絶好のレース日和、京都競馬場は午前中から沢山の人で溢れていた。デュオトーンは前走で少し足を痛めていた。直前まで大丈夫かと心配したが、何とか間に合ったと聞いた。でも、そのことが気掛かりだった。
パドックの横に馬頭観音が祀られていたので、どうか、デュオトーンがケガをしませんようにとお願いした。正直、勝敗よりその方が気になった。菊花賞に出走する面々を見ていると、その馬たちに勝てると思えなかった。入賞でも出来れば十分だと思った。それでも、新聞ではそれなりに注目馬として扱われていた。
第十レースが終わり、いよいよ、次が菊花賞レース。競馬場内は黙っていても分かるほどの熱気があふれてきた。
馬達の入場が始まると会場から拍手が起こり、それが手拍子になって馬達を祝福した。京都消防署音楽隊の奏でるファンファーレが鳴り終わると会場中から大歓声が起こった。
ゲートが開いて馬たちが走り始める。デュオトーンは少し出遅れてしまった。後で聞いたところによると、ゲートが開く直前に立ってしまったとか。
3000メートルの長距離レースである。どの馬もそれが自分の使命と知っているかのように懸命に走っている。その姿はとても綺麗だった。
最終コーナーを回った勝負どころ、デュオトーンが前に出て行こうとしたようにみえた。しかし、さすが、GI馬達であるそう簡単には抜けなかった。結果、12位。最終コーナーを回ったところで進路を妨害され、思うように前に行けなかったとか。審議にもなっていたが、こんな大舞台で走れただけで十分に楽しい夢を見せてもらった。
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