ウイニー事件に思う: 2004年8月アーカイブ
Winnyに関して、高木浩光さんのブログにある市民の安全を深刻に害し得る装置としてのWinnyは、P2Pにおけるファイル共有の技術的歴史とか問題点を分かりやすく解説していると思う。多少技術的に専門的な内容ではあるけど、ポイントは理解できると思う。
備忘録として日記に付けておこう。
今回の事件の公訴事実では、Winnyを開発したこと、提供したことを問題にしているのではなくて、むしろ、著作権侵害に使われているのを知った上で、著作権侵害がよりやり易いように機能を改善して提供していたことを問題にしているのではないでしょうか。そして、この意図なり行為が幇助だといっているのではないのでしょうか。
私だったらプログラムを改造する場合は、少なくともソースコードの中に変更した日付とかバージョンなどをコメントとして入れて置きます。そして、どういった改造をしたのか、改造の目的も簡単に書いて置きます。ソースコードとは別に設計書とか保守書を作って作業すればよいのでしょうが、プログラマはめんどくさがりやですから。
確か検察はWinnyのソースコードも押収しているようですし、解析もしているとのことですから、当然ながらエンハンスの内容を時系列的に並べて、掲示板等に投稿されている内容との関連付けをしているのではないでしょうか。
すなわち、検察は、Winnyの技術的な問題を検証するのにソースコードを解析するのではなくて、著作権侵害するだろうと認識している人からの要望を聞いて、Winnyをより著作権侵害しやすうようにエンハンスして提供していたかどうかを解析しているのではないでしょうか。
そしてこの行為なり意図が認められるから、著作権侵害を助けようとする幇助、あるいは、積極的に著作権侵害の方法をアドバイスするといった教唆といった行為があったと認識しているのではないでしょうか。
当然、弁護団も提出される証拠への反証を用意されているのでしょう。あるいは、積極的に別の意図があったといった証拠を用意されているものと思います。
こうみると、小倉さんの私案の様に著作権法が改正されたとしても、小倉さんの言う(中立的行為の保護)の2項が適用される事案ではないかと思います。
ただし、今の時点では、私には公訴事実が分からないので、あくまで想像でしかないわけで、公判を待つしかないだろうと思っています。
公判の成り行きを注目しています。
小倉さん、トラックバックありがとうございます。
私は、今回のWinny事件に関して、当局はP2Pソフトの機能を問題にしているのではないと見ています。それを広めようとした目的と、意図。その意図に沿った行為と、それによって社会に与えた影響を問題にしているのではないでしょうか。
それに対して、Winnyが著作権侵害以外にも使えるとか、逮捕によって、ブログラマや文化の発展に悪影響を与えると訴えたところで、刑事裁判で無罪を勝ち取るなどできないのではないかと感じています。
だから、事件の公訴事実が知りたい。その公訴事実が分からない限り、何が問題なのかの判断もできないし、何について支援すべきかも分からない、何も始らないだろうと思います。しかし、弁護団は公判が始まる前にそれを公開して、何が問題かを、広く世論に訴えるといった気もなさそうです。
ただし、当該プログが、Winny事件といった特定の事件とは別に、P2Pソフトが持つ問題点を考えようというのであれば、いろんな視点から考え、議論するともできるでしょう。
しかし、明確に刑事被告人の支援サイトだと言っているわけで、特定の刑事被告人の無罪獲得のための支援サイトということでしょうから、そこでP2Pの一般論を議論してみたとろこでセンナイ話ではないでしょうか。
Winny事件の弁護士さんのブログに投稿した後、トラックバック(リンク)されているのを確認したのですが、直ぐに削除されてしまいました。
触れて欲しくないことがあったのかも知れません。
公訴事実を公表して、それに対する見解を明らかにして、世論を味方に付ける論陣を張っておくとか。
そういった足腰のしっかりした活動をやっていれば、事件のニックネームも自然発生的に、みなさんが付けてくれると思うのですが。
当事者である弁護人みずからが、刑事裁判のかっこいいニックネームがないかと募集してみたり、単に、言葉だけ躍らせて、外側の形だけを気にしても始まらないだろうにと思ってしまいます。やること違うんじゃないかなぁ~。検察を甘く見すぎてるんじゃないかなぁ~。
しかしまぁ~、どうなるのか静かに見ていることにします。
追記
それと、大変気にかかる発言があるので、書き止めておきます。
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弁護の意義を見いだしにくい事件が多い中で、
彼を弁護し、表舞台に引き上げることは、
今後のプログラマの開発環境や、日本の国際競争においても
重要であると思っています。
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「金子氏について」から引用
(1) 刑事事件において、弁護士として特別に見出さないといけない「弁護の意義」とはなんなんだろうか ?
(2) 公判での弁護を通して、被告人を「表舞台に引き上げる」とは、どうすることなのだろう ?
(3) 被告人と一緒になって、「今後のプログラマの開発環境や、日本の国際競争において」大切なことをやったと主張するということなんだろうか ?
(4) こういった行為は、弁護人としての被告人に対する「幇助」いや「教唆」的行為になるのではないか。
(5) もし、万一、裁判でその主張が認められなかった場合。例えば仮に、被告人に反省の態度が認められない等を理由に実刑判決がでたとしたら。
(6) 重過失による過誤、故意に匹敵する過誤、「弁護士過誤」と言われても仕方がない行為ではないのだろうか。
私は法律の専門家でもないので、よく分からないのですが、そんな気がしてしかたがないので、書き止めて置くことにしました。
今日たまたまWinny事件の弁護団の弁護士さんのブログを見た。この中に「金子氏について」といった被告人に関する記事があった。
その中で「元プログラマー」さんがコメントしてますが、私も彼の意見に近い感じを持ちました。
そもそも、私は、著作権の本質は、「自分の権利を主張することは、他人の権利を尊重し守ること」といったところにあると考えています。
元プログラマーと称する方が言っている「業界人の基本的な掟」というのもこの点 ( 他人の権利を尊重するとこ ) にあるのではないでしょうか。
確かに「人類文化の発展のためには、人のものは自分のもの、自分のものは人のもの、人類全ての人で共有しないといけない。」との主張もあるのでしょうが、これの実現のためにも、逆に各人の著作権を尊重し合うようにして欲しいと思うのですが。
この記事の冒頭で、弁護士さんが刑事被告人を「表舞台に出れるようにしてやりたい。」
と主張されていますが、言葉としては分かるような気がするけど、意味が全く不明。
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相手によっては著作権侵害(幇助)を主張することもあるかもしれません(笑)
などと、著作権フリーを主張されている人(?)が、自分のホームページに著作権表示されている真意も理解できないし・・・
こんな感じで刑事裁判、戦えるものなんだろうかと思った次第です。
いずれにしても、9月1日から始まる公判に注目していきたいと思います。