駅前の文化センターでいけばな教室を主宰する友人が教室を閉鎖した。15年ほど前には20名前後いたお弟子さんが、阪神淡路大震災の後、減り始め、2年ほど前から2名になってしまったと言うのだ。
文化センターでは他の教室と合わせて定期的に新聞に折り込みチラシなどを入れて、生徒募集をしているのだが、見学すらないという。
彼女が文化センターから得る収入は月謝の40パーセント。5000円×2名の40パーセントだから1ヶ月4000円の収入である。勿論、経費は全て込み。お稽古のお花も、数が多ければ花屋さんが届けてくれるが、2セット位では届けては貰えない。お稽古は月3回、お稽古の日になると、少しでも安く、お稽古用の花を調達したくて、車を走らせ、花の卸業者まで買いに行く。そして、教室開催時間の3時間はお弟子さんがいなくても、ひとり、教室で待機していないといけない。収入目的でやっている訳でなくても「やってられないわ」となるだろう。
何事にも手の抜けない彼女は、たった二人のお弟子さんを全力でお世話していた。良く頑張ったと思う。
彼女と私は姉妹弟子。師匠が数年前に亡くなった後、他の師匠に乗り換える気にはなれず、彼女の教室の花を分けてもらって、いけばなを続けてきた。私としても寂しい。これからは、彼女が自宅で隔週開いているいけばな教室の花を分けてもらうことにしたが、花を生ける機会が減りそうである。
'いけばな'が趣味の対象として、誰からも振り向かれなくなりつつある。何が問題なのだろう。家元制度とか、師匠と弟子といった時代遅れの徒弟制度にも問題があると思うが、そんなことは中に入ってみないと分からないことであり、そもそも、それ以前に'いけばな'に習いたいと思わせる魅力がないのかも知れない。生活様式、価値観の変化について行っていない現状があるのだと思う。
実は昨日、あるイベントに飾られた花を大量に貰った。その花で、いつもとは少し違う雰囲気で生けてみた。多分、これからの世代に受けるのはこんな花だろうと思う。
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