今年の最初の記事「コンドラチェフの波動」で「今年から来年にかけての何処かで、日本の株価は7000円台にタッチするかも知れない」と書いた。予想通りの展開になってきた。しかし、年初来、株価の動きを見ていると、ひょっとすると株価は7000円を割るかもしれないと思い始めている。
安倍晋三首相は、日本の景気は回復し良くなってきている。これはアベノミクスの成果だと胸を張る。しかし、多くの国民には景気が良くなってきているとの実感はないだろう。
安倍晋三首相の言う景気とは「株価」だけである。国民の年金基金や日銀が印刷したお金で、日銀自ら株を買って株価を釣り上げてきた。無理矢理株価を上げて景気が良くなったと言っているに過ぎない。
残念ながら世界の多くの投資家は、アベノミクスは失敗したと見ている。これから日本売りが激しくなるだろう。
一方、当然ながら日本の景気は世界経済に大きく左右される。
では、世界の景気の現状はどうか。世界の実体経済に目を転じてみる。実態経済を写すと言われる幾つかの指数を見てみよう。
◯バルチック海運指数
バルチック海運指数(バルチックかいうんしすう、Baltic Dry Index)、通称BDIは、ロンドンのバルチック海運取引所が発表する外航不定期船の運賃指数。バルチック海運取引所は海運会社やブローカーなどから鉄鉱石・石炭・穀物といった乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃を聞き取り、結果を取りまとめて同指数を算出、発表する。基準となる1985年1月4日を1000として算定している。(ウィキペディアから引用)
バルチック海運指数は経済の糧となるモノの動きを示すと言われている。指数が大きくなれば経済活動が活発で好景気、その逆は不景気ということだ。
見ての通り、現在は不景気のどん底で、まだまだ下りそうな気配すらある。
◯銅価格の推移
銅は様々な場で使用されており、鉄に次いで重要な金属材料と言われている。銅の主要な用途は電線 (60%)、屋根ふき材および配管 (20%)、産業機械 (15%)だ。 経済が活発化すると銅の需要が増し、経済が鈍化すると銅需要が減る。
このことから、銅は景気に敏感で、銅価格が暴落すると連動して近いうちに株価も暴落すると言われている。株価の先行指数として利用されることも多い。
銅価格も見ての通り下降局面にあり反転の兆しはない。こちらも、まだまだ下がりそうである。(下図はLME(ロンドン金属取引所)で取引されるスポット価格の月次推移)
◯WTI原油先物
WTI原油先物は、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、市場の流動性や透明性が高いため、原油価格の指標にとどまらず、世界経済の動向を占う重要な経済指標の1つにもなっている。リーマン・ショック、ITバブル崩壊時の株価の動きと重ねあわせて見てみると相関関係を実感できると思う。
見ての通り、30ドル/バレルを割ってきている。多分、1998年の水準へと向かうのではないだろうか。
こういった世界の実体経済の中にあって、日本だけが好景気であるわけがない。「山高ければ谷深し」だ。無理矢理に高くした山の谷は深くなると覚悟して置く必要がある。
アベノミクスというトンチンカンな政策は早く止めないといけない。安倍晋三はどんなことになっても、決して責任は取らないだろう。安倍晋三を選んだ国民の自己責任と云うことだろうか。後で「じくじたる思い」と言っても、時既に遅しだ。
ただ、そうなりつつある。アベノミクス恐慌
金森
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