市場の神のお告げ

| | トラックバック(0)

 世の中には、自己資金ではなくて、人からお金を借りて、いろんな金利差を利用して利益を得ようとする人が多い。

 例えば、単純な話。無一文の人が、銀行からゼロ金利で80万円を借りて、10年満期100万円の債権を買って、10年後に100万円を手にし、80万円を銀行に返す。無一文でも20万円儲けたことになる。

 ただし、ゼロ金利がいつまでも保証されているわけではない。金利が上がれば、返えさないといけないお金が多くなる。当然、儲けより返さないといけないお金が多くなって、借金を抱え込むこともある。

 他人の褌で相撲を取るようなものであり、ギュンブルのようなものである。正に虚業である。しかし、この手法で、大儲けしている人も多いようである。

 一般的に長期金利は、短期金利を上回るものである。虚業を営む人達は、この長短金利差を利用しても儲ける。

 常にいろんな事象に気を配りながら、機敏にお金を動かす必要がある。私にはこんな難しいことは到底できない。

 さて、私達は学校で、物の価格は需要と供給の関係で決まると教わってきた。しかし、最近の原油や鉄鋼といった商品相場もマネーゲームの動きと無縁ではない。

 ところが、多くの経済アナリストや証券会社は、原油価格高騰は、中国の需要が強いからと説明している。需要が強い間は、高止まりすると解説する人も多い。そして、この考えを前提に、個人向け国際商品投信が人気を集めているようである。

 しかし、単純に、ちょっと冷静に、金利の動きを念頭に置きながら、虚業の人達がどう動くかを想像しながら、世の中の動きを見れば、違ったものが見えてくる。

 金利が上昇すれば、早晩、商品に投資するうまみがなくなる。お金を借りて買っている商品を処分することになる。要するに原油や鉄鋼の価格が下がり始める。マネーゲーム的な資金の動きは早い。一旦流れが決まると、急速にその方向に流れ、止まらなくなる。暴落である。

 最近人気の米国の住宅事情、日本の不動産投信もしかり。金利が上がれば、投資した不動産の利回りに魅力がなくなる。当然、思惑が弾けて、暴落となる。

 米国の長期金利と短期金利の金利差が無くなりつつある。逆イールドカーブを描くかも知れない。日本国債の長短の利回り格差も縮小しているようだ。海外の投資家、多分ヘッジファンドが日本株を積極的に買っていると言われながら円価格は下がってきている。

 なぜだろう。市場が、いろんなシグラルを私達に送ってくれているようにも思う。くれぐれも大本営発表に乗せられないように、世の中斜めに見ていた方が、近い将来、怪我をしなくて済みそうである。

 この秋は、門を閉じて、ゆっくりと読書でもしていなさいということだろう。市場の神のお告げに従うのが一番よさそうである。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 市場の神のお告げ

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ofours.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/452

このブログ記事について

このページは、弁天小僧が2005年9月17日 17:05に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「戸隠の熱い夏-啓介狼狽-」です。

次のブログ記事は「アクセスログとなる項目の一例」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

携帯電話用ブログURL

Powered by Movable Type 4.1

最近のコメント