2006年9月アーカイブ

 注目しているウイニー裁判が結審してから、そろそろ一カ月になる。公判録と、結審後の報道を読み直して、ウイニー裁判を振り返った。

 産経新聞の「改めて無罪を主張 ウィニー最終弁論」の報道によれば、弁護側は最終弁論で、「(ウイニーは)匿名性と効率性を両立した新しい技術の検証が開発目的であり、著作権侵害の意図はない」とし主張したと報じ、続けて

 弁護側は最終弁論で「ソフト自体に違法性はない。ソフトを開発、公開しただけの被告を、(ソフトを)悪用するユーザーの幇助犯に問えない」と主張。「今回の起訴で、あらゆる技術者が不明確な幇助の可能性に萎縮(いしゅく)し、日本の技術革新への大きな足かせになっている」と現状を指摘し、捜査を批判した。
と伝えている。

 しかし、裁判録からは、検察官はソフト自体の違法性を問うているようには見えなかった。対して、弁護人は、法廷にパソコンを持ち込んで、ウイニーのシーズ(技術の種)の説明に力を入れていたように思う。
 一方、開発目的は「匿名性と効率性を両立した新しい技術の検証」としている。しかしながら、検察官が問題としているのは、匿名性と効率性といったウイニーのシーズではなく、被告人が取った技術の検証の仕方ではなかっただろうか。
 しかし、弁護人は、これに対する立証はほとんどせず、ウイニーのシーズの説明に力点を置いていたように思う。例えば、実験に参加してくれる人達への検証方法の説明や告知など、被告人の取った方法に、なんら問題ないことを説明し、検察官の主張に対して正面から反論するといったこともしていなかったよう(力点が置かれていない?)に思う。

 また、「今回の起訴で、あらゆる技術者が不明確な幇助の可能性に萎縮(いしゅく)し、日本の技術革新への大きな足かせになっている」とする点に関して、技術者がいかに萎縮しているとか、日本の技術革新にどのように大きな足かせになっているか、証人も少なく、説得的な立証もされていなかったように思う。ただ、弁護人がそう思っているだけ程度にしか伝わっていないように思える。

 次ぎに、INTERNET Watch で、弁護人が「警察に協力的すぎたのが問題だった」と主張している。これもまた変な話である。弁護人は何時そのことに気付いたというのだろうか。裁判が始まる前か、あるいは、裁判の最中か、はたまた、裁判が終わってからなのだろうか。そして、この認識に対して、公判の中で、どう対策し、反論してきたと言うのだろうか。
 裁判の冒頭陳述では主張していないようであるし、公判の中で、被告人が「警察に協力的すぎている」と主張しているようにも思えない。なぜ今なのか、法廷外での唐突な主張に感じる。

 最後に、裁判が始まるときに注目していた点に関して、弁護人の冒頭陳述での主張からすれば、ウイニーの社会での有用性を説得的に証明し、社会に組み込むときのバランスを評価し、被告人の行為の正当性を立証するものと思っていた。しかし、残念ながら弁護人は、立証できなかった(しなかった)ように思う。真実はそこにはなかったということであろう。

 裁判官はどう見たのだろうか。いずれにしても、12月には判決がでる。


 そしてもう一つ。 今回の裁判での弁護は、「誰の為の、何の為の弁護だったのだろうか」。最後までこの疑問が払拭できなかった。疑問の根底には、弁護人の次の主張がある。刑事弁護は、政治的主張をすることではないと思うのだが・・・。

 弁護の意義を見いだしにくい事件が多い中で、彼を弁護し、表舞台に引き上げることは、今後のプログラマの開発環境や、日本の国際競争においても重要であると思っています。

 コンテンツビジネスや著作権法が変わるべきだと考えているのは、金子氏ではなく私である。意図が問題なのであれば、逮捕されるのは私である。著作権法もろくに知らないプログラマを人柱にすることは間違いである。

 友人に富山にある「シャルダン・ド・サンス」というレストランを紹介してもらった。

 富山の荒町の交差点から中央病院の方向へ、日出町交差点を右に折れて白銀公園の隣。荒町の交差点から歩いて5,6分の所にあるレストランだ。「富山市白銀町6-23 パークサイド白銀1F Tel/Fax 076-422-2244」

 実は、金沢と富山の食文化が話題になったときは、「素材の富山、料理の金沢」と言っていた。しかし、このレストランを紹介してもらって、この考えは当たらないかも知れないと思い始めている。

 土地があって素材がある
 素材があって料理がある
 料理を楽しむ空間がある
 五感で楽しむフレンチの小宇宙
          五感の庭
 (シャルダン・ド・サンスのホームページから引用)

 料理のことを端的に表しているように思う。

 よく旅先でその土地の地酒を飲んで、美味しいと思い、お土産に買って帰って、家で飲むのだが、旅先で飲んだときとはどことなく違うという経験がよくある。多分、その時の料理や、水が、お酒の味を引き出し、地酒が料理の美味しさを引き出していたのだろう。 だから、お酒だけを変えても、旅行先での感動が蘇らないのではないだろうか。そんな風におぼろげに思っていた。

 ところで、東京の丸の内ビルディング35Fにある「シャルダン・ド・サンス」の方が有名なようだが、高い所にある分、料金も高そう。わざわざ東京に行かなくても富山で手頃な値段で、フランスの三ツ星レストランの味を楽しめるというのは嬉しい。

 近い内に、確かめてこようと思う。楽しみである。


 私の生活スタイルを省みると、インターネットを筆頭にした情報技術は、好むと好まざるとに係わらず、意識するしないに係わらず、生活の中で、なくてはならないものになってきている。
 そうこう思っている中で、INTERNET Watch に、行動特性や世代ごと利用動向を分析した「ネットユーザー白書2006」の紹介記事があった。

ライフラインや対話ツールとして生活に定着

 白書によると、「知りたいことやわからないことはまず、インターネットで調べてみる」ユーザーは全体の92.3%に上った。日常的に利用するものは、「情報収集」98.1%、「メール」89.1%、「ネットショッピング」68.4%など。ブログや個人サイトの閲覧、ネットバンキング、映像・音楽の閲覧およびダウンロードの利用も目立った。

 また、ネットショッピングを過去に1回以上利用したことのあるユーザーは90.6%、1カ月に1日以上利用するユーザーは68.4%だった。このほか、実店舗で買い物をする前の情報源にインターネットを利用するユーザーは77.1%で、商品を選ぶ決め手にしているユーザーは33.8%だった。

 調査・分析を担当したIMJBCのコンサルタントである中澤雅夫氏は、「インターネットはユーザーの生活に密着している。物を買うときもなくてはならないメディアになっている。また、ネットは若い世代を中心にライフラインや対話ツールとしても定着している」と説明した。

 今や、情報技術は、社会生活を支えるインフラ技術になっていると言える。

初秋

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 今日、カレンダを Kinarie&May さんの横型Flashカレンダにした。洒落てて使いやすい。
 また、Flash天気予報も頂いた。こちらもシンプルだけど実用的で、なかなか気に入っている。Kinarie&May さんに感謝です。ありがとうございます

 gooニュースに、共同通信の異常気象に関する二つのニュースが伝えられている。

8月撮影の衛星写真で、北極海で氷が大量消失しているのが判明したようである。また、この記事には

海氷が消失すると、太陽光線を反射するものがなくなり海水温が上昇、これが氷の融解をさらに促進するという悪循環を生む。海氷が解けても海面上昇はもたらさないが、北極海の氷が減ると、欧州西部に穏やかな気候をもたらしているメキシコ湾流が不安定化する恐れがあるほか、ホッキョクグマなどの生物にも影響が及ぶ可能性があるという。
とある。

 日本の気象に影響を与えると言われているエルニーニョ現象も起き易くなるのではないだろうか。

 たまたま「今日のスナップ」を携帯電話で見たところ、見ることができなかった。
 なぜだろうと気に掛かって、いろいろと調べて、見れるようになった。
  1. 今までは、ブログの記事を配置するのに table タグを使っていた。CSS を利用して配置するように変更したところ、見ることができるようになった。
  2. 携帯電話では、多くの HTML タグを無視して表示しているようである。ただし、table タグは、それなりに変換して表示しようとしているようだ。
     とは言うものの、テーブルの幅が広すぎると、表示できなくなってしまうのではないかと推測して、上のような対策をした。どうも「当たり」だったようだ。
  3. 画像が表示できなかった。多分、画像形式の問題だろうと考えて、jpg を gif にしてみたら、表示した。これからは gif で格納することにした。
  4. 携帯電話でURLを入力するのは大変なので、今日のスナップにQRコードを掲載するようにした。
  5. 今までは、トップページに記事を20件表示するようにしていた。しかし、携帯ではスクロールが大変で、扱いにくいので、新しい記事5件に絞って表示するようにした。
 携帯電話でブログを見ることなどないと思っていた。しかし、自分で実際に携帯で見てみると、結構読める。ひょっとすると、電車の中などで読んでくれる人がいるかも知れない。
 これからは、携帯のことも頭の片隅に入れて置かないといけないなぁ~と、遅ればせながら、思った次第です。

ぬく森の郷

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 九州地方に上陸した台風13号だが、今日は日本海側を通過しているようだ。しかし、こちらの上空はポッカリと穴を開けて雲は無く、台風は避けて通過しているようである。多少風はあったものの、夏の暑さがぶり返した一日だった。

 午前中に、家での用を済ませ、11時頃から昼食がてらドライブも兼ねて少し遠出することにした。今日は、富山との県境にある福光医王山温泉・ぬく森の郷に行くことにして、山側環状で森本に出た。そこから国道304号で福光へと車を走らせ、ぬく森の郷に向かった。
 ぬく森の郷の玄関の上には、来場者が100万人を突破したと墨で書かれた木の看板が掛かっていた。前にも一度来ているが、そんなに昔の話でもないと思う。評判が良くて、沢山の人が訪れているということだろう。
 露天風呂は広くて、山の緑と空の青。そして、白い雲。風呂岩に背をもたれて湯に浸かっていると、ゆったりとした、なんとも幸せな気分になる。
 ゆっくりと風呂に入って食事をして、帰りは福光に出て、医王山の山並みを見ながらドライブをしながら帰ってきた。丁度、稲の穂も黄金色にたわわになって頭を垂れている。稲の刈り入れが済んだ田圃とまだの田圃が斑になっていた。

 二三日すれば、無くなってしまうだろう黄金色の田圃の風景を楽しみながら、台風が来なくてよかったと、家路を急いだ。

 帰りは、角間にある金沢大学の横を通って帰ってきた。このルートが一番早そうである。また、行こう

技術と社会の狭間

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 ウイニー裁判での弁護人のブログに、被告人の意見陳述要旨が掲載されている。

 ところで、最近、私がウイニー裁判が始まった頃に書いた記事「ウイニー事件で、p2p関連技術開発が萎縮しているのだろうか」に、ハスカップさんが、次のようにコメントされている。

 確かに技術や学問は中立的価値観ですが、それでも犯罪幇助の片鱗すらなかったダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルは、その後に自分の技術が戦争に悪用されたことについて悪夢にうなされました。学者の良心でしょう。
 ですが、悪用する奴が悪いと公言して(応援する人まで同様の言動をとる)は、世論の支持は得がたいのではないかと思います。被告人が極めて優秀な研究者であるだけに真に残念です。
 ウイニーは、社会に大きな影響を与えたことは確かである。だからと言って、技術者・研究者として、提供した技術そのものに対して、反省すべきとは言わない。むしろ優秀な技術であり賞賛されてもしかるべきと思う。
 しかしながら、社会に与えた影響を憂慮する一言があっても良いのではないだろうか。

 被告人は意見陳述の最後で、「私の方でも新たしいアイディアを思いついています。ですが、それを実際に形にすることすらできません。私はそれが残念でなりません。」と記している。
 これを読んで「困っているのなら、私のアイディアを形にできるようにすべきだ。」と、技術者としての力を誇示し、上から物を言っているように感じてしまう。(ぜひ、ご自身で、被告人の意見陳述要旨を読んで頂きたいと思う。)
 社会との真摯な係わりを感じないのが残念である。社会のインフラとなるシステムの開発を任せても大丈夫なのだろうかと思ってしまう。
 このように感じるのは私だけだろうか。

見附島

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 ウイニー裁判の担当弁護士が、一審の結審をふまえて、自身のプログで、次のように述べている。

「コンテンツビジネスや著作権法が変わるべきだと考えているのは、金子氏ではなく私である。意図が問題なのであれば、逮捕されるのは私である。著作権法もろくに知らないプログラマを人柱にすることは間違いである。」

 どう解釈すればよいのだろうか。いろんな風に読めてしまう。

 当該弁護士は、自身も著作権侵害に関する民事訴訟も抱えているようなので、著作権法が変わるべきという考えは、本音のようである。

 しかしながら、何よりも問題なのは、件の発言が、誰の為の弁護活動なのだろうかという疑念を抱かせてしまうところにある。

 自身が弁護人として担当している刑事裁判に関する発言としては、本音とは言え、不用意過ぎる発言と思うのは私だけだろうか。

例えば、
(1) コンテンツビジネスや著作権法を変えるために、ウイニー裁判を通して(利用して)弁護士自身の考えを、裁判(公の場)で主張していた。
(2) だから、検察官が幇助だと言っているのに対して、ウイニー技術の優位性を主張して、現在の著作権法を骨抜きにしようと考えている。
という、うがった見方さえできる。

 釈迦に説法、法律に門外漢な私ではある。内心の自由など難しいことは分らないが、刑事裁判は、政治の場、立法の場ではないはず。誰の為の弁護士(弁護活動)なのだろうかと、素人ながら、そんな風に思ってしまう。

 最近、Web2.0 と言う言葉をよく耳にするようになった。しかし、Web2.0を説明しろと言われると、モジモジとするだけである。そこで、自分なりにWeb2.0をメモにまとめた。

 Web2.0のキーワードは、「マイクロコンテンツ」ではないだろうか。

 ホームページを例に取って考えてみること、「コンテンツ」がページ、「マイクロコンテンツ」は、ページを構成する「ある意味を持つ塊」と表現できる。オブジェクト指向的に言えば「オブジェクト」が、マイクロコンテンツと言えるだろう。

 私たちは今まで、ホームページはHTMLという言葉で記述してきた。 HTMLでは、<html>から</html>に囲まれたものが情報の塊であり、これらを、ハイパーリンクと言う仕組みで関連付ける。しかし、HTMLの言語仕様では、ホームページの中味を構造化して表現するといった仕様はない。そのため、HTMLでの情報の塊の最小単位は、ページということになる。
 一方、このHTMLで書かれたホームページは、インターネット上のサーバと言われるコンピュータに格納して置く。サーバでは、パソコンからの要求に従って、その要求に対応するプログラム(httpd)が、ファイルの中味(HTML)をパソコンに送出する。パソコンでは、サーバから受け取ったHTMLを、ブラウザというプログラムを使って、パソコン画面上に表示している。

 さて、ブログがWeb2.0の特徴を表現する代表選手と言われている。とは言うものの、このブログも多くの場合、いままでと同じようにブラウザでパソコン画面上に表示して見る。見た目上の特徴といえば、ブログにコメントを書くことができたり、他のブログからのトラックバックでリンクが張られると言ったことが挙げられる。
 そして、これらコメントやトラックバックは、ホームページに対してではなく、エントリーと言われるそれぞれの記事に対するものであることに気付く。

 言い換えれば、ホームページを構成する記事を個別にアクセスできるということであり、ホームページが構造を持っていることを意味している。ブログの個々の記事が、前述した「マイクロコンテンツ」になっていると言える。

 今まで私たちは、ホームページはWebブラウザで見るものと思っていた。しかし、最近では、RSSリーダでホームページを見ている人が多いようである。
 個々のRSSリーダの機能に依存することではあるが、RSSリーダを使ってブログを見ると、ブラウザとは違った見方ができることに気付く。記事の一覧だけを表示させるとか、複数のブログの記事を並べて見ると言ったこともできる。
 そして、RSSリーダの多くは、興味のあるブログを、指定した間隔で、ブログの変化をサーバから取り出し、新たしい記事は何かを表示するといったこともできる。いままで、ブラウザの画面で「更新」ボタンをクリックして、最新の状態にして見るといったことに似ている。この場合は手動であるが。
 RSSリーダを使っている人達は、興味の度合いによって、その間隔を、1時間にしたり、3分にしたりしながら利用しているように思う。

 いままでのWebブラウザは、ホームページを縦断的に見るツールと言え、RSSリーダはホームページを横断的に輪切りにして見ることができるツールと言える。

 これを可能にしたのがXML(Extensible Markup Language)をベースにしたRSS(RDF Site Summary/Rich Site Summary)だろう。多くのブログは、このRSS形式のデータをホームページと一緒のサーバに格納している。このRSSは、記事が更新されると、ブログツールが自動的に書き出している。よくブログで目にする「フィード」というのがこれである。ちなみに、フィードには大きくはatom, RSS1.0(rdf), RSS2.0三種類の形式がある。

 先に話したRSSリーダとは、RSSフィードを解釈するツールであるが、HTMLも解釈表示する機能を備えているのが一般的である。これからは、RSSリーダが急速にブラウザに取って変わるのではないかと思う。あるいは、FireFoxのように、ブラウザにRSSリーダの機能を取り込むようになると思う。

 こう考えてくると、「Web2.0とは、構造化されたホームページと、これを利用するツール群、Web利用環境」ということになるのではないだろうか。

 これからは、構造化されたホームページを利用するツールとして、より高機能なRSSリーダや、思いもかけない新しいツールが、世に出てくるのではないかと思う。
 私たちが、社会の営みの中で、このWeb2.0をどう活用するかという段階に、急速に移りつつあるのが、今なのかも知れない。

(「マイクロコンテンツ」を著作権上、どう考えるか、どう扱うか、整理しないといけない時期にきているようにも思う。)

 INTERNET Watchの記事に「IIJ、Winnyを応用したP2P型コンテンツ配信「SkeedCast」を本格展開へ」で、新しいコンテンツ配信方式で、コンテンツを配信するといった記事が掲載されている。

 その特徴は

 坂田氏はSkeedCastの特徴について、P2Pネットワークを「コンテンツ提供者」「配信ネットワーク」「視聴者」の3つの役割に分割した点にあると説明。配信ネットワークを構成する「SkeedCluster」は、Winnyと同様にP2P型のネットワークを自動的に構築する。ただし、このネットワークにファイルをアップロードできるのは「EntryNode」と呼ばれる専用のノードに限られ、視聴者側は「SkeedReceiver」と呼ばれるダウンロード専用のノードとなる。
としている。

 このサービスは、前の記事「P2P技術を用いたファイル共有機能「AllPeers」」で書いたような、個人間でファイルを共有するというものではなく、あくまで、コンテンツの発信者と受信者がいるコンテンツの「配信」である。その配信システムのインフラ技術としてウイニーの技術を利用するというものである。

 さて、ウイニー裁判などで、ウイニーが語られる場合、ウイニーはファイル共有ソフトとして語られることが多い。しかし、ウイニーの機能からすれば、「共有」というよりも「配信」あるいは「放流」という言葉がぴったりくるように思う。すなわち、ウイニーは、ファイル配信ソフト、あるいは、ファイル放流ソフトと言った方が、機能なり開発コンセプトに馴染むように思う。

 ウイニーは、個人のコンテンツを公のコンテンツ(誰でも使えるコンテンツ)として配信するソフトと言えるのではないだろうか。
 ウイニーは、技術面からはpeer-to-peerソフトであり、機能面からはpersonal-to-publicソフトと言えるように思う。

 蛇足ではあるが、今回のウイニー裁判で、検察官は、ウイニーの技術、すなわちP2P技術を違法であるとして問題にしているとは思えない。その技術を使ってした行為を問題にしていると思う。
 五右衛門さんの「IT技術者のためのデジタル犯罪論」の中で言うプラスアルファの部分であろうと思う。今回の二つの記事は、このプラスアルファを理解し整理する上で、一つの手がかりになるのではないかと思い、感じたことをまとめた。

 Impress Watch に、「Firefox」にP2P技術を用いたファイル共有機能を追加する拡張「AllPeers」という記事が掲載されている。

AllPeersの特徴は

 「AllPeers」は、「Firefox」にファイル共有機能を追加する拡張機能。ファイル共有にはP2P技術が利用されているため、専用サーバーを介さず、PC同士で直接ファイルをやり取りできる。本拡張機能を利用するには、まずユーザー名、パスワード、メールアドレスを入力してアカウントを登録する必要がある。

 本拡張機能は、メッセンジャーソフトのようなコンタクトリストを備えており、認証された相手とのみファイルを共有できる仕組み。また共有するファイルは、コンタクトリストに登録した相手ごとに個別で設定可能。

個人が持つコンテンツを、個人間で管理し、共有できるソフトと言える。

 ところで、ウイニーも個人間のファイル共有ソフトと言われている。しかし、ウイニーの場合は、個人間でファイルを共有するというよりも不特定多数の誰でもが使える状態にするということである。よく「放流」と表現されているが、広義の共有であり、パブリック化すると言うのが適当ではないだろうか。

 このため、ウイニーの場合は、個人の持つコンテンツをパブリック化して利用する具体例がなかなか思い浮んでこない。一方、AllPeersの場合は、記事の中でも言われているように、具体的に思い浮かんでくる。

 本拡張機能を利用すれば、旅行や行事で撮影した大量のデジカメ写真を、参加者同士で共有したい場合などに便利だ。
これ以外にも、いろんな活用方法が思い浮かぶ。

 WinnyとAllPeersの開発コンセプトの違いが見えてくる。

【追記】
・2006.9.10 CNET Japan に 「リリース前からブロガーに注目されるFirefox用エクステンション「AllPeers」」という参考になる記事があったので、メモした。

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