(1) 限定承認手続きで知りたかったノウハウを、実務的に解説。
(2) みなし譲渡所得税の申告、納税手続きにおける注意事項。
(3) 訴訟手続きにおける家庭裁判所の関与の有無、財産管理人の権限。
(4) 相続債権、相続債務の範囲。
(5) 限定承認手続きの管理、換価費用の範囲。
(6) 配当手続きにおける留意事項。
(7) 初版発行後の裁判例、税務当局への対応などが詳細に追記し、不動産登記法の改正に伴う改正不動産登記法による先買権行使による登記手続を解説。
(8) ミニ破産手続きとしての役割もある限定承認手続きと、破産開始決定手続きとの関連について解説。
(9) 改訂版を刊行してから3刷と増刷を重ねてきた。刊行以降の法律等を摂り込み、問答集にも新しい問答を大幅に追加し、内容の補筆、訂正を加え改訂2版とした。
税理士、公認会計士の方々に、是非購読をおすすめしたい一冊である。
なお、著者である弁護士服部廣志君は、ICG関西支部のメンバーであり、山形地裁、神戸地裁など裁判官生活を経て、現在、大阪弁護士会所属の弁護士であり、「知識は、他の研究者、実務家ら先人のものを盗むもの!!」という発想のもと、ネットの世界においては「弁護士五右衛門」という泥棒の氏名をハンドルネームにし、法律関連のネットの世界では、そのユニークさからか、著名人でもある。
法律と税務が交錯する「限定相続」については、弁護士も会計士、税理士も、その不勉強が理由で避けてきた。
「限定相続は危険だから避けた方がいい」と言う人もいる。マクロ的には限定相続をした者を保護するための「みなし譲渡所得課税の制度」がミクロ的には限定相続人に不利益を与えるという側面もあること、そして、限定相続の特質ともいうべき「責任限定の制度」等を正しく理解しないことに起因すると思われる。
専門家がこの限定相続から逃避し避けることにより、多くの限定相続を相当とする相続事件が単純相続ないし相続放棄という形態を選択させられることとなり、法律が予定した限定相続の採用が見送られてきた。
限定相続についての法律規制と税務を正しく理解し、その選択を誤ることがなければ、この制度が多種多様な相続事案に活用できる優れた制度であることがわかる。
弁護士 五右衛門(服部廣志)