ウイニー裁判、初公判に思う

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昨日、ウイニー裁判の初公判があった。検察官、弁護人双方の冒頭陳述がされ、公判の緒についところである。

検察官の冒頭陳述によれば、


被告人は、価値中立的なソフトを開発、配布していたものではなく、確信犯的に行為に及んでいた。平成15年11月27日の京都府警による被告人方の捜索まで、238回にわたりバージョンアップを繰り返しており、被告人が使用していたウイニーが、受信専用になっており、通常のウイニーよりも多くのファイルを受信できる仕様になっていて、被告人が自己のPCハードディスク内に違法複製著作物を保存していたことからも、被告人の違法性についての認識が裏付けられている。

と主張している。検察官は、著作権違反をさせる目的を明確に持ってやった確信犯的行為と言っている。もし、このことが事実とすれば、限りなく教唆に近い幇助的行為と言えるのではないだろうか。また、検察は、プログラムを作る行為そのものを処罰しようとしているようにも思えない。

一方、弁護人の主張は

本件起訴は、ウイニーの開発行為そのものを処罰しようとするもので不当である。ウイニーは優れたソフトである。それを被告人は、一人で、ごく短期間のうちに開発した。検察官はP2Pソフトについてあまりにも無理解である。被告人の処罰についての法的根拠が欠けており、だからこそ、検察官は、内容が不明確な幇助を持ち出してきたものである。このような起訴は罪刑法定主義に反する。本件起訴はソフト開発に打撃を与えるものであり、日本の国益に反する。弁護人が、公訴提起そのものを違法とする理由はここにある。

の太字にした部分に集約されているように思う。すなわち、プログラムを作ったことで処罰するということは法律違反である。だからウイニーを作ったと言うことで処罰しようということ自体法律違反であり、この裁判自体不当だと主張しているように取れる。

確かに、検察官が、弁護人の主張するようにウイニーというプログラムを作ったことだけを持ってして、幇助と言っているのであれば、被告人の逮捕そのものが不当であったのではないかと思える。

今回の公訴事実の詳細は分からないものの、検察官と弁護人の冒頭陳述では、双方の主張のポイントが微妙にずれていて分かり辛いという印象を持った。

すなわち、検察官が、幇助したから処罰するということに対して、弁護人は、幇助はしていないと直接否認するのではなくて、幇助と言い出すこと自体が法律違反だと主張しているように思える。この点が、分かり辛いという印象に繋がっているのだと思う。

私は今時点では、今までのマスコミ等の報道から、検察官の言うように、被告人の行為は、確信犯的行為ではなかったかという印象を持っている。今後、弁護人の主張が、この印象を拭えるものになるのかどうか注目していきたい。

いずれにしても、双方の主張は、今後の公判で証拠に基づいて立証されていくことだろうから、それらの経緯を見ながら考えるしかないと思っている。

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このページは、弁天小僧が2004年9月 2日 19:10に書いたブログ記事です。

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