「刑事訴訟の仕組み」編集記の最近のブログ記事
20日のYahoo!ニュースで、「婦女暴行未遂で服役男性は無実、公判中の男逮捕…富山」といったニュースが配信された。この報道を見て直に、「刑事訴訟の仕組み」(弁護士五右衛門著)で解説されている「自白は証拠の王様!?」そして、「留置所の神秘」がなせる業ではないかと思った。
また、22日に公開された周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」も、刑事裁判(刑事訴訟)の不思議と実際を取り上げた作品のように思える。
冒頭でご紹介した「刑事訴訟の仕組み」を、勾留中の依頼人に差し入れた弁護士さんから「(依頼人が)あの本があったおかげで心強かったと感謝しておりましたので、依頼者にかわってお礼を申し上げたいと思います。」といった感想が寄せられたのを思い出す。
ひょっとしたら、富山の事件の被疑者や映画の主人公がこの本を読んでいたら、冤罪は避けられたかも知れないと感じる。
そう言う私たちも、何時身に覚えのない罪で逮捕されるかも分らない。そして、近い将来、裁判員として、被告を裁く立場になるかも知れない。
「刑事訴訟の仕組み」を読むと、テレビドラマの世界と違った、刑事裁判の実際が見えてくるように思う。多くの人に読んで欲しいと思う。
「刑事訴訟の仕組み」
弁護士 五右衛門 著
ISBN4-902182-03-3
A5版 280頁
定価 3360円
落合弁護士のブログのコメント欄で、中村元弥さん(多分、元裁判官で、現在ある弁護士会の会長をされている方ではないかと思う)が、「刑事訴訟の仕組み」を推薦されている。
ありがたいコメントである。
私たちは、何時、刑事裁判の被告になるか分らない。何時、裁く立場の裁判員になるかも分らない。そういった裁く者、裁かれる者、双方の当事者の視線から、裁判員制度を考える必要があるのではないだろうか。「刑事訴訟の仕組み」は、こういった当事者の視線から裁判員制度を考えるのに大変参考になる。
asahi.comで「JR脱線「再現狙い」置石 求刑上回る懲役3年の判決」で、次のように報じている。
(中略)
遠藤裁判官は、被告に12犯の前科があり懲役刑を受けた期間が計29年2カ月に及ぶことから、再犯のおそれが否定できない点も考慮。「他の置き石事例との刑の均衡を意識しなければならない事案ではない」と結論づけた。
興味を持ったのは、事件そのものではなく、裁判官が求刑を上回る判決をした点である。
裁判の内容がどのようなものだったのか定かではないが、取り調べた検察官が求刑した量刑のどこを不当と考えたのだろうか。報道からすれば、「再犯の恐れがある」こと「他の置き石事例との刑の均衡を意識する必要はない」ということらしい。
確かに、今回の事件を裁くための法律が定める量刑が低すぎると言う事があるのかも知れないが、現行法の中で、検察官の求刑を覆すだけの理由とも言えないように思う。
検察官は、判決を不服として控訴するのだろうか。
「刑事訴訟の仕組み」の付録として、「主たる刑法犯罪及び特別刑法犯罪法定刑及び量刑分布 と、罪と罰(量刑の個別検討など) 」をダウンロードできるようにしてある。
さて、この量刑がいかに決められるかであるが、五右衛門さんが、「量刑の不均等、不統一と量刑の難しさ」で述べているように、統一基準はなさそうである。個々の裁判官の裁量に委ねられているのが量刑実務での現実のようである。
その中でも、検察官の求刑がかなり重要であり、検察官の裁量で、量刑が決まると言っても過言ではなさそうである。
裁判では、裁判官が被告人を裁く。しかし、裁判での量刑実務からすれば、量刑等を決めるのは検察官と言うのが、実態としては自然と言えそうである。
すなわち、裁判官は検察官の監視役と言った役回りと感じる。
いつか私たちが裁判員になった時の留意点でもある。
五右衛門さんの「批判的国家権力という本質を忘れた裁判所」が、参考になる。
元都市銀行検査役の方から 「刑事訴訟の仕組み」 の感想をいただいた。
下手な小説よりも面白いと言っていただいている。 みなさんも、ぜひ一度手にとって読んでいただければと思う。
腹を抱えて笑う面白さはないけど、違った面白さがある・・・
「刑事訴訟の仕組み」
http://www.ofours.com/books/43/
大変ありがたい書評を頂いた。
今日目にした「日本裁判官ネットワーク」のホームページで、五右衛門さんの「刑事訴訟の仕組み」が名著として紹介されていた。嬉しくなったので、以下に紹介する。
「日本裁判官ネットワーク」
http://www.j-j-n.com/