昔、町内の子ども会や、勤め先の独身寮などのバス旅行で、バスガイドさんのマイクを回してもらって、みんなで歌を歌うことがよくあった。その頃は、今のようなカラオケなどはなく、手製のガリ版刷りの歌詞カードを見ながら、みんなの手拍子に乗せられて歌ったものである。今でも、「高校三年生」とか、「青い山脈」といった歌が、なにかの拍子に、口をついて出てくる。
お正月だ、お盆だと、何かと親戚が集まって宴会になった。小学生の頃までは、訪れる叔父などからお小遣いがもらえて、楽しみでもあった。祖父や叔父、父などが、自慢の謡曲を謡うのが恒例で、「高砂」「鶴亀」、宴の締めは、いつも「千秋楽」だった。そんな謡曲の一節もまた耳に残っている。
金沢21世紀美術館の隣に、新しく「金沢能楽美術館」が開館した。能面のポスタを見ていると、祖父や叔父、父の謡の一節が思い出される。
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