ウイニー裁判での検察官立証の核心は?
ウイニー裁判での検察官の立証もそろそろ核心に差し掛かろうとしているようである。
実は、ウイニー裁判に関しては、「Winny裁判を切る」というサイトの公判録で、ウイニー裁判がどうなっているのかの情報を得ていた。しかし、昨年12月中旬に、このサイトが閉鎖となり、それ以来、ウイニー裁判がどうなっているのか分からなかった。
ところが、ひょんなことから「606コ目の楊梅の実」というブログに、当該裁判の傍聴録が掲載されているのが分かった。サイトを運営されている方のご苦労に多謝である。(どうも、運営されている方の事情で、この傍聴録も、次回が最後となりそうなのが残念ではあるが・・・)
さて、ウイニー裁判の公判も8回を重ねており、検察官の立証も、外堀を埋めながら着実に進められているようである。そして、検察官の立証も、そろそろ核心に近づきつつある気配を感じる。
「606コ目の楊梅の実」で報告されているWinny第八回公判を読んでの感想というか、気にかかったことをまとめた。
公判報告の中に、
プログラムの解析は正犯の裏付けためであったが、解析を待たずに正犯の事件は終わってしまったことになる。
といった部分である。
ウイニーを改造するための解析ではなく、ウイニー開発者の意図を立証するためのソース解析であれば、長期に渡っていることも納得できる。
一つの仮説だが。
私の2004年08月12日の記事「中立的行為の保護があったとしても」で指摘したことを思い出だす。
すなわち、検察は、Winnyの技術的な問題を検証するのにソースコードを解析するのではなくて、著作権侵害するだろうと認識している人からの要望を聞いて、Winnyをより著作権侵害しやすうようにエンハンスして提供していたかどうかを解析しているのではないでしょうか。
ひょっとしたら、検察官は、私の指摘した方向でソースコード(リスト)を解析しているのかも知れない。
公判では、検察官は2chでの47氏は被告人であると立証しようとしており、弁護人もそれを認めているようである。
<弁護人が質問の中で「金子氏、2ch上では47氏ですが…」と言う>
被告人の2ch上の発言をふまえた上で、著作権法違反幇助について調べていたかについては、もともと被告人について事件的なものとしての検討はされていなかったし、自分も被告人に対して事件化するつもりはなかった。
2chの掲示板等への47氏としての一連の投稿は、被告人の投稿であったことを立証されたことになる。そうなると、ソースコード(リスト)上に、その投稿に関する内容と、それを実現する機能の開発経緯と提供時期との関係に関する痕跡があるのではないかと思うのが自然である。一方、ソースコード(リスト)には、直接的な命令語だけではなく、そのコードを追加した日であるとか、その目的であるとかを、コメントといて記述しておくことが多い。(もちろん、ウイニーのソースコード(リスト)に、これらの記載があるとは限らず、私の想像でしかない。)
検察官は、ソースコード(リスト)から、これらの関係をハッキリさせ、著作権違反を目的とした正犯が、著作権違反を目的としてウイニーを使う事を知りながら(あるいは、著作権違反を助長するために)、正犯(著作権違反をしようとする人)に機能を提供した。すなわち、バージョンアップしたウイニーを提供するすることで、正犯の著作権違反を幇助した。と、立証しようとしているのではないがたろうか。これが、ソースコード解析の目的ではないか。
私は、法律の専門家ではないので、こういった目的でのソースコードの解析結果が物証となるのかどうか判断できない。しかし、素人ながら、このように立証されれば、なる程と納得できるのも確かである。
ソースコード(リスト)は、作者の意図を語る雄弁な著作物であると思う。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: ウイニー裁判での検察官立証の核心は?
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ofours.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/291
断片しかみていないけれど、これまで証人尋問のほとんどは、刑訴法321条3項により証拠とするための尋問と、322条1項の特信情況の立証でしかないのでは?