富山に住んでいたころは立山連峰は毎日のように見ていたように思っていた。しかし冠雪の立山連峰がはっきり見えるのは冬の今頃しかない。ただ、北陸の冬は晴れる日が少ないので、立山連峰を毎日見れるものではない。また桜の頃になると立山連峰に霞がかかったようになって山々はシルエット状態になる。
富山で暮らしていた頃は、立山連峰のある風景が意識の中に溶け込んでいて、日々立山連峰が見えるかどうか気にかけていなかったのかも知れない。何時でも見れるからと気にしていなかったのだろう。
下の写真二枚は氷見の漁協事務所の裏で撮った。ここからの富山湾越しの立山連峰の光景は富山の観光写真などでよく見ると思う。この場所から見る立山連峰には電線やテトラポットといった無粋なものは映り込まない。
下の写真は2007年元旦に撮った初日の出だ。当日はかなり冷え込んでおり、海水が湯気のように舞い上がっていた。気嵐(けあらし)だ。気嵐は風がおだやかで寒さの厳しい朝、陸上の寒気がゆっくりと海上に流れ込んで海水が霧のように舞い上がる気象現象のことをいう。そんな気嵐の中、剣岳横に昇る初日の出は幻想的だった。わたしの横では北日本テレビのクルーも三脚を立てて撮影していた。
あまりにも感動的な光景に次の年も撮影したいと思った。しかし元旦は曇りや雪の日が続き、そのううち忘れてしまっていた。調べてみたら2007年から今年まで、元旦に晴れたのは2013年だけだった。写真が撮れたかどうかまでは定かではない。たまたま五年に一度のチャンスに立山連峰に昇る初日の出を撮れたわけだ。気嵐のおまけ付きの初日の出はひょっとしたら生きてる内には撮影できないかも知れない。
東京からの知人やLAからの知人に富山湾越しの冠雪の立山連峰が見たいと言われ、何度か案内したことがある。しかしいずれの時も曇りや雪で冠雪の立山連峰を見せることはできていない。そんな時は、雨晴駅前の立山連峰を撮した大きな写真の前で、晴れていればこんな風に見えるんですよと説明して、その看板をバックに記念写真を撮ることにしている。
金森