今回の参議院選挙では、民進党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの野党4党は、一人区で統一候補を立てて自公政権に戦いを挑んだ。結果はご存知の通りおおさか維新の会を含めた改憲勢力が三分の二の議席を有することになった。
残念な結果になったが、諦めることはない。結果からみてもわかるが、もし野党4党が統一候補で戦わなかったとすれば、全滅していたのではないだろうか。これからも、野党4党が統一候補で戦えば、政権与党を追い詰めることができるだろう。明日に繋がる希望が持てる結果とも言える。
一方、多くの国民はアベノミクスのエンジンを吹かして景気を良くするという、自公政権の主張に思いを託したとも言える。確かに参院選後、昨日、今日と東証株価は大きく値を上げている。政府の景気刺激策を期待してのことだと思う。
政府は多額の補正予算を組んで景気を刺激する考えのようだ。その財源として新規の赤字国債を発行するという。ただ、よく考えてみて欲しい。現在、マイナス金利となっている中、三菱東京UFJ銀行は、国債の引受機関指定を返上している。買うと損をするような国債は引き受けない(買わない)ということだ。地方銀行にしてもこれ以上国債を買う余力はないだろう。結局政府は日銀に自らが刷ったお札で、国債を買わせることになる。
自らが刷ったお金が、公共事業を通して、政府とゾンビ化した一部大企業の間を回るだけだ。個人消費にはつながらない。GDPの六割を占める個人消費は盛り上がらない。決して景気はよくならない。いままでがそれを証明している。
アベノミクスは国民の年金基金を株式市場に投入して、官製相場をつくり無理やり株価を上げてきた。
一方、海外に目を転じれば、英国のEU離脱、中国経済の減速、ドイツ銀行の破綻危機と、日本を取り巻く環境は厳しさを増している。世界にとってはアベノミクスなど何の役にも立たない。
故事に「月満つれば則ち虧く(つきみつればすなわちかく)」がある。
『史記・蔡沢伝』に「語に曰く、日中すれば則ち移り、月満つれば則ち虧く、と。物盛んなれば則ち衰うるは、天地の常数なり。進退盈縮、時と変化す。聖人の常道なり(こう言われています、太陽はてっぺんまで昇ると落ちていき、月は満ちると欠け始めると。物事も盛んになればやがて衰えていくのが天地不変の定めです)」を指す。
安倍晋三がエンジンを吹かすというアベノミクスは、今正に月満ちた状態にあり、目一杯のところにある。為替にしろ、原油価格にしろ、消費者物価にしろ、いろんな指標がそれを表している。
金森