚くことにそれによって、「COBEの観測結果によってビッグバン理論がますます確固たるものになった」、と教科書に掲載される予定だというのだ。しかしある情報では、文部科学省も欧米におけるビッグバン理論崩壊の現状を無視できなくなり、ひそかに、「ビッグバンは宇宙論の仮説の一つ」としてランク下げの指導が行なわれたという確かな情報もある。それが教科書に掲載されるまでには5年のタイムラグがあることから、そうした態度はまことに心細い限りである。
すでに世界の趨勢は、「ビッグバンはなかった」に傾いており、ビッグバンは20世紀の天動説にも匹敵するほどの大錯誤のようだ、と欧米の科学者はパニックに見舞われている。1986年のその日、ハーバード大学教授でスミソニアン天体物理学センターの宇宙物理学者でもある、マーガレット・ゲラー女史の革命的ともいえる研究発表がプリンストン大学において行なわれた。ゲラー女史の講演テーマは、同僚のジョン・ハクラとの共同研究による「宇宙の大規模構造(のちにグレートウォールと呼ばれる)についてだった。
会場には大勢の物理学者が来ていたが、そのほとんどの人がゲラーたちの研究結果を頭から疑っている理論宇宙科学者で占められていた。なぜなら講演内容が、従来のビッグバン宇宙論からは考えられないようなことであったからだ。講演が始まってゲラーが順次掲げて見せる宇宙の銀河図には、彼らが見出した宇宙の大規模構造が明瞭に描き出されていた。それは浴槽に石鹸の泡が重なっているようでもあり、あるいは規則正しく配列された巨大な蜂の巣のような構造にも見えた。
それは今まで誰も予想していなかった、奇怪な宇宙の銀河構造マップともいえるものであった。そのときビデオモニターの音が会場に響き渡り、コンピューター処理された銀河集団の立体マップが大スクリーンに映し出された。画面には数多くの銀河が浮かび上がり、それらの銀河集団の全体は軸に沿って動き、回転し始めた。それを見ていた大勢の宇宙科学者たちは、まるで自分が広大な宇宙空間を宇宙船に乗って眺めているような気分になった。なにしろ1つの銀河だけであっても、我々の太陽と同じ恒星が1000億個?2000億個も存在しているという集団なのである。
このビデオを私も入手しているが、さすがによくできている。
見ていると泡状に集合した銀河が画面に現れては消えてゆき、その泡の内部には何もない巨大な空間が延々と広がっている。講演での上映は5分くらいの短い時間であったが、この光のショウが終わると会場は喝采に包まれ、それまではゲラーたちの研究を疑っていた人々の誰もが呆然として声も出なかったという。その大勢の聴衆の中には、宇宙について多くの著書のある著名なジム・ピープルズという理論家もいたが、後にそれについて述べている。
「マーガレットの研究発表は、我々のような疑い深い者たちを一網打尽にした。
宇宙の対極的な分布には、規則正しく配列された泡のような構造が確かに存在するということだ」
しかし問題は、ゲラーたちが調査した宇宙の領域は、宇宙全体のほんの0・001パーセントに過ぎないことだった。彼らも自分たちがごく小さな領域しか調べていないことを認めながらも、それでも予想しなかった宇宙の大規模構造が発見されたことを確信していた。
「現在の宇宙モデルには、基本的な何かが欠けています。
なぜならビッグバンのパラダイム(枠組み)では、こんな大きな構造ができないからです」と。
ビッグバン論者たちにとって幸いだったことは、ゲラーとハクラの科学者の2人ともが以前からビッグバン説を支持していたことである。しかも彼女たちは将来、自分たちの発見がビッグバン理論を根底から揺るがすことになるとは思ってもみなかったのである。ゲラーの発表はたちまち理論物理学者たちの間に広まっていった。特に宇宙理論家たちはこの発見に仰天した。なぜなら数学的な優美さで構築されていたビッグバン宇宙論に対する、公然の侮辱及び挑戦と受け取られたからである。
しかもビッグバン論者にとって都合が悪かったことは、ゲラーが発表した銀河マップは、径が4億光年ものボイド(泡)を持つ巨大な蜂の巣構造全体のほんの一部にすぎない、というのでなおさらであった。それに彼らの発表した宇宙図に延々と連なって集合する蜂の巣構造を見れば、ビッグバン理論のいう宇宙膨張どころの話ではなく、それも宇宙全体の一部分かどうかさえもわからないのである。
彼女たちの得た証拠はそれまでの宇宙論全体を大きく揺るがすことになり、特にビッグバン理論には致命的ともいえる打撃を与えることになった。ビッグバン説によれば、宇宙が誕生したのは今から150億年前とされている。しかしゲラーたちが見つけ出した宇宙の大規模構造が形成されるには、少なく計算しても600億?1000億年もかかることが分かったからである。(図1)
しかしこの巨大な矛盾に対し、無視の姿勢を貫こうとしている保守的な科学者たちを、エリック・J・ラーナーは著書『ビッグバンはなかった』で揶揄している。それは日本流にいえば、建築後1年という不動産屋の言葉を信じて買った家の屋根裏から、なんと死後10年も経た猫の死骸が出てきたわけで、これではびっくりするなというほうが無理である。この不動産屋が「ビッグバン理論」であり、死後10年を経た猫の死骸がゲラーたちが発見した「グレートウォール」である。こうなると我々は半世紀以上にわたり、ビッグバンを売り物にしてきた悪質な不動産屋に騙されていたことになるが。
宇宙は3つのスケールに区分されよう。
1 太陽系宇宙
2 銀河系宇宙
3 銀河系外宇宙
我々の太陽系は地球や火星などの惑星が太陽を中心に周回し、それらの惑星の多くは同じように月のような衛星を引き連れている。ゆえに太陽系とは、子どもである惑星や孫の衛星を引き連れた、太陽をゴッドファーザーとする一大ファミリーだといえる。そしてこのような太陽という恒星が1000億から2000億個集まり、渦状で回転しているのが2でいうところの銀河系宇宙であり、それは全体の形から渦状星雲とも呼ばれている。天文学用語には暗雲星雲と呼ばれるものもあるが、意味もスケールも異なるので注意が必要である。
我々の銀河系一つに1000億から2000億個の太陽が存在する!
いったい1000億個もの太陽が、どのくらいの割合で地球のような惑星を伴っているのかは現在のところはわからない。最近のNASAの発表によれば、我々の太陽系に近い7つの太陽(恒星ともいう)に惑星系が発見されたといっている。ちなみにわれわれにもっとも近い太陽系は、4・3光年先のアルファ・ケンタウリ星系である。
今世紀の始めにおいて、我々の宇宙への考え方は太陽系とその周辺くらいの範囲であり、それまでただ望遠鏡でボヤッと見えていた光が、実は膨大な星の密集した他の銀河系であると判明してから、宇宙の驚異的なスケールがしだいに顕わになってきた。今では1000億個から2000億個もの銀河の存在が確認されているのである。我々の銀河一つだけでも1000億個以上の太陽が存在する。しかもそのような銀河系が1000億?2000億個も存在するのである。
こうした膨大な数の銀河が存在するスケールを考えると、知的生命体の存在は地球だけであるといったような一部の科学者の考え方が、いかに閉鎖的で独断と偏見にきわまるものであるかがわかるというものである。
祝 相対性理論崩壊
『ビッグバン宇宙論は根幹が間違っていた』 コシノケンイチ著 ヒカルランド
抜粋
金森