破産手続きの役割
一 破産手続きの役割
1 破産手続きは、全債権者のための、全体的、包括的、強制執行手続きである。
イ 破産手続きの意味を誤解される人が多い。
破産手続きは債務者のための制度であると誤解される人が多い。
ロ 破産手続きは債務者のための制度ではない。債権者のための手続きと言える。
ハ 債務者が債務超過や支払いが不能となり全債権者に対する弁済ができない状態となった場合、各債権者の個別の取りたてや強制執行等に任せておけば、早い者勝ち、執拗な取りたてをした債権者は弁済を受けることができても、じっと債務者の任意の弁済を待っている債権者は取りはぐれることとなる。また、債務者が不公平な弁済などをする場合もあり得る。
さまざまな理由により不公平、不公正な弁済が行われる危険性がある。
ニ このような不公平、不公正な弁済を阻止し、債権者の個別の強制執行を禁止し、裁判所が選任した管財人が、全債権者のために、債務者の財産等を換金し、債権者に対し、法律の定めに従った弁済をする手続き=これが破産手続きである。
2 個別執行の禁止
(破産債権の行使)
100条 破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができない。
2 前項の規定は、次に掲げる行為によって破産債権である租税等の請求権を行使する場合については、適用しない。
一 破産手続開始の時に破産財団に属する財産に対して既にされている国税滞納処分
二 徴収の権限を有する者による還付金又は過誤納金の充当
(他の手続の失効等)
42条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行又は企業担保権の実行で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。
(国税滞納処分等の取扱い)
43条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する国税滞納処分は、することができない。
2 破産財団に属する財産に対して国税滞納処分が既にされている場合には、破産手続開始の決定は、その国税滞納処分の続行を妨げない。
3 破産手続開始の決定があったときは、破産手続が終了するまでの間は、罰金、科料及び追徴の時効は、進行しない。免責許可の申立てがあった後当該申立てについての裁判が確定するまでの間(破産手続開始の決定前に免責許可の申立てがあった場合にあっては、破産手続開始の決定後当該申立てについての裁判が確定するまでの間)も、同様とする。
(破産財団に関する訴えの取扱い)
44条 破産手続開始の決定があったときは、破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。
2 破産管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続のうち破産債権に関しないものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
3 前項の場合においては、相手方の破産者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とする。
4 破産手続が終了したときは、破産管財人を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。
5 破産者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
6 第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは、破産者は、当然訴訟手続を受継する。
3 破産手続きの意味
(目的)
1条
この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
従って、破産手続きとは、全債権者のための、債務者の全財産に対する、全体的、包括的、強制執行手続きといえる。
債権者のための手続きである。
このことは、自然人と異なり免責という制度がない、会社破産、法人破産の場合を考えれば容易に 理解可能である。
投稿者 bentenkozo : 2005年6月 8日 13:30
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