大企業の内部留保と賃金、そして景気

安倍首相は経団連などに法人税減税を餌に社員の給与を上げるように要請したようだ。この要請に応じて大企業は社員の給与を上げるだろう。しかし、正規社員の給与を上げれば景気がよくなるとは考えられない。日本の景気は安倍晋三首相(アベノミクス)の思い通りには行かないだろう。

企業の内部留保と賃金の関係を、ちょっと別の視点から考えてみた。

次のグラフは、企業の内部留保と平均賃金の推移だ。内部留保に反比例するように平均賃金が下降している。

大企業の内部留保と賃金

ところで、企業は内部留保をタンス貯金してるだろうか。おそらく、取引銀行に預けているだろう。設備投資などで資金が必要になった時に、預けているお金を担保に銀行から資金を借り入れて使ったり投資する。これが一般的に企業がやっていることではないだろうか。

さて、銀行は企業などから預ったお金(ゲンナマ)は何かに投資するなり貸し出すなりして、利ざやをかせぐ。しかし、日本の銀行は投資は苦手だ。投資先として日本国債を買うのが関の山のように見える。蛇足だが、国民が郵便局に預けている虎の子の貯蓄の大部分は、日本国債になっていると思っていだろう。

次のグラフは、国内銀行の国債保有額と貸出金額の推移を示したものだ。

銀行の国債保有残と貸出残推移

銀行の貸出残高と国債保有額がみごとに反比例している。企業などから預ったお金の投資先が国債になっていることを示している。

さて、企業が内部留保を取り崩す(内部留保を担保に資金を借りる)ということは、銀行が日本国債を売るということだろう。

日銀は止めどなくお金を刷って、銀行に供給し続けるわけにはいかないだろう。企業が内部留保を取り崩して使い始めれば、日本国債は暴落する。

お金の動き、景気の動きは、意外と単純のように思う。そして安倍晋三首相の思い通りにはいかないということだろう。

金森

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このページは、ofoursが2015年1月 3日 07:00に書いた記事です。

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