2015年8月の記事一覧

安倍晋三首相には、菅原文太さんの言葉を噛み締めてもらいたい。

君たち国会議員が、守るのは、国家の名誉なのか、それとも、国民一人ひとりのいのちなのか。」

以下に、The Huffington Post の記事「夜回り先生、武藤貴也議員のSEALDs批判に反論」を転載して紹介する。

夜回り先生、武藤貴也議員のSEALDs批判に反論

http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/07/mizutani-osamu-muto-takaya_n_7954302.html(The Huffington Post 2015年08月07日)

(左)水谷修さん=2010年08月23日、シンポジウム「自殺予防のためにできること」で講演。東京・九段会館、(右)武藤貴也氏 2014年11月30日撮影 | 時事通信社

自民党の武藤貴也・衆院議員(36)が安保法案に反対する学生グループSEALDsを「利己的個人主義」などとツイートした問題で、子供たちの非行防止に取り組み「夜回り先生」として知られる元高校教諭の水谷修さんが「完全に武藤衆議院議員が間違っています」と反論した。

水谷さんは8月4日、公式ブログで国会議員らとともに故・菅原文太さんと食事をした時のエピソードを紹介。議員の一人が尖閣諸島に不法侵入した中国船について「法律を改正し、自衛隊を送り、武力を持ってしても、中国船舶を追い返し、国土を守らなくてはいけない。これでは、日本の名誉が損なわれる」と言ったときの、菅原さんの言葉を次のようにつづった。

「君が、行くのかね。もし、そこで、一発でも銃弾が飛べば、戦争が始まる。そして、自衛官の命が失われる。それでもいいのかね。君に聞きたい。君たち国会議員が、守るのは、国家の名誉なのか、それとも、国民一人ひとりのいのちなのか。君は、何もわかっていないようだ。私は、あの戦争を体験している。どんなことがあっても、二度と戦争はしてはいけない。名誉なんてものは、一度失っても取り戻すことは出来る。でも、いのちは一度失われたら二度と取り戻すことが出来ない」
 
自民党武藤衆議院議員の発言について|夜回り先生は、今!(水谷修ブログ)より 2015/08/04)

水谷さんは学生らが声をあげていることについて「この国の明日と世界平和を深く熟慮している」と評価する一方、「国があって国民があるのではなく、国民があって、はじめて国がある。今、この発想が多くの国会議員のあたまの中から消えている」と、国会議員を批判。国会議員は国の名誉より国民の命を守ることが大事だとの考えを主張した。

水谷さんは武藤議員に対しても「ツィッターでこのように無造作に侮蔑のことばを投げ捨てるのではなく、彼らのところに出向き、彼らの意見をきちんと聞き、また自分の意見もきちんと話すべき」と呼びかけている。


金森

マスコミが実施する世論調査結果報道で、自分の感覚からすれば、かけ離れた結果のものを目にすることがある。特に政治問題に関しての調査結果報道に多いと感じている。

マスコミが実施している世論調査に関して、興味深い記事があったので、以下転載して紹介する。


読売新聞の世論調査で安保法制賛成を誘導する露骨な質問! でも結果は...

http://lite-ra.com/2015/08/post-1355.html (LITERA 2015.08.04)

 国民の安保法案への反対の声は日を追うごとに高まっているが、安倍政権の御用メディアはどうしてもそれを認めたくないらしい。集団的自衛権容認、安保法案に一貫して全面賛成を表明してきた読売新聞が、7月24〜26日に全国世論調査を実施したのだが、その際にこんな設問をしたのだ。

〈安全保障関連法案は、日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するものです。こうした法律の整備に、賛成ですか、反対ですか〉

 安倍政権の主張をそのまま質問文に盛り込む露骨すぎる誘導質問。ここまでやるかと驚きだが、しかし、この"質問文マジック"にもかかわらず、「安保法の整備」に「賛成」38%、「反対」51%。今国会での安保法成立については、「賛成」26%、「反対」64%と、いずれも反対が賛成を大きく上回り、逆に、国民が明確に廃案を望んでいるということを明らかにしてしまった。

 だが、結果には反映されなかったとはいえ、社会の公器であり、公正な報道が求められる大新聞がここまで露骨な世論調査をやっていいのだろうか。

 あの池上彰も朝日新聞8月1日付のコラム「新聞ななめ読み」で、この読売の世論調査について、こうバッサリと切り捨てている。

「こんな聞き方だったら、『それはいいことだ』と賛成と答える人が大勢出そうです。設問で答えを誘導していると言われても仕方ないでしょう」

 しかも、読売のこうした"偏向質問"は、いまに始まったことではない。本サイトは、これまでも読売の世論調査調の結果が他社と大きく異なっていたことを、今年6月に指摘。いずれも安倍政権に有利に働く結果を誘導するものだった。その"世論操作"のカラクリを解説した記事を以下に再録するので、是非この機会にご一読いただきたい。
(編集部)

***********************

▽なぜ読売新聞の世論調査では「安保法制賛成」が40%もいるのか? 回答誘導のカラクリ

(リテラ 2015年6月25日付)

 安保法制法案に「賛成」27.8%、「反対」58.7%──共同通信社が今月20日、21日に実施した全国電話世論調査の結果である。明らかに国民は安倍政権がゴリ押ししている安保法制にNOと言っているわけだが、ところが、ある別のマスメディアはこんな数字を出していた。

〈1.賛成 40%  2.反対 48%  3.答えない 12%〉

 これは、読売新聞が今月8日に実施した全国電話世論調査結果だ。賛否を問われているのは同じく「安全保障関連法案」。読売の調査を参考にすると国民の意見は拮抗しているように見える。なぜ、ここまで違いがでるのか?

 じつは、ここにはとんでもないトリックが隠れている。

「世論調査では数字が"力"です。その数字の扱いは注意を要するもので、受け取る側にきちんとした知識がないとだまされてしまうこともありえます」

 そんな帯の警句が目を惹くのは、5月に刊行された『世論調査とは何だろうか』(岩波文庫)。著者の岩本裕氏は、NHK報道局科学文化部デスクを経て、現在は解説委員を務める人物。『週刊こどもニュース』(NHK)の3代目「お父さん」を担当していることでも知られている岩本氏が解説する"世論調査の罠"は、思わず膝を打つほどわかりやすい。

 まずはこんな例について、本書から紹介しよう。昨年、安倍政権が閣議決定した集団的自衛権の行使容認。2014年の4月から5月にかけて、大手マスメディアが世論調査でその是非について集計したところ、なんと、各社ごとで真逆の結果がでたのだ。

 たとえば「反対」に注目すると、朝日新聞(56%)、日経新聞・テレビ東京合同(49%)、共同通信(52.1%)はいずれも50%前後を占めていた一方、読売新聞では「使えるようにすべきではない」が25.5%、産経新聞・FNN合同調査では「使えるようにする必要はない」が25%と、驚くほど対照的な数字が現れていたのである。読売と産経はこの自社調査の結果を踏まえて一面をこんな見出しで飾った。

〈集団的自衛権71%容認 本社世論調査 「限定」支持は63%〉(読売新聞14年5月12日付朝刊)
〈行使容認七割超〉(産経新聞4月29日朝刊)

 どういうことか? 著者は、この正反対の結果は「回答の選択肢」による影響が大きいと分析する。

 朝日調査の選択肢は「行使できない立場を維持する」「行使できるようにする」の二種類だった。日経・テレ東合同、共同通信調査の選択肢もまた「賛成」か「反対」かの二者択一。他方、読売と産経調査では、若干文言は異なるものの「全面的に使えるようにすべきだ」「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」「使えるようにすべきでない」の3つから選ぶかたちになっていたのである。

一見してわかるように「読売と産経は賛成に関する選択肢が2つ、反対が1つと、バランス的に賛成方向が多い」。しかも、賛成と反対の"間"の選択肢のことを「中間的選択肢」と呼ぶが、NHK放送文化研究所の実験調査によれば、"普段あまり考えないようなこと"を質問された場合、人々は中間的選択肢を選ぶ傾向が強くなるという。

 事実、前述した読売と産経の世論調査における「賛成」の内訳は、こうなっていた。

「全面的に使えるようにすべきだ」=7.3%(読売)、8%(産経)
「必要最小限度で使えるようにすべきだ」=64.1%(読売)、63%(産経)

 ようするに、読売と産経の調査では、集団的自衛権行使を「必要最小限の範囲で」認めるという"賛成寄りの中間選択肢"を設けたことで、ここに答えを集中させたのである。改憲派で安倍政権の御用メディアであるこの2社は、意図的にこうした選択肢を用意し、あたかも「賛成」が7割超を占めたかのような見出しをつけ、一面トップで報じたわけだ。明らかな世論操作と言うべきだろう。しかも、読売と産経のペテンはこれだけではない。

 本書では、上智大学新聞学科の渡辺久哲教授による、「世論調査の質問で避けたい言い回し」として、(1)「場合によっては」(2)「慎重に検討すれば」(3)「必要最小限の」(4)「〜しても仕方ない」(5)「事情があれば」の5つが紹介されているが、読売と産経は、まさにこの「必要最小限度」という曖昧な条件つきの選択肢を使っている。これは、安倍政権が説明する新3要件のひとつである「必要最小限の範囲を超えてはならない」が、実際には明確な縛りにならないことと同種の詐術だ。

 さらに、質問文の説明や前提条件が長いときにも注意が必要だという。なぜならば、その説明文が回答に影響を与える可能性があるからだ。

 ここで改めて、冒頭で紹介した、読売新聞6月8日の世論調査について検討してみたい。すでに勘付いた読者も多いだろうが、この安保法制法案の是非についての質問の説明文に、読売は狡猾なトリックを仕込んでいたのである。これがその質問の文言だ。

〈安全保障関連法案は、日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するものです。こうした法律の整備に、賛成ですか、反対ですか〉

 よく読めば露骨な誘導質問であることは瞭然だろう。安全保障関連法案の内容についての質問にもかかわらず、法案は「日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するもの」と、設問の段階でその評価を肯定的に言い切っている。一方で、当然のように自衛隊員の死亡リスクや、日本が他国の戦争に巻き込まれるという危険性は隠匿している。つまり読売は、「平和」「安全」「国際社会への貢献」という美辞で、回答者をミスリードさせようとしたのだ。

 ここに安倍政権への配慮があるのは確実だ。マスメディアによる世論調査の数字は、しばしば国会答弁でも引用される。ひっきょう、この読売の"世論操作"を根拠として与党が「国民のなかでも賛否が均衡」と、現実とは異なる主張をすることが可能となる。というか、まさにそれが読売の狙いと見て間違いない。

 事実、読売は6月23日の社説でも「国会95日間延長 安保法案を確実に成立させよ」と題して、「安保法案の成立を最優先する首相の判断は評価できる」と、安倍首相の背中を強く押している。読売も含むすべてのマスメディアによる世論調査で、国民の6割前後が今国会での安保法制法案成立に関して「反対」「必要ない」と答えているにも変わらずだ。

 もっとも、読売新聞がれっきとした報道機関であるならば、常に"世論"を忖度して社説をうつことが望ましいわけではない。しかし、世論調査の名目で遂行されるこの露骨な"世論操作"の手口を見せつけられると、読売はもはや報道機関でなく、政府の広報機関だと言わざるをえないだろう。なぜならば、世論調査は"統計的社会調査"であって、新聞社の言論として認められる"論説"ではないからだ。統計的社会調査の報道に意図や主観をねじ込むことを一般的になんと呼ぶか。捏造だ。

 民意を置き去りのまま「戦争のできる国」へと邁進する安倍政権。それに盲従し、世論操作までうってでる読売新聞と産経新聞。この国の"大政翼賛会化"は、着実に進行しつつある。
(小杉みすず)


金森

「金沢独り勝ち」をどう克服するか

東洋ONLINEから転載 http://toyokeizai.net/articles/-/79364

3月14日に開業した北陸新幹線。すべての沿線がお祭りムードに沸いているわけではない(写真:尾形文繁)

3月14日に開業した北陸新幹線が快走を続けている。JR東日本が7月下旬に発表した、お盆の指定席予約状況によると、北陸新幹線を走る「かがやき」「はくたか」「あさま」の利用は前年比257%と大幅に増えた。開業3カ月間の乗客は延べ約246万人と在来線当時の3.3倍に達し、想定以上の走り出しとなった。

だが、過去の整備新幹線の開業と同様、沿線の表情は一様ではない。「金沢独り勝ち」を見出しにしたニュースが流れる一方、手放しで喜べない事情を抱えつつ、克服を試みる都市もある。地域づくりの課題とヒントを、沿線の光景から拾ってみた。

目指すは「滞在型観光の深化」

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開業翌日の金沢駅・鼓門

ホームとコンコースを埋め尽くす人と熱気。待望の北陸新幹線をぜひ一目、という市民の思いがあふれかえる。開業翌日、3月15日午前11時すぎの金沢駅。頭上には、10年前からこの日を待ちわびていた金沢駅のシンボル、鼓門と「もてなしドーム」が誇らしげにそびえる。近江町市場、金沢21世紀美術館といった観光スポットも人でごった返していた。

開業14カ月前の2013年12月、筆者が調査で金沢を訪れた時には、すでにまち全体がカウントダウン・モードに包まれていた。無理もない。東京以西で日本海側最大の都市へ高規格鉄道が乗り入れ、首都圏と直結する。上越新幹線・越後湯沢乗り換えで最短3時間51分だった東京―金沢間が、2時間28分に。時間短縮効果と地域社会へのインパクトは、1982年の東北新幹線・大宮開業時の仙台市に匹敵する。

ヒアリングに対応した金沢市プロモーション推進課の担当者は「私たちが目指すのは、まちのたたずまいや市民の暮らしを1?2カ月じっくり味わっていただく、滞在型観光の深化です」と力を込めた。開業に備えて市内の宿泊施設を調査したところ、ヨーロッパ系の外国人観光客には、分厚いガイドブックを携えて長期滞在している人々が少なくないことが分かった。彼らは金沢の文化や歴史の知識を蓄えて来訪し、まちを隅々まで堪能していたという。そんな観光スタイルを、国内からの旅人にも定着させたい――。建築物をめぐる「アーキテクチャー・ツーリズム」や、技芸・工芸を体験する「クラフト・ツーリズム」など、滞在型観光の受け皿として、多彩なメニューも整えている。

想定を超えた観光客が押し寄せるなか、手軽な旅を印象づける「ちょっと、金沢まで」というキャッチフレーズと、地元が目指す「滞在型観光の深化」は今後、どう調和していくのだろう。地方都市の姿や営みが持つ多様なポテンシャルを考えるうえでも、時間をかけてウォッチしていく必要性と意義を感じる。

金沢から東へ約58km、富山では、金沢ほどの喜びには染まっていない。背景には、北陸の歴史と文化に根ざす、地域の事情も横たわる。

「とにかく関西へ向かうのが不便になった」。多くの市民が口をそろえる。北陸新幹線開業に伴い、富山―東京間は最短3時間11分から2時間8分に短縮、上越新幹線・越後湯沢での乗り換えが解消された。その一方で、北陸と大阪を結ぶ特急「サンダーバード」は金沢―富山間の運行がなくなり、富山と関西を往来する旅客は金沢での乗り換えを余儀なくされることに。「大阪が遠くなった」不満が、「東京が近くなった」喜びを半ば打ち消している格好だ。

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富山駅に乗り入れる「セントラム」の路面電車。工事がまだ続く

市民の表情が冴えない理由のひとつは、金沢駅と異なり、富山駅一帯の整備がまだまだ続くことのようだ。公共交通の整備に力を入れる富山市は、市街地の大改造を進めている。まちを南北に分断する並行在来線「あいの風とやま鉄道」(旧北陸本線)と私鉄・富山地方鉄道を新幹線とともに高架化、さらに富山駅と富山港を結ぶLRT「ポートラム」と環状の路面電車「セントラム」を富山駅で直結させる。新幹線開業に合わせて、セントラムの富山駅乗り入れまでは実現した。しかし、高架化やポートラムとの直結が一段落するのは7年後という。

金沢への屈折した感情

7月初めに訪れた富山駅では、土産品の仮設販売所の撤去がようやく終わり、とやま鉄道の仮設ホームが新幹線ホーム隣で稼働していた。これらの光景が開業ムードに水を差すと感じた利用者は少なくないようだ。

しかし、市内でヒアリングを重ねるうち、富山のまちの成り立ち、そして金沢との「距離感」に由来する屈折した感情が、新幹線に対するやや冷めた視線の要因であるように感じられてきた。

城下町としての富山は戦国期にさかのぼる歴史を持ち、今も富山城趾公園が市中心部に残る。だが、歴史的街並みを大きな財産とする金沢とは対極の苦悩を味わった。太平洋戦争終結の直前、1945年8月2日に米軍の空襲を受け、市街地のほとんどが焦土と化した。一方で、インテックや不二越、日医工といった企業の本社が立地し、「ものづくりのまち」を強く自負する。新幹線開業の意義を否定しないまでも「金沢ほどには、新幹線で観光振興を図る必要はないのでは」という趣旨の言葉を市内で何度も耳にした。

それらの言葉の裏に、大きな果実を得つつあるように見える金沢への反発、おそれを感じることもあった。地元のメディア関係者は開業後の心境を「金沢に圧倒される思い」と口にする。2015年6月19日付朝日新聞記事(電子版)によると、あるホテルチェーンの同年3?5月の客数は、富山市内が前年比10?20%増なのに対し、金沢市内は25?40%増。東北新幹線・八戸開業時や新青森開業時に比べれば、富山の実績は十分にうらやむレベルだ。しかし、金沢が「その上」を行ってしまうため地元は喜ぶに喜べない――。

富山県には、新幹線開業前から有形無形の「新幹線効果」が現れていた。YKKグループは本社機能の一部を東京から富山県黒部市へ移し、川崎市のユースキン製薬は2016年、富山市に新工場を稼働させる。富山駅前の地価は2014年、前年より6.5%アップした。企業進出や地価のアップは、東北新幹線・新青森開業時などにはみられなかった現象だ。ただ、新工場の進出は金沢市でも事例があるうえ、金沢駅前の地価上昇率は商業地として全国トップの15.8%に達していた。

新幹線開業は失敗だった?

富山藩はもともと加賀藩の支藩として誕生、廃藩置県後もいったん富山県が成立したにもかかわらず、石川県に合併され、再び独立した経緯がある。北陸の中心的都市・金沢を強く意識しつつ、独自の歴史と文化、産業を築き上げてきた富山。新幹線をどう使いこなして、金沢との新たな関係をつくり上げていくのか。

北陸新幹線開業で最も大きな試練に直面している沿線都市のひとつが、金沢と富山に挟まれた富山県高岡市だろう。新幹線駅・新高岡はJR高岡駅の1.8km南方に位置する。中心市街地は高岡駅を挟んで北側に広がり、新高岡駅は水田と住宅地に囲まれている。目と鼻の先には巨大なイオンモール高岡が建つ。市は新幹線開業に備えて高岡駅をリニューアルし、利便性は大きく向上したが、新高岡駅の立地への不満は今もくすぶる。

加えて2014年8月、「かがやきショック」が市を揺すぶった。最速タイプの列車「かがやき」は新高岡に停車させないことをJR西日本が発表、市や経済界が猛反発した。「新高岡は能登や飛騨への玄関口。当然、最速タイプが停車するという想定で二次交通などの準備を進めていた」。高岡商工会議所の布村雅之企画調査役は振り返る。

JR時代、高岡駅には北陸本線の全特急列車が停車していた。高岡は、人口や都市機能では金沢、富山の両県庁所在地に及ばないながら、鉄路に関する限りは両都市と「同格」だった。だが、新幹線開業に伴い金沢以東の北陸本線はJR西日本から経営分離され、特急列車そのものが姿を消すことに。しかも、金沢駅、富山駅と異なり、高岡駅には新幹線が乗り入れない。そこへ追い打ちを掛けるように、最速タイプの通過が決まった。発表の直後、2014年9月に筆者が高岡市を訪れた際、乗り合わせたタクシーの運転手は「駅は離れた所にできるし、『かがやき』は停まらないし、新幹線開業はもう失敗に終わったようなもの」とうなだれた。市民の落胆は大きかった。

しかし、失意の底から高岡は新たな模索を始めた。「かがやき」停車を求めて市内の五十数団体が初めて結束し、周辺の市にも協力を呼びかけてJRへの要望活動を展開。一方では、各駅停車タイプの「はくたか」でつながる各都市との連携に着手した。活動が奏功する形で、JR西日本は同年12月、臨時の「かがやき」1往復を新高岡に停車させると発表し、市内の不安は底を打った。

2015年7月に高岡を訪れた時には、まちは自信や落ち着きを取り戻しているように見えた。「危機感を共有したことで地元が団結できた。関東や北陸新幹線沿線とつながりを深めている。この夏は長野商工会議所とも初めてゴルフコンペをする予定です」と布村調査役。「かがやき」の通過によって、高岡は「東京直結」「最短〇〇分」という呪縛を逃れ、沿線同士の連携に目を向ける機会を得たともいえる。

まちづくりの魅力をアピール

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「たかおかトートバッグ」と観光マップ

地道な努力も欠かさない。「伝統工芸のまち」という特色に加えて、国宝・瑞龍寺や加賀藩由来の歴史的建造物に恵まれた城下町としての横顔を生かし、いわば金沢と富山の間を行く形で、まち歩きの魅力をアピールしている。それを象徴するのは、観光名所・高岡大仏をあしらった100円の「たかおかトートバッグ」だ。新高岡の観光案内所で購入し、中に入った地図を手にまちを歩けば、商店街でいろいろな特典を受けられる。デザインしたのは富山大の学生たちだ。

北陸新幹線はまだ走り始めたばかりだが、長野―北陸間の新たな需要、中部・北陸一円の旅客流動、新潟県の立ち位置など、いくつもの着目点がある。長野市や新潟県上越市を含め、沿線の再編やまちづくりが今後どのように進むのか。興味は尽きない。


金森

高校生かぁ、凄いなぁ。時代はどんどん動くんだな。そして高校生のこの運動がSEALDsの様に全国に派生していくんだろなぁ。若者大学生、学者、大人市民、高校生がおかしな政治に声をあげる時代が始まるのか。希望しかないわ!

渋谷高校生デモ
https://twitter.com/yasu_17_/status/627181415793201152

金森

安倍晋三vs小池晃 自衛隊を戦場に送る戦争法案に断固反対する。廃案しかない 参院平和安全法制特別委員会2015.7.29

金森

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  103. 2006年8月 [9]