有限責任組合の特徴は、大きくは次の3点と言える。 我々も大いに利用できる制度ではないだろうか。
○ 有限責任制
言葉の通り、責任が有限ということであり、出資者の責任は出資額の範囲内ということである。
例えば、ある事業で失敗して、大きな損失を被った場合、その損失に対する組合員の負担は、組合員の出資額以内ということである。出資額を超えた部分に関して、出資者として負担する必要はない。
組合が、事業に失敗しても、組合員は、出資額以上に借金を背負うことはなく、次のチャレンジができるのが眼目と言える。
○ 内部自治の原則
従来の株式会社などは、会社法で、取締役や監査役などを置くことが強制されている。一方、出資者は、出資額に応じて会社の意思決定に参画できる。その会社の株を多く持っていれば、それだけ経営に対する影響力を行使できる。
しかし、内部自治の原則によれば、出資者の話し合いで、法律に縛られることなく自由に組織を運営できる。
例えば、1千万円の資金をA,B,Cの3人が出資していたとして、Aが5百万円、Bが2百万円,Cが3百万円出資していたとする。 組合員同士の評価で、Bが事業への貢献度が一番高いとして、出資金とは関係なく、Bへの利益配分を五割にするといったことも可能になる。
すなわち、法律に縛られることなく、組合員の話し合いで、利益配分の方法も含め、組合の運営を決めることができる。
○ パススルー税制
構成員課税とも言われる大変興味深い税制である。例えば、組合が事業で獲得した利益に対して税金を払う。その上で、出資者に配分した利益に対しても、出資者は税金を払う。すなわち、事業での利益に対して、2度税金を払っていることになる。
しかし、パススルー税制では、組織として税金を払う必要がなく、出資者の段階だけで払えばよい。すなわち、税金は一回払えばよいということである。
以上三つの特徴を一言で言うならば、「会社法をザル法にする法律」と言っても良い。事業に失敗したときでも、トコトン痛めつけられて再起不能といった状況に陥ることなく、次のチャレンジが可能になる制度である。
また、老後の生活資金と、第二の人生へのチャレンジ資金とを分けて、新しい事業にチヤレンジするときにも利用できそうである。
しかしながら、いずれにしても、具体的に行動する時は、ファンド法といった他の法律からの制約もあるので、弁護士、司法書士、税理士といった専門家に相談してみるのが良さそうである。
なお、「会社法」については、法務省民事局の『「会社法」の概要』が参考になる。また、ファンド法については、経済産業省の「投資事業有限責任組合契約に関する法律(LPS法)について」や、金融庁の「いわゆるファンドについて?ファンド投資に関する注意?」を参考にして欲しい。
また、弁護士五右衛門さんの「新会社法の全体像?大阪城炎上?」でも、新会社法を解説した連載の中で、分りやすく触れられているので紹介しておく。
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