あるべきでないことを平気で出来る人を重用する日本社会
元外交官の孫崎享氏は自身のメルマガで次のように書いている。わたしも同意するところが多いので紹介する。
優雅に出世や天下り...都庁「盛り土無視」全責任者リスト(日刊ゲンダイ)、官僚であれ、政治家であれ、メディアであれ、業務のあるべき姿を主張する人は疎外し、あるべきでないことを平気で出来る人を重用する日本社会の典型
豊洲市場は東京ガスの工場跡地である。敷地内の表土を削り、きれいな土をいれ、4.5メートルの盛り土をいれ、汚染に備える予定であった。それがなされていない。今地下室の上に水がたまり、都が17日に公表した地下にたまった水の検査では微量のヒ素と六価クロムが検出され、別途実施した共産党の調査で環境基準の4割に及ぶ値を示すヒ素が検出された。豊洲市場は食料品を扱う場所である。一番避けなけれならない立地に豊洲市場がある。
都の関係者は気づかなかったのか。当然気づいている。やってはいけないことを実施した。
9月17日日刊ゲンダイは、「優雅に出世や天下り...都庁「盛り土無視」全責任者リスト」と題して、事業全体の責任者である「市場長」以下、会計を取り仕切る「管理部」、設計や施工、施設の保全計画を策定する「事業部」、全体の計画を調整する「新市場整備部」の3部署の長に焦点を当て、現在の地位を別表にまとめた。11年11月に土壌汚染対策工事に着工した際の市場長、中西充氏は今や副知事に大出世であり、技術会議で「地下空間の活用案」が提案された際の市場長、比留間英人氏は15年約1800万円の役員報酬を得る東京メトロ副会長に就任している。日刊ゲンダイは「伏魔殿ではクロをシロにできる者ほど出世する」と書いた。
しかし、今日本社会を見ると、こうした現状は豊洲をめぐる東京都の官僚だけでない。日本社会全体を覆っている。
今日の日本社会は、官僚であれ、政治家であれ、メディアであれ、業務のあるべき姿を主張する人はほとんどが疎外され、あるべきでないことを平気で出来る人を重用する社会となった。
私は外交分野で生きてきたから、その分野の動向を見ているが、例えばイラク戦争の時の自衛隊派遣の決定において、イラクに大量破壊兵器がないと主張した人はどうなったか。代表的なのは天木直人大使であるが、辞職させられた。そして間違ったことを主張した外務官僚や、学者や、ジャーナリストは、豊洲の都官僚と同じように厚遇されていった。
この姿は今日本社会全てに蔓延している。あるべき姿を主張するものが排され、あるべきでない政策を推進するものが遇される日本社会の未来は暗い。
金森
コメントする