http://blog.monoshirin.com/entry/2016/06/25/123821
モノシリンの3分でまとめるモノシリ話
私はかつてこれほどの怒りを覚えたことは無い。
下記の画像は,自民党が公開している「アベノグラフィックス」なるものの一部である。これが,信じられないほどの誤導なのである。
この記事を読んだ方は全力で拡散してほしい。これほど国民を舐めた行為は無い。
これを見てどう感じるだろうか。「国民全体」の給料が2%上がったのか,と錯覚しないだろうか。
しかし,これは国民のほんの一部についての話である。
下記朝日新聞の記事のとおり,2%の賃上げは大手企業にのみ当てはまる話である。
上記記事から最も重要な部分を引用する。
従業員500人以上の東証1部上場企業を原則として調査対象にし、今回は15業種62社が回答した。
アベノミクスの恩恵を受けたほんのごく一部の上場企業の賃上げのみ取り上げ,国民全体の賃金が上がったかのように錯覚させようとしている。
これで国民を騙せると思っているのだ。
真実は違う。私の記事で散々指摘してきたとおり,国民全体の給料(名目賃金)はこの3年間でわずか0.1%しか伸びていない。額にすれば,月給が約300円しか伸びなかったことを意味する。下記グラフのとおりである。
この自民党の行為は絶対に許されない。
我々一般庶民にとって,結局経済が良くなかったかどうかの判断基準は「給料が上がったのかどうか」に尽きる。我々の最大の関心事は給料なのだ。
その一番コアな部分について,一部のデータのみ取り上げ,印象操作をしようとしているのである。
悔しくないか。俺は悔しいね。
「経済で結果を出す」と言っておいて全く結果を出していない上に,こんな調べればすぐ分かる姑息な手段を使って国民を騙せると思っている。
これほどまでに国民を見下した政党だとは・・・
右派とか左派とか関係あるのか。こんなに馬鹿にされてそれでも自民党を支持する気になるのか。
そしてもう一点指摘しておく。大手企業がこの3年間毎年2%の割合で賃上げしてきたということは,3年間では6%の賃上げである。
しかし他方で,下記グラフのとおり,この3年間で物価は約5%上昇している。
つまり,物価を考慮すると,大企業ですら,実質的に伸びた賃金は,約1%(名目賃金上昇分6%-物価上昇分5%)に過ぎないということである。
そして,大企業以外の一般人は給料がほぼそのままだったので,下記のとおり実質賃金は4.6ポイントも下がった。
アベノミクスの失敗は非常に単純なのだ。物価を上げたから消費が冷えた,ただそれだけのことである。
消費税の増税が消費に悪影響を及ぼすことについて,誰も異論はないだろう。それはモノの値段が上がってみんなモノを買わなくなるからである。
では,異次元の金融緩和で急速に進行した円安はどうか。円安だって,「モノの値段が上がる」ことに変わりはない。
つまり,消費者からすれば,原因が増税だろうと円安だろうと「モノの値段が上がる」という事実に変わりはないのである。
そして,給料がそのままなのにモノの値段が上がったら当然みんなモノを買わなくなる。
増税でただでさえ物価が上がるところに,異次元の金融緩和による円安で更に物価を上げた。消費者にとってはダブルパンチである。
その結果,消費が異常に冷え込み,実質GDPも伸びなかったのがこの3年間なのである。
「増税さえなければうまくいっていた」という人がいるが大間違いである。増税があろうとなかろうと,アベノミクスが推進する「物価上昇」は消費を冷やす効果しかない。
それはこの3年間のデータで証明されている。
ところで,ついでにGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のことを指摘しておく。
イギリスが国民投票でEU離脱を決定した影響で,株価が大幅に下落した。日本だけではない。世界的に下落している。
そして,下記のとおりGPIFの資産構成割合は株式が5割をしめる。
※GPIFのサイトより引用。
我々の大切な年金は,その半分が株式に突っ込まれている。だから,世界的に株安が進行していけば,それは我々の年金が吹っ飛んでいくことを意味している。
我々の生活を苦しくした上に,我々の年金を博打に突っ込んで吹っ飛ばしているのが自民党である。
その上,アベノミクスが上手く行っていると思わせるため,冒頭に挙げた「アベノグラフィックス」を提示して国民を欺こうとしている。
こんなに馬鹿にされて悔しくないか。俺は悔しい。だから自民党には絶対に入れない。
↓動画でアベノミクスを解説したのがこちら(約6分)
金森