厚生労働省の統計に「賃金構造基本統計調査」というがある。この統計資料で、富山県民と石川県民の平均年収を比較してみた。
平成25年
<富山県 基本データ>
平均年収:424万円
平均月収:30万円
平均時給:1,655円
年間賞与等:68万円
平均年齢:42.4歳
平均勤続年数:12.7年
総労働時間:179時間
復元労働者数:238,780人
<石川県 基本データ>
平均年収:415万円
平均月収:29万円
平均時給:1,602円
年間賞与等:67万円
平均年齢:42.0歳
平均勤続年数:12.4年
総労働時間:181時間
復元労働者数:218,770人
※統計元:厚生労働省「平成25年賃金構造基本統計調査」
※復元労働者数: 全員を調査することができないので、回答を元に推定した人数
富山県民の年収が石川県民の年収を若干だが上回っている。
富山と金沢の街を見ていると、富山に比べ、金沢の街にはにぎわいがある。繁華街など、レストランや居酒屋の数は金沢の方が多くて、にぎわいもある。ひょっとしたら、県民の年収差に関係あるのではと思ったのたのが、今回の年収差を調べる切っ掛けでもあった。しかし、年収差は関係なさそうである。
石川県は兼六園の整備や金沢城の復元、最近では玉泉院丸庭園を復元した。いずれも県民の日々の生活に直結するようなモノではない。
北陸新幹線開業に合わせて、金沢駅も改修した。地元能登の木材を使い、柱などの装飾には金箔、輪島塗、加賀友禅といった伝統工芸品を配している。また、もてなしドームや鼓門など一見無駄とも思われるようなモノを造っている。
ところで、金沢駅の商業施設「あんと」の中に「金沢 OLD MEETS NEW」といったコーナーがある。さしずめ「古き良き伝統に、新しい感性が出会う」とでも言いたいのだろう。
富山駅にはこうった無駄なものがあるだろうか。富山では、効率的、あるいは合理的と思われないものにはお金を掛けていないのではないかと思う。
一方、金沢駅の思いは「OLD MEETS NEW」に込められているように思う。金沢駅を降り立ったひと達に、金沢の街の雰囲気を伝え包んで、市内へと誘う。ワクワクとした気持ちにさせる。正に玄関の役割を担っている。駅そのも、あるいは展示されているものが主役として主張するのではなく、ようこそ来ていただきましたという「おもてなし」の気持ちを伝える玄関であり、あくまで黒子的な施設といった位置づけで造られているように思える。
どうも、富山と石川ではお金を掛けるモノや場所、価値観に微妙な違いがあるようだ。このことが、街なかの活気の違いにもなっているようにも思える。
街のにぎわいは、住む人達の無駄を楽しむこころ根から生まれるもののように思えてきた。
金森