よし坊のおでん
金沢は香林坊に、あのティファニーがある。ティファニーの前の信号を渡って、北國新聞社ビルの脇の道を少し下ったところに「よし坊」がある。
この時期になると、よし坊の「カニ面」がやたら食べたくなる。
金沢のおでん屋さんは、関東風の味付けのお店と関西風の味付けのお店が混在している。よし坊の味付けは関西風の洒落たおでん屋だ。外見はコンクリート打ちでちょっとモダン。
ご主人と奥さんと、なぜかバイトは何時も金沢大学生。カウンタの中で色々と料理の注文を聞いてくれる。ここのご夫婦は、探求心が旺盛というか、遊び心があるとでも言うのか、いろいろと料理を工夫して出してくれる。しかし、その工夫にいやみがなく、ご夫婦の暖かい心持ちが伝わってくるとでもいうのか、出てくる料理が全て美味しい。
「カニ面」もその一つ。おでんの具には、ダシを出す具と、ダシを吸う具がある。ダシを吸う具は、コトコトと時間を掛けて、ダシを出す具は、さっと暖める出してくれる。
メスのズワイガニのことをこちらでは「コウバコ」と言う。関西では「せいご蟹」とも呼ぶようだ。このコウバコの甲羅に、内子と一緒に一杯まるごと身を詰め、タコ糸で綴じて、さっとおでんの汁で温めて出してくれる。ズワイの味と、いろんなおでんの具の味が、絶妙に溶け合って、実に美味しい。それに、なにせ身を甲羅から取り出すのに苦労して無口になる必要もなく、お酒を楽しめ、会話も弾む。
いつだったか、NHKのデレビを見ていたら、金沢のおでんということでカニ面を紹介していた。金沢の名物と言うわけでもないのにと思いないながら見ていたら、甲羅の面を上にして皿に盛ってあったのにはガックリきた。後で聞いた話だが、よし坊から東京のスタジオに空輸したそうだ。わざわざ空輸したのに、紹介する人も食べたことなかったから仕方なかったのだろう。
それと、もう一つ。私の好物は、ポテトサラダだ。おでん屋でポテトサラダとお思うかも知れないけど、これがまた実に美味しい。ついでに、シメサバも美味しい。酢加減がなんとも言えない。牛すじもお薦め。季節に応じた食材が、きどらず出てくるのが嬉しい。
みなさんも、金沢においでの折は、ぜひ「よし坊」にお立ち寄り下さい。インターネットで見たと言えば、地酒を一杯サービスしてくれるかも知れません。きっとです。
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