旧態然としたトンチンカンなアベノミスクでは日本経済は立ち行かなくなる。 ロイターの記事を転載した。
http://jp.reuters.com/article/consumer-idJPKCN1200DM
<シニア消費に陰り>
「団塊世代をはじめとするアクティブシニアが活発な消費をし、ここ3年間、ファミリーレストランの業績をけん引してきたといっても良い。しかし、中心が70歳前後となり、ライフスタイルが変わり、完全に端境期に入っている」―――。すかいらーく (3197.T)の谷真社長は、団塊世代の生活の変化がファミリーレストランの需要に影響を及ぼしていると指摘する。小売り業界がこぞって掲げた「シニアシフト」も、一時期ほどの熱はない。
団塊世代は1947―49年生まれの約800万人。総務省の千野雅人・統計調査部長は「団塊の世代がどの年齢層にあるかで、日本経済は影響を受けてきた。高齢化に伴って、日本経済は弱くなってきた」と述べ、団塊の世代と日本経済の関連性を説明する。
全員が65歳を超え、70歳をうかがう年齢になってきたことで、年金が収入の中心になる人が圧倒的に多くなった。総務省によると、高齢者世帯(世帯主が65歳以上である2人以上の世帯)の貯蓄現在高は1世帯あたり2430万円。しかし、これは「貯蓄額の高い一部の世帯によって引き上げられている」(千野部長)という実態があり、中央値では1547万円、最も多い世帯は100万円未満だという。収入が限られる中、貯蓄を取り崩す消費には消極的にならざるを得ない。
高齢者世帯は、政府が消費への結び付きを狙っている給与引き上げなどの恩恵を受けられない。「団塊世代、それ以上の高齢世帯の消費支出は大きく下落するため、高齢者の消費全体に対する影響力は今後低下する」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)とみられるなか、日本は「シニア消費」に代わる消費の担い手を見付けることはできるのか──。
<ミレニアル世代、消費に背伸びせず>
社会コストなどの各種負担が重く、消費の世界では存在感の薄い「団塊ジュニア」に代わって注目されているのは、2000年以降に成人・社会人となった、20―35歳のいわゆる「ミレニアル世代」。米国では、あらたな消費の担い手として位置付けられているが、日本では、この世代の消費に期待し難い状況がある。
日本総研調査部の下田裕介・副主任研究員は「日本のミレニアル世代は、失われた20年を経験していることが他国とは異なる点」と指摘する。1998年以降に23歳を迎えた世代は賃金の上昇を知らない世代、所得が将来的に増加するとの見通しには懐疑的だという。
また、インフレを経験しておらず、低価格志向も強い。ユニクロなど技術革新によって低価格を実現しているものも増え「無理した節約ではなく、背伸びしない消費が心地よい」(下田氏)と、自然に受け入れている。
この世代のもう1つの大きな特徴は、物心がついた時から「スマホ(スマートフォン)」があること。買い物は、リアル店舗もネットも同じように使いこなす。音楽配信や「You Tube」など「持たない消費」が当たり前になっており、自動車や住居にもシェアは広がっている。
インターネットで洋服やバッグなどのブランド中古品を買い取り、販売しているデファクトスタンダード (3545.T)。最近、CMで良く目にする「ブランディア」を運営している。尾嶋崇遠社長は、個人間の中古品売買について「平均販売価格が1000円から1万円のセカンドブランドは、まだ、60%が廃棄されている。中古品売買の市場はまだ伸びる」とみている。
楽天 (4755.T)もフリマ(フリーマーケット)アプリ「フリル」を提供しているFablic株を取得し、完全子会社化した。「フリル」は、2012年7月に日本初のフリマアプリとしてサービスを開始して以来ユーザー数を拡大し、現在アプリのダウンロード数は累計500万を超えているという。こうした中古品の個人間取引の拡大は、従来型の消費の抑制に働く。
30日に発表された総務省の8月家計調査によると、全世帯(単身世帯を除く2人以上の世帯)の実質消費支出は前年比4.6%減で6カ月連続の減少となった。訪日外国人によるインバウンド消費が主役の舞台から降りた後、国内小売り各社は国内消費で需要喚起を図りたいところだが、足元では、主役が見付からない状況に陥っている。
(清水律子 編集:田巻一彦)
金森