任意整理・民事再生との異同
一 破産
1 破産手続きは、裁判所に破産を申立し裁判所の監督の下で法律に従って債務の整理をする手続きであり
2 この破産手続きをした場合、破産者は免責の申し立てをできることとなっている。
二 任意整理
1 任意整理は、裁判所に申立をせず、債務者本人又はその代理人となった弁護士らが、個別に債権者らと交渉して債務の整理をする手続きであり、
2 この任意の整理手続きを選択した場合、破産手続きを経由していないので、免責の申し立てをすることはできない。
3 従って、この任意整理という手続きを選択するのは
イ 自己破産するほど債務額が多額ではない場合
ロ 任意整理の手続きにより、名目上の債務金額を相当程度、減縮できる見通しがある場合(貸金業者の主張する残債権額は多額であるが、利息制限法による引き直し計算が可能な事件であって、引き直し計算の結果、債権額が相当程度減縮できる場合など)
ハ 破産宣告を受けることを避ける場合など
である。
4 任意整理により債務の減縮が可能な理由
イ 貸金業者らの多くは利息制限法を超過する利息金を徴収している。
ロ 他方、貸金業登録をした貸金業者らは、貸金業法所定の書類等の交付など貸金業法を遵守している場合、債務者から支払を受けた利息制限法を超過する利息金の受領・保持(返還請求の拒絶=貸金業法43条のみなし利息の適用)が認められている。
ハ しかしながら、貸金業者らの多くは貸金業法を遵守していないので利息制限法所定の利息金の保持が認められない。
ニ 従って、弁護士らが介入し債務者が貸金業者らに支払った利息金を利息制限法の利率により引き直し計算をし超過利息金を元本に充当する計算をし直すと、債務者の債務の金額が減縮されたり、逆に過払いとなって過払い金の返還請求をすることが可能となる。
ホ このような理由から債務の減縮が可能となっているのである。
注・・なお、全国の弁護士らが利息制限法に引き直し計算をしたり、また過払いの期間の逆利息金の計算をする金利計算プログラムとして「消費者金融金利計算の実務と返せ計算くん」というものがあり、過払いの場合の逆利息金計算をするものとしては先駆的プログラムであり、全国の弁護士らのなかで、圧倒的シェアを確保している。
三 個人民事再生
投稿者 goemon : 07:50 | トラックバック(0)