養老の滝の駐車場でナビに目的地のホテルをセットして、もときた細い道をナビの指示通りに車を走らせた。
この辺は岐阜県と愛知県、三重県の県境が入り組んでいようで、ナビに表示される住所が細かく入れ替わる。目的地のホテルは三重県桑名市にある。
桑名市に入って、揖斐川、長良川、木曽川という大きな川が並行に流れ、川と川の間は三角州のようでもある。その三本の川を串刺しにするように橋が掛かっている場所に来た。
その橋を渡り長良川と木曽川の間に来た所で、ナビの案内で橋を横道に反れて下った。しばらくすると「ゆ」のマークの看板が見えてきた。ナビはその方向へと導き、目的地に到着したことを知らせた。
「着いたよ」と言ったところ、妻は目をパチクリさせて、「ここじゃない」と言う。ホテルは妻が予約してくれていた。大きなホテルが三軒並んでいて、その内の一軒だという。確かに他にホテルはない。ジェットコースターや観覧車などがある遊園地も見当たらない。アウトレットは何処にあるんだと怒り始めた。スーパー銭湯のような佇まいの建物しかない。
どうも目的地を「ホテル長島」としたのがまずかったようだ。
ナビに「ホテルナガシマ」とセットし直した。幸いにも「ホテル長島」は「ホテルナガシマ」への途中にあるホテルだった。とんでもない場所になかったのが不幸中の幸いだった。
妻には「どこに連れてきたんだ」と痛く怒られた。楽しみにしていたホテルとの落差の大きさに何が起きたか理解できず呆然としていた。かなりショックだったんだと思う。これから先、何かにつけて今回の失態のことを言われそうだ。
二車線の広い道に出て少し走って8時になる頃、反対車線の道路脇にあったセブンイレブンの駐車場に車を止めた。朝ドラの「まれ」を見てホテルナガシマに向かった。ホテルの駐車場に着いた時、車の時計は8時半を少し回っていた。(つづく)
金森
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