昼過ぎに家からスマホに電話があった。吉岡(仮称)と云う人から、家に電話があったとの連絡だった。
私は高校を卒業して新宿にある専門学校で2年間コンビュータを勉強した。名前からするとその時の友人だ。彼は卒業して直ぐに同じクラスの女性と結婚した。もちろん、彼女のことは私も知っている。しかし、彼らの結婚式に出て以来会っていない。折りに触れ気にはしているのだが、住まいが東京ということもあり、年に一度の年賀状のやり取りで、消息を確認しあうことしかできていない。
午後5時過ぎに家に戻り、玄関引戸を開けた途端にスマホに着信があった。聞き覚えのある声。しゃべり方も昔そのも。まぎれもなく吉岡だった。昨日は富山の金太郎温泉で一泊し、金沢駅近くのルートインにチェックインしたところとのことだった。私のスマホの番号は、いま家に電話して妻に教えてもらったとのことだ。六時半に金沢駅で会うことにした。
鼓門の下で彼らと落ち合った。41年間会っていないので、目印を決めておかないと分からないかもと多少不安に思っていたが、そんな心配は無用だった。遠目からも直ぐに分かった。彼らは目ざとく私を見つけたようで、手を振っている。私も手を振ってこたえた。
家を出る前に予約しておいた居酒屋で一杯やり始めた。当時のこと。今までのこと。友人たちのこと。今のこと。とりとめなく、いろんな話題で盛り上がり、時間が経つのを忘れて話し込んだ。4時間は話していた。しかし、41年間を埋めるにはいささか時間が足りなかったようだ。
また、会おうと約束した。ひょっとしたら、41年後になるかも知れないが。
金森
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