昌徳宮をひと回りして、元に戻る。敦化門の西側にある小さな門が出口だった。門を出ると駐車場がある。一緒のツアーに参加していた日本人観光客のほとんどが、この駐車場で待機していた旅行社のマイクロバスで、次の観光地に出発して行った。
さて、私達は北村へ。と言っても道案内がいる訳でもない。地図を頼りに、細い坂道を北へ上がり、北村ギルと名のついた通りを西に歩く。この通りにはさまざまな韓国料理の店が並んでいた。そろそろ、お昼時だし、何処かに入ろうと思っているうちに大きめの交差点にさしかかった。
目的地はこの交差点を北に上がるはず。私達は道路を渡って、北に歩き始めた。少し行くと、立派なお屋敷風のレストランが現れた。駐車場には高級車が止まり、いかにも高そうな店構えである。中を覗き込みながら前を通り過ぎようとしたその時、レストランの門の脇にある管理人小屋みたいな所から一人の男性が声を掛けて来た。何を言っているのか解らない。
『関わり合いになるのも面倒。ここは聞こえない振りして行こう。』
私たちは歩く速度を速めた。すると、彼は小屋から飛び出し、雑誌を手に持って追いかけてきた。私たちに追いつくと、中年の女性とレストランの写真が載っているページを開いて、早口で何か言った。何を言っているのかさっぱり解らないが、雑誌のページのレストランがここだと、言っているようである。
雑誌に載っている女性の方に見覚えがあった。私はバッグから、例の夫に買ってもらった旅行雑誌を取り出した。表紙に彼女が載っている。そして、最初のページに彼女の事が特集で紹介されていた。彼女は韓福麗先生。韓国宮廷料理の第一人者であり、昨年、日本でも放映された韓国の人気ドラマ'宮廷女官チャングムの誓い'の料理監修者としても知られている。
私が旅行雑誌をひらいて、彼に見せると、彼は思いっきり嬉しそうな顔で何か言った。やはり言葉は良く解らないが、ここが、この先生のレストランで、とても、美味しいから寄って行くようにと言っているようである。韓国語の中に英語と日本語が混ざっているのが少しだけ聞き取れた。好奇心が疼き出す。だが、問題は値段。
「What is the price for lunch ? 」
英語で聞いてみた。英語で返ってきた。
「Thirty thousand won」
3万ウォンなら妥協できる。だが、それだけで済むのかしらと少し心配だったが、韓福麗先生のレストランと聞いて、俄然、興味が湧いてきた。よし、昼食はここに決めた。
レストランの名前は「宮宴」それにしても、韓国ではこんな高級店でも客引きするのだろうか。
デジタル人間を貫いているので家ではネットに繋いでいないわけですが、こうして、会社の機器を拝借することに今回いたしました。
さて、良いご旅行だった様子がうかがえますが、肝心の貴女らの楽しそうな写真が無いじゃあありませんか。この季節だから露出は少ないだろうけど、今後の掲載分に期待しま?す!
こうしょうだよ?ん 様
拙い旅行記を読んで頂いて、有難うございます。ご希望の写真ですが、私達は二人とも、写真写りが悪いと思っていて、旅行に行っても、ほとんど自分たちの写真は撮りません。
美人親娘の旅行記をイメージして読んで頂く事をお奨めします。
・・・・無理でしょうか?