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これからの農業

  • 雑談

大量生産、大量消費の時代は終わったと言われ始めて久しい。

グローバル化を進めるということは、薄利多売で収益を上げることを意味する。結局は価格競争だ。価格競争では当然原価を押さえる方向に動く。原価で多くの部分を占めるのが人件費である。要するに、グローバル化の行き着く先はいかに人件費を押さえるかの競争といっていい。

一方、1980年台中頃から「日本の右肩上がりの時代は過ぎ去り、低成長時代に入った」と言われてきた。しかし、日本は未だに右肩上がり時代の成功体験から抜け出すことができないでいる。アベノミクスなるものは正に高度成長時代を彷彿とさせる政策である。農業政策なども大規模化政策である。TPPに参加して、農家を大規模化して人件費を押さえ、自動車のように輸出を増やすといったものである。

今や専業農家は極一部であり、ほとんどが兼業農家ではないだろうか。農業を大規模化するといったところで、それに対応できる農家は数える程しかいないだろう。多分、多くの農家は農業を止めることになるだろう。あるいは、自分の周りの者だけのコメや野菜、果物を作り、市場には出さなくなるだろう。

そもそも、コメや野菜、果物など農産物は、自動車工場のような工場で生産するには無理がある。東北地方などで、鳴り物入りで作った野菜工場なども思いの外、苦戦しているとも聞く。工場生産できたとしても、ほんの一部の需要を賄うことしかできない。

また、効率的に大量に野菜やコメを作ろうとすれば、強力な農薬や遺伝子組換えといった技術に頼ることになる。農家の身の丈にあった自給自足的生産では無用な技術とも言える。

わたしは、ときたま車で、京都、滋賀、愛知、長野、岐阜、三重、鳥取、島根などに出かける。そんなとき、道の駅や地元野菜の直売場に寄る。その土地々々の農家の人たちが、家の周りで収穫した野菜などの農作物を、直売場に持ち込んで売っている。作った人の名前が印刷され、写真が貼ってある場合もある。

農作物をトラックなどで都会に運んで売る時代は過ぎ去ろうとしている。近い将来、都会の人が産地に行かないとコメや野菜が買えない時代になる。買い出しに行けない人は、中国や米国などから輸入した遺伝子組換え農作物、あるいは、世界の多くの国が輸入を禁止している放射能まみれの農作物に頼らざるを得なくるだろう。

自民党など与党が推し進める日本農業の形ではないだろうか。気づいた時には遅いとならなければと願っている。

金森

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