金沢の街を歩いていると、割竹を円弧状に曲げて壁際に並べてあるのを時たま見かける。
金沢の犀川大橋の近く清川町にある老舗料亭「山錦楼」の道路側の壁際にも並べてある。建物とあいまって、風情を感じる。
この割竹で作った円弧状のものを、京都などでは「犬矢来」と呼ぶようである。犬の放尿を防ぐ目的で置かれたことからこう呼ぶようになったとのことである。
しかし、何時だったか、何処で聞いたか思い出せないが、金沢の矢来は、雨宿りできなくする目的で置いていると聞いたことがある。
写真を見ると分るが、矢来の上には窓がある。窓の内側では、客達が胚を交わしながら、いろんな会話をすることだろう。こういった席でしか話せない微妙な話もある。阿吽の呼吸の一言で話が決まる時もある。
客室の窓の下に矢来を置いて、雨宿りできないようにして、そんな会話が外に漏れないようにする、料亭の配慮だという。
老舗のお茶屋さんや料亭には、昔の人の知恵の仕掛けが多い。客達のための、いろんな工夫、配慮がされている。そんな事も考え合わせれば、金沢でよく見かける矢来は、雨宿りお断りといった目的で置かれるようになったと考えるのが良さそうである。
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