安倍晋三首相が会社経営者達に賃金を上げるように言っても、財政出動で公共事業でお金をバラまいても、一般庶民の収入は増えないし、生活は楽にならない。
その原因をひと言で言えば、「日本企業がゾンビ化している」からと言えるだろう。そして、ゾンビ化した企業を税金で潰れないように支えているのがアベノミクスと言っていい。
HUFF OPST SOCIETY に解説があったので紹介する。記事では、私が云う「ゾンビ化」を「詰んだ状態」と表現している。
なぜ賃金は上がらない?/人手不足倒産の原因
http://www.huffingtonpost.jp/rootport/japan-workstyle_b_11756728.html
(中略・詳細はリンク先を読んで欲しい)
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話をまとめよう。
この記事では「人手不足と低賃金が両立する理由」を考察した。とくに「なぜ企業は賃上げによって人手不足を解消しようとしないのか」について考えた。
まず第一に、生産性の低い企業では賃上げをする余力がないことを指摘した。言葉は悪いが、その企業の事業は「詰んだ」状況になっている。
また第二に、賃金には下方硬直性があるため、企業は賃上げを嫌がるものだと指摘した。企業は人件費の節約には熱心に取り組むが、人手不足だからといって簡単には賃上げしない。賃上げ以外の方法で問題を解決しようとするものだ。
そして第三に、「産業の長期均衡」という考え方を紹介した。第一の理由にあげた「生産性の低い企業」は、どうして現れてしまうのか? 産業の長期均衡は、その理由の1つだ。損益分岐点が低く、なおかつ技術的な参入障壁の小さい分野では、新規参入が相次ぐためレッドオーシャンになりやすい。結果として企業の超過利潤はゼロになり、事業を継続していくために最低限必要な利益しか出せなくなる。端的にいえば生産性が低くなる。
歴史的に見れば、生産性の低い産業を救う方法は機械化しかない。
本来なら機械にやらせるべき仕事を人間にやらせるほど、私たちの社会は貧しくなっていく。1950年代のインドのように安価に使える労働力が膨大にあれば、経営者たちは機械の利用を増やそうとしない。資本を投下するよりも、労働力を使ったほうが安上がりだからだ。
18世紀末に始まった産業革命以降、私たちは持続的な経済発展を経験してきた。その背後には、人件費と技術革新の正のフィードバック・ループがあった。教育水準の上昇や少子化により労働者の賃金が上がると、経営者には労働を減らして資本(=機械)の利用を増やすというインセンティヴが生まれる。
それが技術革新と、新規産業の発展、そしてさらなる人件費の高騰をもたらし、ますます資本の利用を増やすインセンティヴが強くなる。このループが200年以上続いた結果、私たちは現在のような豊かな生活を手に入れた。このループは今でも回り続けている。
もしも賃金の低下が続けば、このループは止まる。この世界は18世紀以前のような極端な経済格差に蝕まれ、人類の発展は鈍化し、私たちは農奴のような貧しく惨めな生活を余儀なくされるかもしれない。
地面のれんがを素手で叩く──。
私は、そんな仕事を子供や孫の世代の人々にさせたいとは思わない。
金森
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