ウイニー裁判「弁論更新の意味」
「606コ目の楊梅の実」さん、第10回ウイニー公判速報ありがとうございます。
今回の公判で、弁護人の「弁論の更新」があったようだ。しかし、私が期待していることは、何も語られていないようで残念である。
そもそも、今回の裁判は分かりずらい。それは、以前「ウイニー裁判での弁護方針が見えてこない」でも書いたが、検察官が主張する公訴事実と、弁護人の主張(冒頭陳述)が噛み合っていないところにあると思う。
検察官は「著作権法違反の幇助」が犯罪であるとしていることに対して、弁護人は幇助ということそのものが誤りであり、犯罪は成立しないと主張していると認識している。
検察官は、今までの公判で、一貫して、公訴事実で述べた「幇助である」ことを立証するため、公訴事実の根拠とした証拠を、段階を踏みながら示しているように思える。
一方、弁護人の冒頭陳述から、私が、弁護人の立証に期待しているのは、「ウイニー事件で、p2p関連技術開発が萎縮しているのだろうか」でも述べた次の点にある。
一方、弁護人の冒頭陳述での主張からすれば、弁護人は、ウイニーの社会での有用性を説得的に証明し、社会に組み込むときのバランスを評価し、被告人の行為の正当性を立証するものと思う。弁護人の見識の深さが問われる裁判になるのではないだろうか。今回の裁判の注目点でもある。
期待しているのは、弁護人が冒頭陳述で主張しきれていない「ウイニーの社会での有用性」であり、「ウイニーを社会に組み込むときのバランスの評価」であり、これらを踏まえた上での「被告人の行為の正当性」である。「ウイニーの解説」ではない。今回の事件に対して、幇助の適用は憲法違反といった主張もされていないようである。今回の弁論の更新は、弁護人の願望(?)だけになったのではいか。そんな印象を受ける。
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