投資: 2006年7月アーカイブ
昨晩、ニューヨークでファンドマネージャをやっている知人と、寿司を肴に生ビールを飲みながらいろいろと話をしてきた。
実は、私は彼のファンドを管理するためのプログラムを作った。 彼が言うには、なかなか良いプログラムなので、他の日本のファンドマネージャに紹介すれば売れると思うと言い始めた。 それに対して、私は、日本のファンドマネージャ向きになっていないので、止めとくと答えた。
日本の多くのファンドマネージャは、頻繁に株式を売買すると聞いたことがある。 一方、彼は殆ど売買しない。 相当大きな資金を動かしているようだが、一カ月間一度も売買しない月が続く時もあるようだ。 システムの構造も、そういった投資スタイルを前提に作った。
売買によるシステム資源への負荷は、あまり考慮せずに作ってある。 その代わり、構造もシンプルである。 当然安く出来た。
日本のファンドマネージャのように頻繁に株式を売買されると、いろんな所で歪が出てくる。 いまさら、改造するのは面倒だし、やりたくないというのが本音である。
そんな彼である。 日経平均が18000円になると多くの人が強気になっていた1月から4月にかけて、これから株は下がると言って、めぼしい株は売って現金にしていた。 そして、ニューヨークの郊外の自宅で畑を耕していた。 最近の株式市場を見ていると、どうも、彼の言っていたようになっている。
彼は、ここのところ自宅で畑を耕して、トレーディングは止めているようである。 しかし、ヨーロッパや日本の投資先の会社を、自分の足で訪問しながら、訪問先の社長と話したり、職場の雰囲気を確かめたり、情報収集に余念がない。
さて、そんな彼と私とを見比べてみた。 いや、比べること自体、彼に失礼なのは一目瞭然ということだろうが。
実は、私も6月末にはきつい下げになると思い、1月から4月にかけて持ち株を整理した。 しかし、いつものように、周りの強気な話を聞いて、フラフラと整理も中途半端で終わってしまった。 お陰で、動かせる資金は殆どない状態になっている。
ところで、彼は以前、歩きながら雑談しているときに、投資するときは、詰まるところ直感頼みのヒラメキだと語っていた記憶がある。
彼と私は6カ月先の予想は同じだったように思う。 しかし、結果の差は大きい。
要するに、私の場合は単なる直感での行動。 だから意思を強く持って行動を持続することができない。 彼の場合は、過去からの経験、各種データの分析を基にした直感でありヒラメキでの行動。 同じ直感とは言うものの中味がまるで違う。 当然、結果も違ってくるということだ。
結果が出てからでしか気付けない。 そう言えば、ITバブル崩壊の時もそうだった記憶がある。 学習できていないのも、なんとも情けない。
さすがプロである。 彼の職人技、匠を感じたひと時だった