世界の株価が活きよいよく下がり始めている。私が前の記事で書いたことが現実味を帯びてきたようだ。
そんな中、気がかりなことがある。それは日本社会の耐性だ。日本を牽引してきた大企業に逆境を跳ね返すだけの力がなくなっているのではないかと云うことだ。
日本の建設業や製造業、小売業やサービス業まで、少数の大企業を頂点にし、下請け企業が大企業から仕事をもらうビラミット構造になっている。このピラミッド構造も既得権益で膠着化し、硬直化している。
その構造も政官業が一体となって、マスコミまでもが「広告」利権で、その構造の中に取り込まれている。
政府は、世界の動きに取り残されつつある大企業を税金で救済し、ゾンビ化させている。技術の日本を代表してきたパナソニック、シャーブ、ソニー、そして東芝も国民の税金を頼りに生き延びている。造船日本の旗頭三菱重工ですら、受注した船を納期までに造れなくて、損害金を払って延期している始末だ。
横浜のマンションの杭打ちの問題は、元請けのゼネコンに責任があるはずだ。しかし、なぜか下請け会社に責任があるかのごとく、問題をすり替えている。政府やマスコミは下請けの責任をとやかく言って、ゼネコンの責任には触れない。
技術の日本を標榜してきた大企業には、その技術力が無くなってきている。大企業には、いまやモノを造れる技術者、職人は居ないということだ。現場でモノ作りの苦労をしたことがなく、「下請けに作れ」としか言えない技術者しかいなくなっている。大企業の技術者は、いかに安い部品を集めてきて、組み立てることができるかで、力(技術力?)が評価されているのだろう。そういった大企業には本当の技術は蓄積されないだけでなく、枯渇していく。
「下町ロケット」でも、そんな様が描かれていたように思う。
これからの大不況、ゾンビ化した大企業は潰れていくしかないだろう。これから日本の逆境を乗り越えるには、小さくても本当の技術者や職人を大切にする中小零細企業に期待するしかない。
その徴候はある。ソニーや日電、日立やパナソニックなどの大企業のリストラで飛び出した、はじき出された技術者たちが集まって作るスマホや、家電製品にいいものがある。もちろん価格も、中国や台湾、東南アジア製品にも対抗できる。
わたしは、技術者魂を持った技術者や職人を大切にする中小零細企業に期待している。そういった会社の製品を買って応援していきたいと思っている。勤めていた会社が潰れれば、企業年金も貰えなくなるのだが・・・。
(蛇足)
実は、前の記事を書いたその日の夜に義母が他界した。こっちも予感が的中してしまった。
金森