2016年6月の記事一覧

41年ぶり

  • 雑談

昼過ぎに家からスマホに電話があった。吉岡(仮称)と云う人から、家に電話があったとの連絡だった。

私は高校を卒業して新宿にある専門学校で2年間コンビュータを勉強した。名前からするとその時の友人だ。彼は卒業して直ぐに同じクラスの女性と結婚した。もちろん、彼女のことは私も知っている。しかし、彼らの結婚式に出て以来会っていない。折りに触れ気にはしているのだが、住まいが東京ということもあり、年に一度の年賀状のやり取りで、消息を確認しあうことしかできていない。

午後5時過ぎに家に戻り、玄関引戸を開けた途端にスマホに着信があった。聞き覚えのある声。しゃべり方も昔そのも。まぎれもなく吉岡だった。昨日は富山の金太郎温泉で一泊し、金沢駅近くのルートインにチェックインしたところとのことだった。私のスマホの番号は、いま家に電話して妻に教えてもらったとのことだ。六時半に金沢駅で会うことにした。

鼓門の下で彼らと落ち合った。41年間会っていないので、目印を決めておかないと分からないかもと多少不安に思っていたが、そんな心配は無用だった。遠目からも直ぐに分かった。彼らは目ざとく私を見つけたようで、手を振っている。私も手を振ってこたえた。

家を出る前に予約しておいた居酒屋で一杯やり始めた。当時のこと。今までのこと。友人たちのこと。今のこと。とりとめなく、いろんな話題で盛り上がり、時間が経つのを忘れて話し込んだ。4時間は話していた。しかし、41年間を埋めるにはいささか時間が足りなかったようだ。

また、会おうと約束した。ひょっとしたら、41年後になるかも知れないが。

金森

ボールは私達の手にある。

金森

http://blog.monoshirin.com/entry/2016/06/25/123821
モノシリンの3分でまとめるモノシリ話


私はかつてこれほどの怒りを覚えたことは無い。

下記の画像は,自民党が公開している「アベノグラフィックス」なるものの一部である。これが,信じられないほどの誤導なのである。

この記事を読んだ方は全力で拡散してほしい。これほど国民を舐めた行為は無い。

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これを見てどう感じるだろうか。「国民全体」の給料が2%上がったのか,と錯覚しないだろうか。

しかし,これは国民のほんの一部についての話である。

下記朝日新聞の記事のとおり,2%の賃上げは大手企業にのみ当てはまる話である。

www.asahi.com

上記記事から最も重要な部分を引用する。

従業員500人以上の東証1部上場企業を原則として調査対象にし、今回は15業種62社が回答した。

アベノミクスの恩恵を受けたほんのごく一部の上場企業の賃上げのみ取り上げ,国民全体の賃金が上がったかのように錯覚させようとしている。

これで国民を騙せると思っているのだ。

真実は違う。私の記事で散々指摘してきたとおり,国民全体の給料(名目賃金)はこの3年間でわずか0.1%しか伸びていない。額にすれば,月給が約300円しか伸びなかったことを意味する。下記グラフのとおりである。

f:id:monoshirin:20160511221510j:plain

毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

この自民党の行為は絶対に許されない。

我々一般庶民にとって,結局経済が良くなかったかどうかの判断基準は「給料が上がったのかどうか」に尽きる。我々の最大の関心事は給料なのだ。

その一番コアな部分について,一部のデータのみ取り上げ,印象操作をしようとしているのである

悔しくないか。俺は悔しいね。

「経済で結果を出す」と言っておいて全く結果を出していない上に,こんな調べればすぐ分かる姑息な手段を使って国民を騙せると思っている。

これほどまでに国民を見下した政党だとは・・・

右派とか左派とか関係あるのか。こんなに馬鹿にされてそれでも自民党を支持する気になるのか。

そしてもう一点指摘しておく。大手企業がこの3年間毎年2%の割合で賃上げしてきたということは,3年間では6%の賃上げである。

しかし他方で,下記グラフのとおり,この3年間で物価は約5%上昇している。

f:id:monoshirin:20160511225533j:plain

総務省統計局統計表一覧

つまり,物価を考慮すると,大企業ですら,実質的に伸びた賃金は,約1%(名目賃金上昇分6%-物価上昇分5%)に過ぎないということである。

そして,大企業以外の一般人は給料がほぼそのままだったので,下記のとおり実質賃金は4.6ポイントも下がった。

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毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

アベノミクスの失敗は非常に単純なのだ。物価を上げたから消費が冷えた,ただそれだけのことである。

消費税の増税が消費に悪影響を及ぼすことについて,誰も異論はないだろう。それはモノの値段が上がってみんなモノを買わなくなるからである。

では,異次元の金融緩和で急速に進行した円安はどうか。円安だって,「モノの値段が上がる」ことに変わりはない。

つまり,消費者からすれば,原因が増税だろうと円安だろうと「モノの値段が上がる」という事実に変わりはないのである。

そして,給料がそのままなのにモノの値段が上がったら当然みんなモノを買わなくなる。

増税でただでさえ物価が上がるところに,異次元の金融緩和による円安で更に物価を上げた。消費者にとってはダブルパンチである。

その結果,消費が異常に冷え込み,実質GDPも伸びなかったのがこの3年間なのである。

「増税さえなければうまくいっていた」という人がいるが大間違いである。増税があろうとなかろうと,アベノミクスが推進する「物価上昇」は消費を冷やす効果しかない。

それはこの3年間のデータで証明されている。

ところで,ついでにGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のことを指摘しておく。

イギリスが国民投票でEU離脱を決定した影響で,株価が大幅に下落した。日本だけではない。世界的に下落している。

そして,下記のとおりGPIFの資産構成割合は株式が5割をしめる。

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GPIFのサイトより引用。

我々の大切な年金は,その半分が株式に突っ込まれている。だから,世界的に株安が進行していけば,それは我々の年金が吹っ飛んでいくことを意味している。

我々の生活を苦しくした上に,我々の年金を博打に突っ込んで吹っ飛ばしているのが自民党である。

その上,アベノミクスが上手く行っていると思わせるため,冒頭に挙げた「アベノグラフィックス」を提示して国民を欺こうとしている。

こんなに馬鹿にされて悔しくないか。俺は悔しい。だから自民党には絶対に入れない。

↓動画でアベノミクスを解説したのがこちら(約6分)


金森

争点は改憲だ。

  • 雑談

金森

自然が気の遠くなるような年月を経て作り出した造形美である「烏取砂丘」。

そこに、人の力で新たな造形美を創り出し、この地を訪れる人に今までにない感動と感激を与えたい。そんな思いが現実となり、2006年11月18日に「砂」を素材にした彫刻作品である「砂像」を展示する「砂の美術館」を開館しました。

砂像彫刻家兼プロデューサーとして国内外で活躍している茶圓勝彦氏が総合プロデュースを務め、毎年海外各国から砂像彫刻家を招き、世界最高レベルの砂像を展示しています。

第1期展示(テーマ/イタリア・ルネサンス)は完全な屋外で展示をおこないました。その後、第2期展示(テーマ/世界遺産・アジア編)、第3期展示(テーマ/砂で世界旅行・オーストリア編)、第4期展示(テーマ/砂で世界旅行・アフリカ)と3回の展示を仮設のテントでおこないました。

そして2012年4月、世界初となる砂像のための展示施設を整備し、新たな「砂の美術館」が誕生。屋内での初の展示となった第5期は「砂で世界旅行・イギリス編」を行い、第6期展示「砂で世界旅行・東南アジア編」、第7期展示「砂で世界旅行・ロシア編」を経て、2015年4月より第8期「砂で世界旅行・ドイツ編」、2016年4月からは「砂で世界旅行・南米編」となります。

砂の美術館は、「砂で世界旅行」を基本コンセプトとし、毎年テーマを変えて展示を行なっています。会期が終われば、砂像はもとの砂にかえっていきます。限られた期間しか存在することができない砂像。その儚くも美しい造形を創り上げる為に、砂像彫刻家は情熱を注ぎ込みます。

永遠に残らないがゆえの美しさが、砂像のもつ大きな魅力の一つなのです。

出来上がった作品の精巧さや迫力はもちろんのこと、決まった場所に限られた期間しか存在できない砂像の持つストーリーを感じながら鑑賞して頂けたら、より砂像の魅力を感じて頂けると思います。(砂の美術館HPから引用)


砂の像は圧巻だった。砂の像で描かれる人々の躍動感には眼を見張るものがある。その表現力には驚かされる。ひょっとしたら、砂だからこそ表現できる世界なのかも知れない。そして、これらの像はスフィンクスのように未来に残されて、受け継がれていくものではない。ごくごく近いうちに壊されてしまうことを前提に造られている。生き続けれるとすれば、見た人の脳裏の中だけというせつなさもある。


(以前勤めていた会社の友人に作曲・演奏してもらった楽曲をBGMにした)

金森

「だいこくさま」と申せば、出雲の神さま、出雲の神さまといえば「縁結びの神さま」と申しますが、この「縁結び」ということは、単に男女の仲を結ぶことだけでなく、人間が立派に生長するように、社会が明るく楽しいものであるように、すべてのものが幸福であるようにと、お互いの発展のためのつながりが結ばれることです。だいこくさまが「福の神」と慕われ、すべての人々から広く深く信仰をおうけになっているのも、この「むすび」の御霊力(みちから)、いいかえれば、愛情を私たちに限りなく、そそいで下さる神さまであるからです。(出雲大社HPから)

旅行に出る前日に娘から結婚相手を紹介したいと電話があった。娘は三十路を過ぎている。てっきり結婚には興味がないのだろうと思っていた。相手は国家公務員でかなりお硬い仕事をしているようだ。どこでどう知り合い、結婚することになったのか、挨拶に来た時に聞いてみようと思っている。しかし、娘には何時も驚かされる。

出雲大社は縁結びの神様と言われている。娘が結婚するから出雲大社を訪れたわけでもないが、これもなにかの縁、出雲の神様に娘達にも「むすび」の御霊力をそそいで下さるようお願いした。

出雲大社 島根出雲

金森

http://lite-ra.com/2016/06/post-2356.html
LITERA

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自由民主党2016年特設サイトより


 6月22日の参議院選挙公示日まであと1日、ここにきて、安倍政権と自民党が民放キー局に対し、とんでもない圧力をかけてきているという情報が飛び込んできた。

 自民党は2014年末の衆院選で〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉なる圧力文書を在京キー局に送りつけたが、今回は政党CMをめぐるものだ。この参院選で、自民党は明らかに公職選挙法違反の誇大な政党CMを放映させようと、テレビ局に弁護士まで送り込んでごり押しをしているというのだ。

 始まりは5月末頃、自民党から今回の参院選に向けた政党CMの案が各局に提示されたことだった。ある民放関係者がこう語る。

「今回、自民党は放送局にあわせて、電通、ADK、I&Sという3つの広告代理店を使い分けているんですが、それぞれの代理店から、まずCMコンテが提示され、続いて完パケ映像が持ち込まれた。テレビ局では、考査部という部署がCMの内容を事前チェックするんですが、その内容には考査担当者も唖然としていました。こんな政党CMはこれまで見たことがない、明らかに公職選挙法にひっかかる、自民党は何を考えているのか、と」

 選挙公示日になると、各政党が競うように流す政党CM。しかし、もともと公職選挙法では政見放送を除き、選挙運動にテレビを利用することはできないと規定されており、政党CMは通常の時期と同じ「選挙運動が目的でない政党の日常の政治活動」の広告でなくてはならない。

 ところが、複数の証言によれば、自民党が各局に提示してきたのは、以下のような映像だった。

 まず、青空を背景にして、自民党総裁・安倍晋三が登場し、カメラ目線でこう語り始める。

「日本はいま、前進しています」「雇用も、全国で大きく改善しています」

 セリフにあわせ、画面にはテロップで大きく〈雇用100万人増加〉〈国民総所得36兆円増加〉〈有効求人倍率全都道府県で1倍超史上初〉〈賃上げ2%達成3年連続〉の文字。

 そして、安倍首相が「止めてはいけない、この流れを」というセリフを口にすると、同時に、先日の米オバマ大統領の広島訪問の模様が、2枚の写真で挿入される。ひとつは安倍首相とオバマ大統領が、広島の平和記念公園の原爆死没者慰霊碑をバックに握手している姿。もうひとつは、同じく平和記念公園でオバマの隣で演説する、安倍首相の姿。

 続いて、黒の背景に「前進か、後退か」という大きい白抜きの文字が書かれたテロップがインサートされる。

 再び、青空の背景に戻り、最後は、カメラ目線で安倍首相が以下のような宣言を口にしてCMは締められる。

「停滞したあの時代に、後戻りさせてはならない」「私たちは結果を出していきます」「この道を。力強く、前へ。自民党」

 たしかに、証言通りのCMが存在し、放映されたなら、明らかな公選法違反だ。まず、最大の問題は、オバマ大統領の広島訪問の写真を使っていること。そもそもオバマの広島訪問は、日本政府の外交の中で実現したことであり、自民党の活動ではない。また、これまでの政党CMでは、基本的に出演者はその政党の代表者のみとされてきた。自民党員でもなんでもないアメリカの大統領の画像を勝手に出すなんてありえないだろう。

「これは報道ではなく広告ですから、肖像権やパブリシティ権の問題もある。自民党はその許可もとっていなかったのではないか、という疑問もあります」(前出・民放関係者)

 さらにもうひとつ、問題になったのは、CMに出てくる"経済実績"の数字だった。これまた、政党の活動ではないうえ、「数字が恣意的で、客観的ではない」という指摘の声が各局でそろってあがったという。

 たとえば、本サイトが情報を得た自民党のCM案では、〈雇用100万人増加〉などと謳われていたが、実際には2012年と2015年を比較すると正規雇用は36万人も減少している(しんぶん赤旗16年6月11日付)。また、〈賃上げ2%達成3年連続〉というのも完全に誇大広告だ。厚労省の統計では実質賃金は5年連続でマイナスを記録している。

 外交の政治利用に誇大広告――こんなCMを本気で放映しようとしていた自民党の神経に唖然とするが、各局は当然、自民党側に「このままでは放映できない」と突き返した。それは安倍応援団のフジテレビ、日本テレビでも例外ではなかったという。当のフジテレビの関係者が語る。

「さすがのうちも法律違反にかかわることですから、受け入れることはできないですよ。考査部が営業部にNOを出して、電通に持って帰ってもらったと聞きました」

 ところが、である。自民党はオバマと安倍首相のツーショット、そして"経済実績"の数字の告知を頑としてゆずらず、修正案でもほとんど同じ映像を出してきた。そして、先の電通、ADK、I&Sという3つの代理店が毎日のように各局の営業部にやってきて、CMを放映するように圧力をかけ始めたという。

 さらに、一部の局には弁護士まで送り込んできて、恫喝をはじめたというのだ。先のフジテレビの関係者がこう語る。

「先週だと思うんですが、自民党の広報担当者が弁護士を連れて直接、社に乗り込んできたという話が現場にも伝わってきました。取締役局長クラスと会って、オバマ訪広も経済実績も党の政策の結果だと正当化したようです。あと、上層部にも他のチャンネルから働きかけがあったと聞いています。テレビ局としては、官邸ににらまれるのは怖いので、本音としてはそのまま放映したい。ただ、そのまま出せば出したで、明らかな公選法違反ですから、絶対に問題になる。営業部も考査部も板挟みになって頭を抱えていました。とにかく、孤立するのが一番怖いので、各局の担当者で『おたくはどうするの?』と連絡を取り合い、最終的には各局の経営トップがどう判断するか、というところまできていました」

 ところが、公示日前々日になって、自民党は突如、"戦略"を転換してきた。CMからオバマ訪広を下げるかわりに、"経済実績"の数字をそのまま使うようにもちかけてきたのだという。前述とは別の民放キー局関係者の談。

「バーターですよ。オバマの広島訪問は、さすがに各局が改稿を要請し続けた。そこで、これを取り下げる代わりに、経済実績の数字の宣伝はさせろ、と。普通なら、これも公選法違反のうえ誇大広告ですから、ありえないんですが、この間、テレビ局は自民党にずっとぎゅうぎゅう詰められていたので、この妥協案を呑む気配が濃厚になっています。『オバマがなくなったのならまあいいか』と。もしかしたら、自民党が最初からそういう妥協を狙って、オバマの画像をふっかけていたのかもしれません」

 ようするに、弁護士まで連れてきて圧力をかけ、ヘロヘロになった民放キー各局を懐柔。デタラメな経済実績の数字は、そのまま垂れ流されることになるというのだ。

 繰り返すが、各放送局の政党CMの考査は、公職選挙法と日本民間放送連盟の指針に基づいた各局の内規で決められるものだ。それは、放送の独立を考える上でも、とくに公権力からは厳密に距離をとらなければならないからである。

 しかし、自民党はそれを無視して、違法なCMをゴリ押し。それを今、通そうとしている。安倍自民党が放送局に対してこれほど強引な手段に出るのは、「圧力をかければ放送局は黙る」とタカをくくり、他党を簡単に出し抜けると思っているからだろう。あまりにも傲岸不遜としか言いようがない。

 参院選の公示は明日。放送される自民党の政党CMが最終的にどういった形になるかはまだ確定的でないが、野党は、この自民党の圧力行為を徹底追及し、国民に広く知らしめるべきだ。そして、メディアの独立性だけでなく、公職選挙法までをも力でねじ伏せようとする安倍政権に対して、私たち有権者は報道の自由と民主主義を守るために、絶対にNOを突きつける必要がある。

金森

足立美術館

  • 雑談

島根安芸は、やはり遠い。

足立美術館に着いたのは正午頃だ。家を出て8時間が経過していた。途中高速道のPAで、朝食にカップ麺、昼食は前日に金沢駅で買ってきた源の鱒ずしで済ませた。美術館の駐車場に車を停めて、早々に美術館に入った。

足立美術館には常々訪れたいと思っていたが、電車にしろ車にしろ、なにせ時間もかかり、都合が付かず訪れることができなくていた。

今回意を決して車で計画した。と云うか、妻が計画してくれた。

足立美術館では横山大観の作品が多く収集され展示されている。日本庭園も横山大観の世界を意識して造られているとのことだ。自然を借景にした日本庭園は実に素晴らしい。ただ、作品を鑑賞しながら歩くと結構疲れる。喫茶室で日本庭園を眺めながら、クリームあんみつで一服した。

日本庭園 足立美術館
庭園の借景。近景、中景、遠景

クリームあんみつ 足立美術館

金森

読売新聞の元北京総局長がナベツネ忖度体制の記事潰しを告発!「読売は中国共産党に似てる、日本の人民日報だ」
http://lite-ra.com/2016/06/post-2328_4.html
LITERA

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読売新聞会社案内サイト「読売新聞へようこそ」より


 世界一の発行部数を誇る読売新聞がいよいよおかしなことになってきた。"紙面統一"の名の下に安倍政権に不利な報道が徹底的に排除されているのだ。

 たとえば、「今世紀最大級の金融スキャンダル」といわれたパナマ文書問題では登場する日本の企業名や著名人の名前が伏せられていた。あるいは、沖縄で起きた米軍属による女性殺害事件も他紙が詳細を報じているにもかかわらず、米軍関係者の関与については容疑者が逮捕されるまでは一行も触れていなかった。これらのことは、すでに本サイトでも既報のとおりだ。いずれも、政権にとってマイナスにならないようにという配慮ではないかとされている。

 実は、こんなことは氷山の一角なのだ。一般社団法人日本報道検証機構が8日、全国紙の「安保法制」関連報道の分析リポートを発表した。昨年5月〜9月の間の朝日、毎日、読売、産経の安保法制関連記事に出てくるコメントの数を調査したのだ。このうち、デモ関連の記事に出てくるコメント数の比較は圧巻だ。朝日214、毎日178に対して、なんと読売はたったの10。産経の11より少なかった。

 社論として安保法制賛成なのはいいとして、読売の読者にはあれほどの盛り上がりを見せた安保法制反対デモの参加者たちの声がほとんど届かなかったことになる。つまり、世の中で起きている「事実」でさえ、政権に都合の悪いことは報道しないという姿勢なのだ。同じように、沖縄では辺野古基地反対派の声はほとんど載らない。読売新聞だけを読んでいると、あたかもアベノミクスもうまくいっているような錯覚になるとさえいわれる。

 それだけではない。読売新聞では、政治的スタンスとは全く関係なく、特ダネを連発する記者には「禁止令」が出るらしい。リスクがあるから他紙より突出してはいけないというのだ。

 そのことを生々しく伝えているのが『習近平暗殺計画 スクープはなぜ潰されたか』(文藝春秋)である。著者の加藤隆則氏は読売新聞の元北京総局長。1988年に読売に入社、2005年以降は中国特派員として活躍し、その功績が認められて上海支局長、中国取材を統括する北京総局長を歴任。名実ともに、読売の中国報道をリードしてきた人物だ。とくに、胡錦濤政権から習近平政権への権力の移行期には、自らとっておきのネタを掘り起こし、署名記事で世界に先駆けてさまざまなスクープを報じてきた。

 ところが、そんなさなか、この敏腕記者に「特ダネ禁止令」が出され、「緊急帰国命令」まで出されたのだという。

 それは、2012年5月16日、中国共産党の「中央政治局常務委候補リスト10人」という加藤氏のスクープが、同紙の朝刊一面を飾った日の夕方のことだった。当時の坂元隆国際部長から加藤氏の携帯に「浅海保の言葉」として以下のような内容の通達があったのだという。

「一連の加藤電について大丈夫なのかと心配する声も中国をよく知る人物から届いている」「特ダネはしばらく冷却期間を置くことにする」

 さらに、6月5日、「急だけど、すぐに帰国するように」と帰国命令が下った。坂元国際部長は加藤氏を守るためだと説明したというが、実際は、加藤氏の身に危険が及ぶというような動きはまったくなかった。そこで、加藤氏は帰国を拒否。すると、会社は加藤氏を2013年、北京総局長から上海駐在編集委員に左遷してしまう。

 しかし、加藤氏はそれでもめげなかった。2015年、加藤氏は「習近平暗殺計画があった」ことを中国共産党幹部が公式に認めていたというスクープネタをつかむ。加藤氏は複数の証言をおさえるなど、慎重に裏取りして記事に仕上げ、東京に送った。

 ところが、出稿から1週間以上も放置されたあげく、本社は掲載を拒否してきた。加藤氏の裏取りは通常の掲載の条件を十二分に満たしていたが、国際部長は「物証がなければ載せられない」の一点張りだった。

 中国で政権中枢に関する情報の物的証拠を得ようとすれば、情報源も記者も刑事罰を覚悟しなければならない。これ以上、情報源を危険に晒すわけにはいかない。そう訴えても、聞く耳を持たなかったという。ようは、絶対にクリアできないハードルを設けて記事を潰したかったのだ。

 加藤氏は「物証がなければ報道できないというのであれば、報道機関の使命を果たすことはできない」と、自分の出処進退を賭けて掲載を要求したが、返ってきた答えは、「全容を物証として把握することは必須」とにべもなかった。

 結局、加藤氏はこの特ダネを世に問うために会社を辞め、フリージャーナリストとして取材をし直し、約3カ月後に月刊「文藝春秋」で発表した。

 この『習近平暗殺計画』には、加藤氏の暗殺計画をめぐる取材の詳細はもちろん、このスクープが潰された一部始終も詳しく書かれている。

 ちなみに、加藤氏のスクープはけっして、安倍政権に対して有利とか不利とかの影響を与えるものではない。にもかかわらず、なぜ読売新聞は、これを潰してしまったのか。

 加藤氏は最近、スタジジブリの雑誌「熱風」に連載されているジャーナリスト・青木理氏の対談に登場。その理由について述べ、読売新聞の最近のありようを改めてこう批判している。

「だんだん官僚的になって、事なかれ主義になっている。今の政権にくっついていればいいんだと。それ以外のことは冒険する必要はなく、余計なことはやめてくれと。これは事実だからいいますけど、読売のある中堅幹部は、部下に向かって『特ダネは書かなくていい』と平気で言ったんです。これはもう新聞社じゃない。みんなが知らない事実を見つけようという気持ちがなくなった新聞社はもう新聞社じゃないと僕は思います」
「この新聞社にいても書きたいことは書けなくなってしまった。そういう新聞社になってしまったということです。社内の人間は多くが息苦しさを感じている。(略)でも辞められない。生活もありますから。だからみんな泣く泣く、やむなく指示に従っている。」

 かつての読売は本田靖春氏や大阪の黒田軍団を引き合いに出すまでもなく、自由闊達な雰囲気があった。それが明らかに変わり始めたのは、今年5月30日の誕生日で90歳になった渡邉恒雄会長兼主筆が、1979年に論説委員長に就任してからだったという。渡邉氏はオーナー経営者でもなければ、販売の神様といわれた務台光雄氏のような実績があるわけでもない。権力基盤は非常に脆弱だった。そこで、飴とムチと権謀術数による支配を築くことに着手した。

 自らになびく相手は徹底的に大事にするが、歯向かう相手は完膚なきまでに叩きのめす。結果は功を奏して、渡邉氏は名実ともに読売トップとして全権を掌握することになる。渡邉氏が社長の座を手にしてからもう20年以上になる。この間に"反ナベツネ"勢力は徹底的にパージされている。いまや渡邉氏の周囲はイエスマンばかりで、社内には"事なかれ"と"忖度政治"がはびこるようになったという。

 独裁体制が長引くにつれて渡邉氏本人の意向ではなく、渡邉氏の意向を勝手に忖度する"忖度システム"が肥大化するようになる。いまや読売で出世するには取材力や企画力より"忖度力"が重要だといわれるほどだ。

 そして、この間いちばん変貌したのが読売社会部だった。かつて渡邉氏の出身の政治部と対立し、渡邉独裁体制を牽制する勢力としての存在感を示していたが、いまでは渡邉氏の"御庭番"として完全に取り込まれている。その中心を担っているのが、"ナベツネ防衛隊"とも呼ばれる法務部だ。もともと社会部出身者が担う部署だったが、数年前に法務室から法務部に格上げされ、社会部の司法担当経験者などエース級が集められるようになったという。

  彼らは訴訟対策など一般的な法務の仕事だけでなく、社内外の"反逆者"に対しても目を光らせている。2011年11月に起きたいわゆる"清武の乱"を鎮圧したのも法務部の面々だった。

 この法務部ついても、加藤氏は前述の対談でこう批判している。

「訴訟を起こされることが増え、当初は記者を守ることが目的だったんです。訴えられる時に記者を守る。そのリスク管理がいつのまにか会社のものになり、下手をすると経営者のものになってしまった」「読売は、その傾向が強い。なかば冗談で言うんですが、朝日新聞の社長が辞めましたね。共同通信の社長も辞めました。(中略)そういうことは読売では絶対起きません。下からパパパッとすぐ切っちゃいますから。」

 こうした強固なナベツネ支配体制の確立と引き換えに、読売が失ったものはあまりにも大きかった。加藤氏のような特ダネ記者は社を去り、紙面はどんどん画一化、硬直化していった。

 そして、今、読売は冒頭で指摘したように、他紙がすべて報じている事実でさえも、政府のお墨付きがない場合は一切書かなくなってしまった。忖度体制は、究極まで強化されてしまったといえるだろう。

 加藤氏は、先の「熱風」で現在の読売新聞の姿について、こんな辛辣な表現をしていた。

「(いまの読売は)中国の共産党と似ているんです。これも冗談ですが、『日本の人民日報だ』という奴がいました。逆に中国で『人民日報は中国の読売新聞だ』って言ったら人民日報の人が怒っちゃったなんて話があります(笑)」

 安倍政権と読売新聞によって、日本はどんどん中国のような国になっていくということなのだろうか。
(野尻民夫)

金森

安倍GDPがまたも民主党に惨敗...アベノミクスとは何だったのか?

http://www.mag2.com/p/news/207440
MAG2NEWS

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6月1日、消費税増税の再延期を正式表明した安倍総理。アベノミクスは巧く行っているとしつつも、「新しい判断」による再延期であると強調しました。メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではこの会見で総理が口にした数々の「アベノミクス成功の証」ともいうべきデータを「統計操作の幼稚なトリック」と一刀両断、さらに「アベノミクスは錯乱状態に入った」とまで言い切っています。

錯乱状態に入ったアベノミクス──安倍6月1日記者会見を精査する

スタートから3年を経たアベノミクスが巧く行っているのであれば、公約通り17年4月に消費税の10%への増税を断行すればいいのである。それを断行できないということは、アベノミクスは巧く行かず失敗に終わったという以外の何も意味しておらず、それは致命的な公約違反であるから、安倍晋三首相は国民に対して謝罪して内閣総辞職しなければならない。

ところが、何が何でも政権にしがみつきたい安倍は、アベノミクスは巧く行っているけれども消費増税は先延ばししなければならないのは何故かについて、ありとあらゆる詭弁を弄して、日本国民を騙そうとするならまだしも、サミットの場で世界主要国の首脳まで罠に掛けて自己正当化の道具に利用しようとする前代未聞の奇異な行動に出た。

首脳たちは、安倍の仕業に驚きながらも、外交的儀礼の範囲内で彼の主張に異議を唱えるにとどまったが、主要国のメディアは揃って、遠慮会釈もなく安倍の錯乱ぶりを批判するという、国辱的な事態が出現した。奇妙なのは日本のメディアで、この大失態を理由に安倍に退陣を迫る論調は湧き起こることはなかった

有効求人倍率のトリック

安倍がアベノミクスが巧く行っていることの理由の筆頭に挙げるのは雇用と賃金である。6月1日の記者会見で彼はこう言った。

有効求人倍率は24年ぶりの高い水準となっています。それも、都会だけの現象ではありません。就業地別で見れば、北海道から沖縄まで47の都道府県全て1倍を超えました。これは史上初めての出来事であります。1人の求職者に対して1つ以上の仕事があるという状況を創り出すことができたのです。

リーマンショック以来、減少の一途をたどっていた正規雇用は昨年、8年ぶりに増加に転じ、26万人増えました。この春の高校生の就職率は、24年ぶりの高さであります。大学生の就職率は、過去最高となりました。政権交代前から中小企業の倒産も3割減少しています。ここまで倒産が減ったのは、25年ぶりのことであります。

所得アップについても、連合の調査によれば、中小企業も含めて、一昨年、昨年に続き、今年の春も3年連続で、今世紀に入って最も高い水準の賃上げを実現することができました。今世紀に入って最も高い水準であります。それを実現することができたのです。そして、パートの皆さんの賃金も過去最高を記録しています。一部の大企業で働いている方の給料が上がっただけでは、決してありません。パートで働いている皆さんの時給も過去最高となっているのです。どうかここも見ていただきたいと思います。

雇用を創り、そして所得を増やす。まだまだ道半ばではありますが、アベノミクスは順調にその結果を出しています。......

有効求人倍率は、ハローワークで職探しをする人1人当たりに何件の求人があるかを示す数字で、それで結果的にどれだけの人が職を得ることが出来たかの実績とは関係がない。日本はすでに「人口減少社会」に突入し、総人口の減少より速いスピードで生産年齢人口が減少しつつあるので、中長期的・構造的に人手不足になるのは当たり前で、この率の上昇自体はアベノミクスの成果でも何でもない。しかも、近年は正社員の求人が減っているので、正社員の求人だけをみれば0.85倍にとどまっている(16年4月)。

安倍は正社員が増えていると盛んに言うが、2009年以降の各12月末の正規雇用、非正規雇用の変化は次のとおり(総務省「労働力調査」、万人)。

  正規雇用   非正規雇用
09 3360      1766
10 3375(+15) 1806(+ 40)
11 3325(-50) 1843(+ 37)
12 3330(+ 5) 1843(+ 0)
13 3283(-47) 1965(+122)
14 3281(- 2) 2003(+ 38)
15 3307(+26) 2015(+ 12)

14年末に比べて15年末に正規雇用が26万人増えているのは事実だが、そこだけ切り取ってアベノミクス成功の証にしようとするのは統計操作の幼稚なトリックで、13年末には47万人、14年末には2万人の減で、アベノミクスが始まる前の12年末と比べれば15年末は23万人の減である。それに対して非正規雇用は一貫して増え続け、12年末と比べて15年末は172万人の増である。

正規と非正規の割合は、80年代にはおおむね80:20、90年代後半から70:30、00年代には60台:30台と傾向的に差が縮まって、15年末には史上最小差の62.1:37.6であるから、そこだけを切り取って「非正規の比率は今世紀始まって以来の最高に達した」と表現することもできるのだが、安倍はそれについては触れないようにしている。

実質賃金の低下で消費も落ち込み

賃上げが「今世紀最高水準」だとか、パートの賃金も「過去最高」だとか言うが、それは名目の話で、厚生労働省の毎月勤労統計調査の「実質賃金指数」で見れば、4年連続でマイナスである。

   指数   前年比
10  100.0
11  100.1  +0.1
12   99.2  -0.9
13   98.3  -0.9
14   95.5  -2.8
15   94.6  -0.9

実質賃金が伸びなければ消費が伸びるわけがない。総務省の「家計調査」が示す2人以上世帯の年平均実質消費支出の対前年比(月別は対前年同月比)のアベノミクスが始まって以降の数字はこうである。

13  +1.0
14  -2.9
15  -2.3
16/1 -3.1
 /2  +1.2
 /3  -5.3
 /4  -0.4

消費は低迷を通り越して落ち込んでおり、消費がGDPの半分を占める最重要指標であることを思えば、この数字こそがアベノミクスの大失敗の明証である。

なお中小企業の倒産については、倒産件数と同時に「休廃業・解散件数」を見なければならない。特に個人事業主の高齢化と後継者不在は深刻で、倒産する前に廃業してしてしまうケースが多く、そうであれば倒産にはカウントされない。15年の休廃業・解散件数は2万6,699件で、リーマン・ショック後の09年の2万5,397件を上回っている。中小企業の総数は、12年の385.3万社から14年の380.9万社に4.4万社も減っている。

もう一度、上の安倍発言を見ると、短い文章の中に「24年ぶりの高い水準」「史上初めての出来事」「8年ぶりに増加」「24年ぶりの高さ」「25年ぶりのこと」「今世紀に入って最も高い水準」「過去最高を記録」といった言葉がこれでもかと散りばめられているが、ほとんどテキ屋の口上に等しいものであることが分かる。

なぜ「国民総所得」を持ち出すのか?

この記者会見では安倍はその言葉を使っていないが、彼がしばしば持ち出し、自民党の政権公約でも書かれているアベノミクスの実績に「国民総所得が36兆円増えた」という表現がある。

国民総所得(GNI=Gross National Income)とは、経済規模の大小を計るのに普通使われる国内総生産(GDP=Gross Domestic Production)に企業の海外での活動による収支を加えたもので、20世紀末まで国際的に使われていた国民総生産(GMP=Gross National Production)とほぼ同じものと考えてよい。なぜGNPを復活させたいのかと言うと、海外への投資で高い収益をあげたり、原油価格などの下落で安く資源を輸入できるようになると、その分がGNIに加算されてGDPより経済規模が大きく見えるからである。目眩ましに遭わないように、名目と実質のGDPとGNIの近年の数字(暦年、単位=億円)と対前年度伸び率(%)を掲げるので、じっくりと研究して頂きたい(内閣府国民経済計算より)。

 名目GDP    名目GNI     実質GDP    実質GNI
08 5012093(-2.3) 5180023(-2.3) 5182309(-1.0) 5182926(-2.6)
09 4711387(-6.0) 4842164(-6.5) 4895884(-5.5) 4973667(-4.0)

10 4826769(+2.4) 4956512(+2.4) 5126548(+4.7) 5151451(+3.6)
11 4715787(-2.3) 4862538(-1.9) 5103259(-0.5) 5083662(-1.3)
12 4753317(+0.8) 4903861(+0.8) 5192168(+1.7) 5161918(+1.5)

13 4790837(+0.8) 4967250(+1.3) 5292611(+1.4) 5239874(+1.5)
14 4868712(+1.6) 5066073(+2.0) 5261149( 0.0) 5231084(-0.2)
15 4992275(+2.5) 5221429(+3.1) 5289700(+0.5) 5361504(+2.5)

総じて、名目でも実質でも、GDPよりもGNIの方がプラスもマイナスも大きく表示されることが分かる。

安倍は13年6月に成長戦略第3弾を発表した時の会見で、「1人当たりの国民総所得を10年間で150万円にする」ことを目標として打ち出したが、これは、GDPすなわち国内経済の拡大だけでは150万円の所得増は達成できそうにないから、海外での稼ぎが大きく膨らむことを計算に入れ込んでゲタを履かせようという魂胆であることは明白。とはいえ、12年の1人当たりGNI=384万円を150万円上積みして534万円まで持って行くには、GNIが年率3.1%で成長させることが必要で、どちらにしても達成は難しい。

ところで、上の表を見て気づくことは、大ざっぱに民主党政権時代と呼んでいい10年から12年の合計成長率と、アベノミクスが始まった13年から15年のそれと、それぞれ3年間を比べると、実質GDPで、民主党時代が5.9%であるのに対し、安倍政権時代は1.9 %にとどまっていることが分かる。

民主党が政権交代を果たしたのはリーマン・ショックのちょうど1年後の09年9月で、すでに始まっていた09年度と翌10年度を通じて15兆円もの歳入欠陥(予定した税収が入って来ない事態)が生じた。誰が政権に就いていようとパニックに陥って不思議はないその危機の中で、しかし同政権は、「コンクリートから人へ」のスローガンの下、無駄な大型公共事業の思い切って削減した分を文教予算に回して(省庁縦割りを超えた予算の再配分は明治以来初めて!)高校授業料無償化や小学校の30人学級化、小中学校校舎の耐震化などを実行した。さらに11年には東日本大震災と福島原発の事故という未曾有の危機に直面したが、それでもなお、12年末に安倍に政権を譲るまでに、それだけの成長を達成している。

それに比べて安倍は、6月1日の会見で自ら述べたように「現時点でリーマンショック級の事態は発生していない」し、「熊本地震を大震災級だと言うつもりもない」という中で、民主党時代の3分の1の成長しか実現していない。

それでいて安倍は、選挙演説で盛んに「アベノミクスは失敗していない。野党が批判するなら対案を出せ」などと叫んでいるが、アベノミクスへの対案を出さなければならないのは、まずもって、安倍である。

世界の中で恥ずかしい国

安倍は6月1日の会見で、こう言った。

中国など新興国の経済が落ち込んでいます。その中で、世界経済において、需要の低迷、また成長の減速が懸念されているわけであります。こうした世界経済のリスクについて、今回、伊勢志摩の地において、日本が議長国として行ったサミットにおいて、この世界経済の状況、リスクについて認識を共有したわけであります。そうした中において、新たな危機に陥ることを回避するため、適時に全ての政策対応を行うことで合意をし、これが首脳宣言に明記されたわけであります。

G7と協力して、日本としても構造改革の加速や財政出動など、あらゆる政策を総動員していかなければなりません。それが正に今回、議長国として首脳宣言を作成する、いわばリーダーシップをとった国の責任でもあろうと思います。正にこういうリスクのある中において、需要が低迷する、成長が減速する、このリスクの中でやるべきことを全てやっていかなければならないという中において、私たちが進めてきた、いわば「三本の矢」の政策を、G7でこの「三本の矢」の政策を進めていく。この認識を共有したわけであります。この認識を共有する中において、この議論を主導した議長国日本としての責任があるだろうと思います。

その中で、先ほど申し上げましたが、政治的な責任、かつて言っていたことと違うではないか。確かにリーマンショック級の出来事は起こっていませんし、大震災も起こっていないのは事実であります。ですから、新しい判断をした以上、国民の声を聞かなければならないわけであります。......

安倍がサミットで世界の首脳に臆面もなく偽計データを示し、終了後の会見で「リーマン・ショックという言葉を7回も繰り返しつつ「G7で三本の矢の政策を進めていくとの認識を共有した」とまで強弁して失笑を買ったことについては、本誌No.839で論じたので繰り返さない。それにしてはこの6月1日会見で「リーマン・ショック級の出来事は起こっていないと2度も3度も繰り返したのはどういうことなのか。もはや安倍の思考が支離滅裂に陥っていることが明らかである。

それにしても、彼がここで「日本が議長国として......リーダーシップをとった国の責任」「この議論を主導した議長国日本としての責任」とか繰り返して、自分が世界のリーダーであるかに言挙げしているのは恥ずかしい限りである。

ご存じかどうか、15年の成長率の国際比較で言えば、日本は世界162位で、G7の中では最下位、アジアの中でもインド、中国、韓国などにも大きく遅れをとっている情けない国なのである。

順位        15年成長率()
111  米国     2.43
116  イギリス   2.25
139  ドイツ    1.45
143  カナダ    1.18
146  フランス   1.14
158  イタリア   0.76
162  日本     0.47

安倍は、口を開けば「中国経済の停滞」に迷惑していると言うけれども、このランキングで言えば、中国は16位で6.9%の成長維持しているのであって、向こうから言わせればほぼゼロ成長の日本からどうこう言われたくないよということだろう。G7の中でも、リーマン・ショック目前だとか騒ぐのであれば、まず自分の成長率をどうにかすればいいじゃないかと冷ややかに見られているに違いない。

安倍がお好きな前出「1人当たり国民総所得」の世界ランキングで見ても、日本は34位で、アジアではカタール、マカオ、シンガポール、クウェート、UAE、香港、ブルネイより下の中程度、G7の中では辛うじてイタリアにブービーメーカーを譲った程度の二流国に属する(14年、国連、米ドル)。

順位      15年1人当たりGNI
12  米国   55794
20  カナダ  49376
21  ドイツ  49065
25  イギリス 45614
28  フランス 43645
34  日本   37765
36  イタリア 35802

こうしたデータから見れば、日本はまずは粛々と自らが努力して世界のご迷惑にならないよう努めなければならない立場であるにもかかわらず、「俺がお前らに世界経済がリーマン・ショック目前の危機に瀕していることを教えてやる」とでも言うような偉そうな態度をとった。これはほとんど錯乱状態である。

image by: 首相官邸

高野孟のTHE JOURNAL』より一部抜粋
著者/高野孟(ジャーナリスト)
早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

金森

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