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交通事故で損害賠償請求する場合、事故の後遺症認定が手間取り、なかなか示談が成立せず、損害賠償請求もできない場合があります。その期間も5年間という長い期間を要することも有るようです。
ところで、事故の賠償金は事故日からのものです。示談が成立するまで時間が掛かったとしても、支払いが開始されるまでは遅延損害を被っていることになりますから、支払日までの遅延損害金についても請求することができます。
一方、示談が長引くのは重傷事故で損害金も高額になる場合が多いと言えます。このため、遅延損害金を年5%の利率で計算すると、それだけでも一千万円を超えることにもなります。
このように、遅延損害金と言えど、多額になる場合がありますので、賠償金請求時には遅延損害金の請求も忘れないようにしたいものです。なお、休業損害を含む逸失利益がある場合などは、労災給付の逸失利益への充当について考慮することも大切です。
東京地裁平成21年12月10日判決労災保険法による障害年金は、労働者が業務上又は通勤により疾病にかかり又は負傷等し障害が存する場合に支給されるものであり、障害厚生年金及び障害基礎年金は、年金の受給権者が疾病にかかり又は負傷等し障害がある場合に支給されるものである(労災保険法22条、厚生年金保険法47条、国民年金法30条)。そうすると、これらの給付は、いずれも加害者の損害賠償責任を前提とするものではなく、支給額全額が労働者や受給権者に生じた障害に対する給付の趣旨であると解される。労災保険給付や厚生年金等の趣旨及び法律の規定によると、労災保険法による障害給付、障害厚生年金、障害基礎年金の支給がされた場合には、いずれも元本に充当されると解するのが相当である。ただし、前記のとおり、事故の日から遅延損害金は発生しているのであり、これらの各支給日に、当該支給額が元本に充当されることになる。
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