弁天小僧: 2007年9月アーカイブ
今日の日経平均は、+396.48円と大幅高となった。
ある経済アナリストは、『ニューヨーク市場では、著名投資家のウォーレン・バフェット氏がサブプライムローンで傷ついたベア・スターンズの株式を取得するとの報道があり、これによって、米国住宅金融問題がヤマ場を越えるとの見通しが広がっているため。』と解説している。
一方、日銀の須田美矢子審議委員は、『サブプライム問題を発端として金融市場は「引き続き不安定化しやすい地合いが続く」と指摘。米住宅市場では「延滞率や差し押さえの発生率が08年にかけて高まる」と述べ、成長率を下押しする可能性に言及した。日本経済への波及については「米向け輸出の減少、株価や為替の変動を通じた影響を慎重に検討する」』とした。とNIKKEI NET で報道されている。多分、須田美矢子審議委員の見方の方が正解だろうと思う。
ただし、大きな流れは、そうだとしても、上がる株はある。今まで相場を牽引してきた株は、今回の下げで塩漬けになり、日経平均には影響を与えない、株式市場から忘れられながらも、地道に業績を伸ばしてきた会社の株が面白い動きをすることになるのではと思っている。
最近は円より外貨の方が金利が高いので、直接外貨貯金にするなり、ファンドを買うなり、いろんな形で外貨に資金をシフトする人が多い。そんなみなさんの意識は、例えば「ドルを買う」という意識ではないだろうか。
しかし、「円を売っている」と言われたらどうだろう。米国のトレーダなどは「日本の奥様達が円を売っている。」と言っているようだ。その量も多いと聞く。
逆にファンドなどを解約すると「ドルを売っている」と言われることになる。
「ドルを買う。円を売る」同じことだが、その響は違うと思う、みなさんにはどう響くだろうか。
今朝のNHKのニュースや NIKKEI NET などで、米連邦準備理事会(FRB)は18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げたこと。それを好感して「18日の米株式相場は急反発。ダウ工業株30種平均は前日比335ドル97セント高の1万3739ドル39セントと7月25日以来の高値で終えた。上げ幅は2002年10月以来の大きさ。」と報じている。
しかし、これで信用収縮がおさまるかどうかは未知数である。株価の上下動が大きくなるのはどちらかに大きく動く兆候ということもある。
そして、スタブレーションへの序章が始まったのではと、そんな心配が脳裏をかすめる。
今日のNIKKEI NET で「米金融機関、業績に減速警戒感」と報道されている。
米国銀行の投資銀行業務の不振が、業績の陰りとなって表に出てきたようである。
先日紹介した「銅価格」や「BDIY:IND」に変化はないかを見てみた。
上がるでもなく、下がるでもなく、気迷い気味であった銅価格は下りはじめたように見える。
また、BDIY:INDも下向きになっている。このまま下がっていくのか、それとも戻すのだろうか。
両指標とも、これからの事を考えるためには目を離せない動きをし始めた。
総論としての「構造改革」についてはなんとなく分る。しかし、構造改革を声高に主張している人が、金融政策で何を構造改革と言っているのか良くわからない。郵政民営化の事を指しているわけでもないだろう。
日銀は金利を少しずつ上げて正常に戻すことすらできないでいる。
なぜ、いまの金利のままにしておくのが構造改革なのだろうかと不思議に思う。これ以上、円安バブル、円キャリバブルを世界中に振り撒いてどうしようと言うのだろうか。
米国のサブプライム問題の遠因の一つに円キャリバブルがあるとも言える。バブルは大きくなればなるほど、破裂したときの被害は大きい。山が高くなればなるほど、谷は深くなるのは自然の成り行きである。
ここまで円キャリバブルが大きくなったからには、山が高くなったからには、我々は谷が深くなることを覚悟しておかなくてはならないだろう。
そう遠くない将来、今までの付けで円独歩高が止まらない時代がやってきそうだ。どう準備していくか、悩ましい限りだ。
世界の景気がよければ、多くの生産物が世界を行ったり来たりする。多くの物は、貨物船で運ばれる。
貨物船の数は急に増やしたり減らしたりできないから、流通する貨物の量は貨物船の運賃に反映される。
この貨物船の運賃の指標として有名なのが、バルティック ドライ インデックス(BDI) である。バルティック ドライ インデックス(BDI) 不定期船運賃指数というインデックスで、乾貨物の海上輸送運賃指数。乾貨物、いわゆるドライカーゴとは、石炭、鉄鉱石、穀物 の3大バルク、砂糖、鉄鋼製品、肥料、木材製品(含む原木)、セメントなどのマイナーバルクの総称。
今のこの指標を見てみてほしい。私には延びきっているように見える。この指標がピークを打った後、半年先に景気が崩れるという人もいる。
今注目して見ている指標の一つである。
バルティック ドライ インデックス
http://quote.bloomberg.com/apps/quote?ticker=BDIY:IND
これから日経平均株価がどうなるか、株価チャートを見ていても分らない。株価チャートは、過去の動きは教えてくれるが、将来どうなるかは教えてくれない。
株価チャートを見ての株価予測には願望が多く含まれる。当たったら儲け物程度に考えておくのがよい。
景気の強弱は生産と消費の強弱である。だから生産活動に左右される物の動きを見るとよい。
生産活動の強弱を分りやすく教えてくれるのが「コッパー」だと言われている。即ち、コッパー(銅)価格の動きである。この銅価格の推移を見ていると、今後の経済の動きが読めるように思う。
さて、この銅価格のチャートは下のサイトに掲載されているので、自分の目で見てもらえればよい。
5年間の銅価格の動きを示したチャートを見ると、最近2回目の天井を付けてフラフラしている。坂道は登りがあれば下りがある。一般的には、2回目の天井はあるが3回目はないものである。登った後は下るしかない。
そして、その時期はそう遠くないと見ている。みなさんはどう見るだろうか。
「銅価格リアルタイムチャート」
http://copper-market.seesaa.net/
日経BizPlusに、箭内昇氏のコラム『第83回「時限爆弾化するアメリカ——サブプライムローン問題は世界不況の前触れ?」(2007/09/11)』が掲載されている。コラムの最後で
「あなたが先送りした問題だろう。よく言うよ」と皮肉りたくなるが、筆者の実感を裏付ける有力な論評であることは確かだ。
この中で「筆者の実感を裏付ける有力な論評」という部分が一番気に掛かる。そして、この筆者の実感とは、「筆者の脳裏には87年のブラックマンデー直後に赴任したときの、ニューヨークのすさんだ光景がよみがえる。」という事である。
机上の論理には「願望」が多い。現場を見ての「実感」に勝るものはない。
市場の大方の予想は「0%」である。私もそう思う。米景気の不透明感を考慮すると利上げするというわけには行かないだろう。残念ながら日銀は利上げのタイミングを逃したことになる。
これは何を意味するかと言えば、円キャリバブルを続けるということである。風船はいつかは破裂する。風船が大きければ大きいほど、破裂の影響も大きいということである。
先日の記事で、年末には株価が上がるかもしれないと書いた。ゆめゆめ誤解しないで欲しいのだが、今が買い時と言っているわけではない。静かに年末まで待とうということである。間違えてもナンピン買いなどしてはならない。
買いに行くのは、バブルが破裂してセーリングクライマックスを確認してからでも遅くはない。暫く株のことなど忘れよう。その時のために現金にしてあるばすだから。
今日のロイターに次のような記事が載っていた。
今朝の日経朝刊一面に世界のM&Aが8月は71%減となっていると報道されている。その原因として、これまで借り入れで買収資金を膨らませてきたファンドの活動が大幅に縮小してきたのが大きいとしている。
世界の金の流れが変わってきたと思ってよいだろう。世の中に不安なことがあると、資金は自国に戻るものである。ドルは米国に戻り、円も日本に戻る流れになるだろう。